エアーマイクロメーター

エアーマイクロメーターとは

エアーマイクロメーターとは、空気の圧力差を利用して物体を測定する比較計測器です。

主に穴の内径や丸棒の外径寸法に用いられ、非接触で1μm単位の高精度に測定できるのが特徴です。非接触測定は接触式のように接触圧がかからないため、高精度が求められる測定に向いています。さらに、対象物を傷つけません。

穴の内径測定にはシリンダゲージ、3点マイクロメータなどがありますが、エアーマイクロメータは比較的短時間で測定可能で、また測定者による誤差がないのも特徴の1つです。

エアーマイクロメーターの使用用途

エアーマイクロメーターは、主に高い寸法精度が要求される穴の内径や軸の外径測定に使われます。使用例としては、自動車用エンジンのシリンダブロック、シリンダーヘッド、コンロッド、他にも油圧回路などのバルブ部品の穴内径の測定などです。

軸の外径測定ではカムシャフト、クランクシャフトがあります。また、測定部位にあわせたヘッド部品を用意することで、内外径以外の測定にも用いることができます。

1. 厚みの測定

対象物を挟み込むように設置することで、物体の厚みを測定することが可能です。板状の製品や薄膜などの製造過程で使用されます。

2. 細線の測定

金属線や生糸、化学繊維なども測定可能です。太さを測定する場合は、ノズル上のものの測定対象を通すことで断面性の変化を計測します。

3. 穴内径に関する幾何公差測定

専用の測定ヘッドを用意することによって、穴の内径に関する幾何公差を測定することが可能です。軸方向に長い穴であれば、異なる穴深さにノズルを設けることによって、穴の真直度が測定できます。同じように異なる2断面にノズルを設置することによって、テーパ測定や直角度を測定します。

4. 穴の心間距離 (ピッチ) 測定 

複数の穴に対して複数のテーパ管を用意し、同じテーパ管から吹き出す空気のノズルを組み合わせることによって、穴のピッチを測定することもできます。      

エアーマイクロメーターの原理

エアーマイクロメーターは、空気を利用して物体の形状や変位などを計測する装置です。空気の使い方によって、流量式や背圧式といった測定方法があります。ここでは、様々な場面でよく使われている流量式エアーマイクロメーターで、穴の内径を測定する原理について説明します。

まずエアーマイクロメータには、測定する穴の内径よりもわずかに小さく寸法が明らかになってる測定ヘッドが必要です。用意した測定ヘッドは測定対象の穴の内側にセットします。測定ヘッドが測定部位にセットされたら、測定ヘッドに、コンプレッサー、レギュレータ、フィルタを用いて綺麗な一定圧力の空気を送り込みます。

また、空気経路の途中にあるのが、目盛りが記されたテーパ管とフロートです。空気は測定ヘッドにあけられたノズルから吹き出しますが、測定対象物との隙間によって噴出量が変わり、噴出量が変わるとテーパ管内のフロートの位置が変わります。フロートの高さはあらかじめマスター部品で把握し、比較することによって、測定対象物の穴内径を知ることができます。

エアーマイクロメータの特徴

エアーマイクロメーターのメリットは、まず空気の噴出を利用しているため、油や粉塵などの影響が少ないことです。そして、非接触測定のため、接触式測定の欠点となる測定圧による誤差がなく、測定部位を傷つずに済みます。

さらに、精密な測定ですが、測定値として表示させることができるので、限界ゲージのように通・止の合格、不合格判断ではなく数値として記録することが可能です。ノズルの位置を複数配置することによって、穴内径の真直度、テーパ測定、直角度測定、ピッチ間距離測定なども行えます。

一方で、デメリットは測定する部位に応じた専用測定具であり、汎用性は高くないことです。測定ヘッドと測定対象部位との隙間の範囲も限られるので、測定可能な公差範囲も比較的狭いです。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsms1952/4/27/4_27_562/_pdf

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