シールドクランプ

シールドクランプとは

シールドクランプとは、シールドケーブルのシールド部を掴んでアースに繋がる機械や設備のフレームやレールに固定するための治具です。

シールドの電気をアースに逃がすと共に、ケーブルを固定する役割があります。シールドケーブルは信号を伝達する芯線と言われる信号ケーブルと、外周部を覆う皮膜 (シース) の間に、極細の針金でできた網目状の導体のチューブが入っているケーブルです。

形状は様々ありますが、最も基本的な同軸ケーブルの構造はケーブルの中心部から外側に向かって銅線(芯線)、絶縁体、網目状の導体、被膜という構造になっています。網目状の導体のことをシールドと言います。

シールドクランプの使用用途

シールドクランプは、製造装置の筐体内や、工場内の配線ラックなどで、シールド・ケーブルを、装置やラックのフレームやレールに固定して、ケーブルの配線を整えるためと、シールドに溜まる電気をアースに流すEMC対策で使用されます。

EMCとはElectromagnetic Compatibilityの頭文字で、JISでは電磁両立性と定義されています。これには、電気機器は周囲に対して電磁的な障害を及ぼさないと同時に、電磁的な影響によって誤動作を起こさないように対策を取るという意味があります。

シールドケーブルはケーブルとしてEMCを実現する技術ですが、ケーブルのシールドがアースにつながらずに宙に浮いている状態ではEMCを実現できません。シールドをしっかりと掴んで、電気をアースに逃がす役割としてシールドクランプがあります。

なお、EMCは一つの装置が他の装置に及ぼす電磁的影響に対する方針ですが、実際には一つの装置内で電子回路や電源ユニットや、それぞれに繋がるケーブルなどで互いに影響を及ぼす場合も多く考えられます。従って、シールドケーブルやシールドクランプも装置内部の電磁的影響を考慮して装置内部でも複数の場所で使われます。

シールドクランプの原理

シールドクランプには、シールドケーブルのシールドを掴む部分と、ケーブルをフレームやレールに取り付ける部分があります。ケーブルを取り付けるフレームやレールは必ず導電体でできていて、接地しているか静電容量が非常に大きいかなど、アースの役割を果たす必要があります。

シールドクランプは、シールド部と取り付け部との間をなるべく小さな電気抵抗でつなぐように、シールドに対しても、レールやフレームに対しても、比較的大きな面積で接触するようになっています。また、シールドケーブルは下記の2つに分類されます。

  • 中の信号線を外部のノイズから守るための静電シールドケーブル
  • ケーブルの中を流れる電流が外部に影響を与えるのを防ぐための電磁シールドケーブル

静電シールドケーブルをシールドクランプを使ってフレームやレールに取り付ける際には、ケーブルの片方の端のみを取り付けます。これは、ケーブルの両端のシールドをフレームに繋ぐとシールドから流れ出た電流がリターン電流となって、シールドに戻ってきて信号電流に影響を与えてしまうためです。

電磁シールドケーブルを使う場合は、中を流れる電流のほとんどは信号電流ではなく電源電流などの大電流です。電磁シールドケーブルをシールドクランプでフレームやレールに取り付ける際には、ケーブルの両端を取り付けます。このことでシールドから出たリターン電流がシールドに戻ってきて、送出時の電流で発生する磁界をリターン電流で発生する磁界によって打ち消す効果が期待できます。

シールドクランプの選び方

シールドケーブルには、同軸ケーブル以外にも様々な形状や大きさがあります。取り付ける側のフレームやレールにもいくつかの種類があります。前述では、シールドクランプで「シールドを掴む」と表現しましたが、実際にはシールドクランプは、シールドやフレーム、レールとしっかりと固定できて、簡単には離れないようなものであることが大切です。

シールドクランプのその他情報

シールドケーブルの役割

シールドケーブルは、2種類のノイズ対策として使われます。1つ目のノイズ対策は、中心部を通る信号ケーブルを使って送られる電気信号が、周囲の電磁波の影響を受けてうまく伝わらなくなるのを防ぐことです。もう1つのノイズ対策は、電力用ケーブルなど大電流を流すケーブルから発生する電磁波が、周囲の電子機器に影響を与えないようにすることです。

ノイズ対策の機能を果たすためには、シールドケーブルの皮膜を部分的に剥がしてシールドを露出させ、そこからシールドに溜まる電気をグラウンドに流すアース接続を行う必要があります。

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