耐熱シート

耐熱シートとは

耐熱シート

耐熱シートは、化学材料を加工してつくられており、熱の移動を抑制することで、物体や空間の温度上昇を防ぐ不燃特性に優れた耐熱材です。材料には、金属やガラスシリカ、ゴム、プラスチックなどがあります。

耐熱シートは、シートの素材によって熱による状態変化を起こします。

例えばポリプロピレン(PP)は、低温度域であれば、固体でシートが変形しやすい状態になります。

しかし、温度域が中温になれば、変形がはじまり、ゴム状で固体と液体の中間状態になり、弾性を示します。高温下では、溶けてドロドロとした液状になり、流動をはじめます。

一般的に耐熱シートは、熱にさらされることによって、上記のように機能を失いつつ、状態変化を起こします。

耐熱シートの使用用途

耐熱シートは、製品が外部からの温度変化に耐えるだけではなく、対象物の温度上昇や低下を防ぐ目的でも使用されます。主に工業や建築、食品分野で利用されていますが、産業用途以外でも一般生活において耐熱シートを取り入れることができます。

  • 一般生活の耐熱シート

    一般生活では、ひとつの例として、床暖房からの耐熱と断熱材としての用途が挙げられます。床暖房は、断熱シートを床暖房の下に敷くことで、床材を効率的に温めることが可能になります。しかし、床下からの冷気を遮ると同時に、床暖房からの熱にも耐えなければなりません。そのため、耐熱シートを敷くことで、これらの問題を解決することができます。

  • 産業用途の耐熱シート

    産業用途では、耐熱シートは、耐熱が可能な温度区域によって使用用途が異なります。例えばマイナス50℃以下であれば、シリコンやガラスなどを材料として用いた製品が使用されており、建築現場や資材運搬の用途で活用されています。そのほかにも約200℃であれば、溶接作業の火花やスパッタを防止する目的で利用されています。

     

    耐熱シートは、材料の性質や使用環境などの違いによって、同一の製品でも異なる耐熱試験結果になります。そのため、製品を使用する前に実環境で性能試験を行なってから使用することが大切です。

耐熱シートの原理

耐熱シートは、主に溶接作業で使用されており、熱源から建物や人を守るために使用されています。溶接作業における火花には、スパッタやスラッグのほかに、金属の溶滴などが含まれており、粒径などによって異なりますが、その温度は、約2,000℃から3,000℃の温度になるといわれています。

そのため、周囲に付着すると、対象物の損傷につながり、火災の原因にもなり得ます。また、火花が人体に直接触れれば、大きな怪我にもつながります。

溶接作業で使用する耐熱シートは「JIS-A1323:建築工事用シートの溶接及び溶断火花に対する難燃性試験方法」の試験に合格すれば、日本産業規格(JIS)の認証を受けることが可能です。

この認証は、A種からB種、C種までの条件基準があり、発生する火花によって、認定基準が異なります。したがって、使用環境に適合する耐熱シートを選定することで、より安全に作業を行うことが可能になります。

また、耐熱シートは、フッ素加工などを施した製品も販売されており、汚れがシートに付きにくくなっています。

耐熱シートの選び方

耐熱シートは、おおよそ60℃以上の温度域において、安全性や快適性の向上のために用いることを推奨します。60℃前後では、発火のおそれは少ないですが、やけどや作業性の面から対策が必要になる温度域だといえます。発火に関しては、以下の温度域で特に注意が必要になります。

耐熱シートによる発火の防止効果

一般的に発火を引き起こす材料には、木材などが挙げられますが、熱源から材料に対して与える熱が大きくなれば、熱が材料に蓄積していきます。この熱が一定の温度に達すると、材料の酸化反応は、さらに加速し、発火が引き起こされます。

そして、火源が近くに存在している場合の発火温度を引火温度と呼び、火源がなく自然に発火する温度を発火温度と呼びます。

また、そのほかにも低温発火という現象があります。低温発火は、材料が熱にさらされ、内部の水分を失い、熱の逃げ場が少なくなることで、低い温度でも熱が蓄積し、発火してしまう現象です。

そのため、耐熱シートを活用することで、発火を抑制し、火事の防止につなげることができます。

  • 引火温度

    引火温度は、約220℃から264℃です。

  • 発火温度

    発火温度は、約260℃から416℃です。

  • 低温発火

    低温発火が引き起こされる温度は、約100℃から150℃です。

耐熱シートの種類

耐熱シートは、多種多様なものが販売されているため、目的に応じた耐熱シートを選択することが大切になります。耐熱シートの種類として、下記のような製品が挙げられます。

  • エラストマーシート

    エラストマーシートとは、ゴム弾性を有する素材を指します。また、エラストマーの素材には、スチレン系やオレフィン系などの熱可塑性素材と、ブタジエン系やウレタン系などの熱硬化性素材があります。

    主にオーブン用のパッキン素材やガスケットシール材などに使用されています。

  • 耐熱袋やカバー、マット

    ガラス繊維やシリカ繊維を織り込んだ製品で、温度の高い製品の運搬や保護、火花の防止などに使用します。一般的に耐熱温度は、ガラス繊維よりもシリカ繊維のほうが高いとされています。

  • シリコンシート

    シリコンシートは、シリコンを塗布した布などで、耐熱性と耐寒性を有しています。主に養生シートや仕切り、カーテン、キッチンの関連製品などに使用されています。

  • アラミド繊維製品

    アラミド繊維を使用した耐熱製品には、繊維を織り込んだ作業服や包装材、耐熱テープ、養生テープなどがあります。アラミド繊維を使用した布やテープは、耐熱性と難燃性にも優れており、柔軟性があり、弾力性も向上します。

カスタムIC

監修:YITOAマイクロテクノロジー株式会社

カスタムICとは

カスタムICとはユーザーの要求仕様に合わせて特定の用途、製品のために開発、設計、製造される特注のIC(集積回路)のことです。カスタムチップ、ASICとも呼ばれます。

カスタムICには開発から製造まで完全に新規対応となるフルカスタムICと、汎用ICをユーザーの要求仕様に合わせて設計・製造するセミカスタムICがあります。フルカスタムICに近づけば近づくほど製造費用は高くなり期間も長くなりますが、最適化された動作を期待できます。

カスタムICの特徴とメリット

カスタムICを開発するケースとしては以下の例が考えられます。

  • ユーザーの新製品開発に合わせてICの開発も依頼するとき
  • ユーザーが使用中のICが生産中止となり、同等仕様のICを別の半導体メーカーへ開発依頼するとき
  • ユーザーが基板の小型化等、製品を改良することに伴いIC周辺のディスクリート(半導体素子部品)をパッケージ化したICの開発を依頼するとき

上記のケースにおいて、標準のICを用いた開発を行うことも可能です。一方で標準ICを用いるためには、どのICをどのように組み合わせれば機能を発現されられるのか設計者自身が検討する必要があります。このような検討期間を省略する際にカスタムICの活用が有効です。

カスタムICの中にはゲートアレイ方式、スタンダードセル方式、エンベデッドアレイ方式があり、それぞれの開発費、消費電力、サイズなどは異なります。どのような要望でICを設計するかに応じてメーカーは最適な方式でカスタムICを設計しています。

本記事はカスタムICを製造・販売するYITOAマイクロテクノロジー株式会社様に監修を頂きました。

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ファウンドリ

監修:YITOAマイクロテクノロジー株式会社

ファウンドリとは

ファウンドリ

ファウンドリ(foundry)とは半導体製造業界において素子や集積回路の製造を受託する企業・サービスのことです。ファウンドリは半導体製造設備を所有しており、半導体メーカーやファブレス(自社の生産設備を所有しないメーカー)が開発・設計した製品のデータを基に、OEMで製造します。

製造を委託するメーカーやファブレスにとっては莫大なコストを要する半導体製造設備を自社で持つ必要がないこと、ファウンドリにとっては設備の保守運営に集中できることからファウンドリを活用した半導体の製造はお互いにメリットがある製造法といえます。

ファウンドリを活用した半導体製造のメリット

半導体製造工場の立ち上げには微細加工設備の導入などに莫大なコストが掛かります。また、半導体製造では微量の粒子の混入も許されず、非常に高いクリーン度が要求されます。さらに製造で使用する薬液やガス、純水も高純度であることが求められますし、配管などの設備からも異物が混入しないことが求められます。したがって半導体製造設備の保守・運営にも大きなコストが必要となります。

ファウンドリに製造を委託し、自社で半導体製造設備を持たないことによって半導体メーカーは工場の初期投資、維持費を負担する必要がなくなるだけではなく、タイムリーな生産も可能となります。またファウンドリの製造技術力は高い一方で、複数の企業の製品を並行して製造しており設備の稼働率が高いため、低コストで高品質な半導体を製造することができます。

このようなメリットから現在の半導体業界では製品の企画、設計を行うファブレスと製造を受託するファウンドリの分業体制が取られています。

ファウンドリへの委託製造

ファウンドリへ製造を委託する際の流れは様々です。仕様をファウンドリに伝えて設計から委託する場合や、CADデータをファウンドリに渡し、製造を委託する場合もあります。
また、ファウンドリがシリコンウェハの製造までを受託することもあれば、素子や集積回路の製造まで受託することもあります。

メーカーによってファウンドリへの要求は様々であり、実際の委託製造では委託側の要望に合わせてファウンドリが最適な製造法を検討することが多いです。

本記事はファウンドリを製造・販売するYITOAマイクロテクノロジー株式会社様に監修を頂きました。

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