クリーン袋

監修:大日本印刷株式会社

クリーン袋とは

クリーン袋とは、高い清潔度を確保するためにクリーンルームなどで製造されるポリ袋です。

クリーンポリ袋やクリーンバッグとも呼ばれ、異物の付着が少ないため医療、食品、電子業界など清潔性が要求される分野における部品や製品の包装やクリーンルームでのクリーン梱包に欠かせない製品です。

原材料への配慮により、外部からの汚染予防はもちろん、アウトガス (プラスチックや接着剤等、製品を構成する有機材料や梱包材から放出されるガス成分) や包装材の添加物による汚染を防ぐことができます。

クリーン袋の使用用途

クリーン袋は、高い清潔性が求められる医療分野、食品分野、電子・精密機器分野などにおいて、主に用いられています。

1. 医療

医療分野においては、クリーン袋は主に医薬品 (やその原料)、及び医療器具の包装に用いられています。異物・不純物の混入や付着防止を目的として用いられます。具体的な使用例は下記の通りです。

  • 原料への不純物混入対策
  • 医薬品製造工程内の輸送用包装
  • 医薬品原薬・中間体の出荷包装
  • 製剤 (カプセル・錠剤・粉体) の保管や出荷用包装
  • 医療器具の出荷用包装 (シリンジ・チューブなど)

2. 食品

食品分野では、食品一般の包装・パッケージや、食品添加物の出荷包装などに用いられています。

3. 電子・精密機器

精密機器や半導体装置は、梱包材からのガス放出(アウトガス)や添加物による汚染により歩留まり率が低下する可能性があります。電子・精密機器分野では、これらの汚染を防ぎ、部材を清浄に保つ必要があります。具体的な使用例は以下の通りです。

  • 液晶・精密機器部材の梱包
  • 半導体装置及び半導体装置部品包装
  • 基板包装 (シリコン・ガラスウェハーなど)
  • HDD部品包装
  • 高機能性樹脂包装
  • 輸送用機器(チップトレイ・キャリアケース・ワイパーなど)や部品の精密洗浄後包装

クリーン袋の原理

1. 製造工程

クリーン袋は、基本的に清浄度が管理されたクリーンルーム内で製造されています。クリーンルームの清浄度は厳密に管理され、ISO規格で定められています。クリーン袋は通常ISO class6もしくはclass7程度の清浄度のクリーンルームで製造されており、これは食品工場・医薬品工場・半導体工場などと同じ程度の清浄度です。

また、落下菌検査や浮遊菌検査、製品に付着している微生物検査なども定期的に行われています。作業員は防塵性能に優れた専用の作業服を身につけることになっています (クリーンルーム用ウェア) 。

2. 成分 (添加剤)

通常の低密度ポリエチレン製ポリ袋には、製造プロセスを改善するための添加剤が含まれており、これらの添加剤(酸化防止剤のBHT、脂肪酸系滑剤、シリカ系アンチブロッキング剤など)は、袋の内外面で凝集し粉化することがあります。この現象は「ブリードアウト」と呼ばれ、袋の中の製品に添加剤が付着したり混入するリスクがあります。

クリーン袋はこうした添加剤を使用せずに製造され、ブリードアウトによる汚染を防ぐことができます。また、一般的な梱包材から放出されるアウトガスに対しても配慮して作られているため、アウトガスによる汚染予防にも効果的です。

クリーン袋の種類

クリーン袋の外形には、厚みや幅、長さなど外形に様々な種類があります。また、フィルム構造も、単層フィルムから5層フィルムまで様々なものがあり、用途に合わせて選択することができます。色は、透明、半透明白、透明ブルーなどです。

特に、クリーン環境下 (クリーンルーム内) へ電子部品・半導体関連部品などを搬入する際は、 2重包装する必要があります。2重包装は製品投入・脱気・シールの工程を2度繰り返して中の製品を密閉することですが、製品によっては1重目2重目の袋の役割を一体化することで包装および開封の手間を簡略化したものもあります。

また、帯電防止や真空包装対応などの機能を持たせたものもあり、帯電防止袋は特に粉末や精密機器の包装に適しています。一般的な清浄度の規格には米国食品医薬局のDrug Master Fileの規定や、日本薬局方などの規定があります。用途によっては、これらの規定を満たす製品を選択することが必要です。

クリーン袋のその他情報

ここではクリーン袋を使用するクリーン梱包について概要を記載します。

1. クリーン梱包について

クリーン梱包とは、製品を異物や汚染から守り、高度な清浄度を要求される環境下で使用する製品を安全に輸送するために、特別な手順と材料を用いて梱包する手法です。サービスを提供する専門の業者もいます。

2. なぜクリーン梱包が必要なのか?

製品の品質維持: 半導体部品や医療機器など、微細な異物混入が製品の性能や機能に直接影響を与える製品において、クリーン梱包は製品の品質を維持するために不可欠です。

環境汚染防止: クリーンルーム内の環境を維持するため、外部からの異物混入を防ぐ必要があります。
静電気防止: 電子部品など、静電気によるダメージを受けやすい製品を保護します。

3. クリーン梱包の主な特徴

清浄度の高い環境下での作業: クリーンルームやクリーンベンチ内で行われます。

特殊な梱包材の使用: 静電気防止袋、無塵紙、クリーンルーム対応のテープなど、清浄度の高い梱包材が使用されます。
厳格な手順: 梱包作業者は、クリーンルームへの入室手順や梱包手順を厳守します。
複数回の梱包: 外気との接触を防ぐため、二重梱包や三重梱包を行う場合もあります。

参考文献
https://www.po-aso.co.jp/publics/index/79/
https://www.aicello.co.jp/product/hyper-clean/

本記事はクリーン袋を製造・販売する大日本印刷株式会社様に監修を頂きました。

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CAD VR

CAD VRとは

CAD VRとは、建築や製造業などで設計に用いられている3次元CADとVR技術を融合し、VR空間内に3次元CADソフトで設計したデータを立体視できるようにしたものです。

3次元CADは、工業製品や建築物の三次元設計を行うためのツールです。産業界一般で広く設計に用いられており、2次元CADよりも高度なシミュレーションや解析を行うことができるという利点があります。一方、VR技術は、仮想空間内においてリアルな体験を提供することが可能な技術です。3D CADとVRの組み合わせによって、設計データを直接VR空間に取り込み、製品や建築物の形状やサイズ感を疑似的に体験することが可能となっています

CAD VRの使用用途

製品設計の現場では、完成品が想像と異なることがしばしばあります。「柱が予想より細い」といった問題は、2Dのディスプレイでの設計作業が一因です。3D CADで設計しても、2D画面での確認には限界があり、経験豊富な専門家でも実際のイメージを完全には掴むことができないのです。

ここで、VRが革新をもたらします。VRを利用すると、設計したオブジェクトを実際の大きさで立体的に見ることが可能になり、直感的に理解することができます。CADモデルを実物と同じスケールで体験できるため、専門知識がない人でも簡単に形状やサイズを把握でき、コミュニケーションが格段に向上します。設計の詳細が苦手な方も、VR を使えばまるで現場にいるかのような感覚で設計内容を確認できます。

特に設計や工学、建築の知識がない方にとって、VRは画期的なツールです。2D図面や3Dモデルからは理解しにくい立体的な形状やスケールを、実際に歩いて探索するかのような方法で感じ取ることができます。これにより、プロジェクトへの直感的な理解が深まり、より多くの人に受け入れられる設計が可能になります。

VRは、設計レビューから顧客プレゼンテーション、教育訓練に至るまで、多岐にわたる分野で活躍する有効なツールです。製品開発を次のレベルへと引き上げ、直感的で正確な設計を実現しましょう。

CADの種類と分類

VRは、利用方法、機能、データ処理方法等で分類することが可能です。これらの分類は、製造業向けのVRシステムの一部を示すものであり、実際の導入や利用に際しては、企業の要件や目的に合わせて適切なタイプを選択する必要があります。

① データ保存・処理の方法による分類

・ローカル版:
VRコンテンツやソフトウェアはユーザーのデバイス(例:PCやVRヘッドセット)に直接インストールされ、そのデバイス上で実行されます。ユーザーのデバイスが直接コンテンツを処理するため、ネットワークの遅延がなく、高いリアルタイム性が期待できます。また、機密性が高い製品等は、ローカル版を利用する場合が多くあります。

・クラウド版:
VRコンテンツやソフトウェアはクラウド上のサーバーで実行され、その結果がユーザーのデバイスにストリーミングとして送信されます。主にストリーミングの受信と表示に対応する能力が求められます。

インターネットの帯域や遅延、クラウドサービスの品質など、ネットワーク関連の要因がVR体験の品質に影響を与える可能性があります。5Gの普及やエッジコンピューティングの進展により、クラウドベースのVR体験の品質が向上してきており、多くの企業やサービスプロバイダがこの分野に参入しています

② 利用目的による分類

・デザイン検証・プロトタイピング:
製品のデザインや設計の確認、改善のためのVR利用。トレーニング・教育: 製造工程や安全教育などのトレーニング用途でのVR利用。

・リモートコラボレーション:
複数地点からの同時接続や共同作業のためのVR利用。

・製品プレゼンテーション:
顧客向けの製品紹介や展示会でのデモ用途でのVR利用。

③対応デバイスによる分類

・スタンドアロンVR:
一体型で独立して動作するVRデバイス用のシステム。どこでも簡単に持ち運びやセットアップが可能であり、外部のPCやセンサーが不要なため、導入やセットアップが手軽。デメリットとして、一体型のハードウェアのため、高性能なPCと比べて処理能力が制限される。工場等の現場で利用したいときには、便利です。

・PC接続型VR:
高性能なPCと接続して使用するVRデバイス用のシステム。
PCの性能を使うことが出来る。高性能なPCのリソースを活用できるため、複雑なシミュレーションやリアルタイムの高品質レンダリングが可能です。デメリットとして、 PCとの接続が必要なため、移動やセットアップが煩雑になります。また、 PCとの接続ケーブルが存在するため、動きの自由度が制限されることがあります。

④インタラクティビティによる分類

・静的VR:
シンプルな3Dビューワーのような、基本的な表示・閲覧のみを目的としたVR。3次元CADの中に入り込むような体験することが可能です。

・インタラクティブVR:
製品の操作シミュレーションや仮想空間内でのタスク実行が可能なVR。機構シミュレーションを体験することが可能です。

CAD VRの選び方

3Dデータを組織内で効果的に利用するためには、VRシステムの選定ミスは許されません。そのため、小規模から始めることをおすすめします。全員が手軽に使えることがキーとなります。誰もが、いつでも、簡単に使えることが重要です。
製造業向けVRシステムを選ぶ際には、以下の要点を考慮すると良いです。

① 目的の明確化

すべての目的に対応できるシステムは、ありません。製品のプロトタイプ評価、生産ラインのシミュレーション、研修用の教材など。目的に応じて最適なVRシステムを選定することが重要です。誰が何のために、どんな状況で使うのか確認してください。

② 予算

利用するハードウェアやソフトウェアのコストは、システムの選択に大きな影響を与えます。ハードウェアも毎年新製品が発表さるので、陳腐化のリスクも考える必要があります。最初に予算を設定し、その範囲内で最も適したシステムを選ぶことをオススメします。次年度以降の保守費も考慮にいれることを忘れないようにしてください。

③ システムの性能

製造業におけるシミュレーションや設計の詳細度、アッセンブリ数に応じて、必要なVRシステムの性能が変わります。高いリアルタイムレンダリング能力や複雑なシミュレーションが求められる場合は、高性能なPC接続型VRが適しています。

④ 使いやすさ

VRシステムは、技術的な背景を持たないユーザーにも使いやすいものを選ぶと良いです。直感的な操作性やサポート体制もシステム選定のポイントになります。特にVRの場合、直感的に目的地へ行けるか?イメージ通りの動きが出来るか? 現実と同じような感覚があるか?調査する必要があります。

⑤ 拡張性

将来的なニーズや技術の進化に対応できるシステムを選択することは、長期的な投資として重要です。ソフトウェアやハードウェアのアップデートが容易なもの、または追加機能が後から導入可能なものを選ぶと良いと思います。

⑥ 互換性

既存のCADデータや他のソフトウェアとの互換性を確認することで、効率的にVR環境を構築することができます。Parasolid、STEPなど、中間フォーマットの対応も確認する必要があります。

⑦ セキュリティ

製造業のデータは機密性が高い場合が多いため、VRシステムのセキュリティ機能やプライバシー対策が万全であるかを確認することは重要です。機密性が高い場合は、ローカル版をおすすめします。

⑧ サポート体制

ソフトウェアやハードウェアのトラブル対応、アップデートのサポート、研修など、アフターサポートの体制も考慮する必要があります。初心者の場合は、国内開発、日本語対応のシステムをオススメします。

CAD VRのその他情報

製造業とゲームエンジン

製造業向けのVRシステムとゲームエンジンには大きな関連性があります。
ゲームエンジンは、本来はゲーム開発のためのツールですが、その高度な3Dレンダリング機能や物理エンジン、スクリプト機能などが、VRシステムの開発にも利用されています。

製造業でのVRアプリケーション開発には、UnityやUnreal Engineなどのゲームエンジンが一般的に利用されます。
ゲームエンジンを利用することで、VRアプリケーションの開発を迅速に行うことができます。リアルな表現や仮想空間を簡単に作成することが出来ます。

リアルな表現: 現実的な物理演算や高品質な3Dグラフィックスにより、リアルな仮想空間を作成することができます。また、豊富なスクリプトやプラグインを用いて、特定の用途に合わせたカスタマイズが可能です。近年大手製造業における活用が見られます。

VR/AR/MR/XR

近年、製造業においてVR(Virtual Reality)だけでなく、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)、そしてこれらを総称するXR(Extended Reality)の技術が積極的に活用されています。これらの技術は、製造プロセスの効率化、品質向上、コスト削減、トレーニングの強化など、多方面で革新をもたらしています。

これらの技術は、製造業において革新的な変化をもたらし、生産性の向上、コスト削減、品質の向上、従業員の安全性と満足度の向上に寄与しています。今後もXR技術の進化は、製造業におけるさらなる効率化とイノベーションを推進する重要な要素となるでしょう。これらの技術を活用することで、製造業はより柔軟でスマートな生産体制を構築し、市場の変化に迅速に対応することが可能になります。また、製品の品質向上、生産コストの削減、作業環境の安全性向上など、製造業全体の競争力を高めることが期待されています。

参考文献
https://prono82.com/pronodr-2/
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1704/05/news029.html

データ分析ツール

監修:ニュートラル株式会社

データ分析ツールとは

データ分析ツールとは、大量のデータの収集、整理、分析を行い、結果を可視化するソフトウェアツールです。

データ分析ツールは、ビジネスや学術研究など、幅広い分野で活用されています。データを視覚的にわかりやすくすることができるため、データの傾向を把握することが容易となるツールです。データの分析結果を元に、方針の立案や課題の抽出、改善方法の発見・決定など、業務上の決定・判断を行うことに用いられます。

また、データ分析ツールの一種に分類されるものとして、BIツール (Business Intelligence tools) があります。BIツールは、業務プロセスに合わせたデータの収集、分析、可視化に特化しており、ビジネスにおける意思決定・判断を目的とするツールです。

データ分析ツールの使用用途

データ分析ツールは、大量かつ多様な形式のデータに対して分析を行うことができるツールであり、様々な業種の業務において用いられています。事業一般では、大量のデータを分析して必要な情報を得ることで、経営に役立てることが可能です。具体的な利用例としては下記のようなものが挙げられます。

  • 経営分析・財務分析
  • 営業分析・売上分析
  • 人事データ分析
  • 予算管理システム
  • データ集計
  • 帳票自動作成

また、事業活動以外では、地方創生において産業振興や観光振興などの方針決定などにも活用されています。その他、具体的な各業種における使用用途は下記の通りです。

1. 製造業

製造業では、工場における様々なデータを分析し、業務の効率化や生産性向上に役立てることが可能です。具体例は下記のようなものがあります。

  • 工場内のセンサーやカメラなどからリアルタイムでデータを収集し、生産ラインの稼働状況の把握と生産管理を行う
  • 設備の点検データから故障やトラブルを予測し、設備保全に活かす
  • 製品の検品データの分析から、ミスが多く発生している工程を割り出す

2. 小売業

小売業においては、売上記録をはじめとする様々な属性のデータが蓄積します。これら大量のデータの分析を行うことで、効果的なマーケティング展開を行う事が可能となります。小売業で活用されるデータの例は下記の通りです。

  • 商品の売上データ
  • 顧客の年齢や性別などの属性 (会員情報などから得ることが可能)
  • 店舗の立地や商圏
  • 天候、気温
  • ECサイト内のデータ: 顧客の動き、バナーのクリック率、カゴ落ち、決済手段
  • SNS上での自社に関するつぶやきや投稿

3. 農業

農業においても、IoT によるデータ収集が盛んになりつつあり、データ分析ツールの有効活用が可能です。 具体的な用途例としては、センサーなどから気候や土壌データを収集して適切な栽培計画を立てたり、農業用機器の稼働状況から適切な点検タイミングを決定したりすることなどがあります。

4. その他

上記以外でもデータ分析ツールは、多くの分野で有効に活用されているツールです。具体例として下記のような用途があります。

  • 医療、福祉分野: 患者に関する医療情報 (CTやレントゲンなどの画像データ、投薬情報などの診療データ)
  • 教育分野: 児童・生徒の学習履歴や試験結果などのデータ
  • 飲食サービス業: 顧客の属性や来店日時、立地、天候、メニューごとの売上、食材のロスなど
  • 金融業: 顧客の属性データや取引履歴など
  • データ分析ツールの原理

データ分析ツールの原理

1. 分析の概略

データ分析ツールでは、必要なデータを収集して整理し、目的に沿った情報を抽出します。データ分析ツールの分析の流れは下記の通りです。

  1. データの処理:
    膨大なデータを扱いやすい形に処理・変換する。
  2. データの抽出:
    扱いやすい形に処理されたデータから必要な部分だけを抽出する。
  3. データのレポート:
    複雑なデータをグラフやチャート、表などを用いて可視化し、素早く正確なレポートを作成する。

データの処理によって、膨大なデータが取り扱いやすくなります。また、抽出によってデータの整合性や品質が向上し、正確でわかりやすいレポートによってデータの理解が深まります。これらの効果により、精度の高い決定・判断や、考察・報告を行うことが可能です。

2. 分析手法

データ分析ツールでは様々な分析手法をシチュエーションごとに使い分けています。使用されている主な分析手法は下記の通りです。

  • クロス集計:
    収集したデータを性年代別などの属性や、アンケートなどの設問などに分けて傾向を把握する手法です。属性ごとの傾向を把握しやすい手法です。
  • クラスター分析:
    収集したデータの中から類似性の高いものをグループに分けて分析する手法です。特に、顧客の嗜好を把握する際などに有効です。
  • バスケット分析:
    顧客が買い物かごへ一緒に入れる商品を分析し、商品やサービスの相関関係を分析する手法です。アソシエーション分析の一種でもあります。
  • 回帰分析:
    結果となる数値と要因になる数値の関係を調べて、その関係性を明らかにする手法です。
  • 決定木分析:
    予測の繰り返しにより複数の結果を導き出す手法です。目的変数に対して何度も説明変数のクロス集計を繰り返し、関連性を見出します。
  • 主成分分析:
    複数のデータを少数のデータ (主成分) に要約する手法です。多数のデータを主成分に要約することで、データを理解しやすく処理します。

これら以外にも、商品や売上、顧客などをランク分けするABC分析や、明瞭なデータと不明瞭なデータから曖昧なデータを予測するグレイモデル、複数の変数データに共通している因子、原因を探る因子分析などがあり、様々な手法が複合的に用いられます。

データ分析ツールの選び方

データ分析ツールを選ぶ際の主な着眼点は、

  • 導入目的
  • 機能の内容
  • 操作性
  • コスト・サポート

の4つに分類されます。

1. 導入目的

データ分析ツールを有効に活用するためには、導入する目的が明確である必要があります。データ分析ツールはあくまでもビジネス上の目的を達成するための手段です。

ツール選択の段階で、データ分析をする必要があるのは何故か、データを分析するビジネス上の目的は何であるかをはっきりさせておくことで、ツール導入自体が目的化するのを防ぐことができます。また、これによりツールに求める機能がはっきりとするため、ツール選定のプロセスもスムーズになり、導入後の目的達成もスムーズになると考えられます。

2. 機能の内容

ツールの機能を吟味する際は、第一に自社の業種・業務内容等に合っているかどうか、自社の目的を達成するのに必要な機能があるかどうかを検討することが必要です。

また、自社内の既存データやツールとの連携が可能であるかどうかも事前に確認する必要があります。企業内におけるデータ形式には、独自のデータベースやPDF、エクセルファイル (.xls, .xlsx) など色々な形式があります。データ分析ツールを用いて既存のデータを収集し、分析を行うためには既存システムとの互換性を満たすことが必要です。

3. 操作性

データ分析ツール導入に際しては、現場担当者にとっての使いやすさを検討することも必要です。直感的に操作できるデータ分析ツールもありますが、一方でプログラミングのスキルを前提としていたり専門知識を要するツールも存在しています。担当者 (利用者) のスキルに合わせて、担当者が簡単に操作できる製品を選ぶことが重要です。

トライアルが可能なツールもあるため、トライアルを試してみるのもおすすめです。

4. コスト・サポート

データ分析ツールには、無償ツールと有償ツールとがあります、有償ソフトでは、製品によってコストのかかり方が異なります。

例えば、ある製品では初期費用が無料である一方でランニングコストが高く、また別の製品では逆に初期費用は高いもののランニングコストが安くなっています。投資対効果について十分に吟味し、継続的にコストをかけられる予算内での製品を選ぶ事が必要です。

また、開発元のサポート体制については製品によって大きく異なるため、充実度を確認することが大切です。海外の企業で開発されたツールの場合、日本語でのサポートが提供されない場合があります。また、特に無償ツールでは、不明点や不具合が発生した際のサポート窓口自体が存在しない場合があります。

参考文献
https://business.ntt-east.co.jp/bizdrive/column/bizdrive_dataanalysis_tools.html
https://yellowfin.co.jp/blog/9-jpblog2-excel-vs-bi-tool#i-4
https://www.ntt.com/business/sdpf/knowledge/archive_63.html https://www.tryeting.jp/column/2391/

本記事はデータ分析ツールを製造・販売するニュートラル株式会社様に監修を頂きました。

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故障予測ツール

監修:ニュートラル株式会社

故障予測ツールとは

故障予測ツールとは、過去の蓄積データなどを元に装置・設備・機器などの異常や故障の前兆を検知するツールです。

データサイエンス・AIを活用し、データ分析を元に予兆検知モデルを実装し、故障を予知します。故障予測ツールを用いることで、製造業では製造ラインの停止や不良品の発生を予防し、稼働率向上と歩留まりの向上を図ることができます。サーバー機器やハードディスクなどの故障予測にも用いられることがある技術です。

故障予測ツールの使用用途

1. 製造業

故障予測ツールの主な用途は、製造業一般の設備・機器における設備の異常や不具合の予知です。製品不良の発生率を削減することができ、歩留まり向上の効果があります。また、故障を予知することで結果的に製造設備の稼働率を上げることができます。

2. プラント設備

プラント設備の点検では、場合によってはセンサーによる検知が困難であるクラック、腐食などがあることがあります。画像データを収集して分析することにより、クラック、腐食の識別、判定について評価を行い故障予測を行っている場合があります。

3. 航空機

航空機の整備において、故障予測ツールが活用されている事例もあります。ある事例では、仮説探索を実施し、整備士の知見と組み合わせて活用することで、多くの予兆が検知されました。

4. サーバー・ネットワーク機器・コンピュータ

企業などの業務内容によっては、ネットワーク内にサーバー機器やネットワーク機器、設備機器など、大量の機器を管理している場合があります。このようなネットワーク内に多くの機器を管理する場合に、突発的な故障を防ぎ、予め故障に対して対処しておく目的で故障予測ツールが活用されます。

また、企業全般においてハードディスクの故障は業務に致命的な影響を及ぼします。企業のクライアントPCを対象として、ハードディスクの故障を予測するデータ保全対策ツールも使用されています。このツールでは、HDDに搭載されるS.M.A.R.T.の情報を元に、ハードディスクの故障予測日を独自に算出することが可能です。

また、一般消費者向けにPCの故障を予測する製品「PC故障チェッカー」として提供されている製品もあります。

故障予測ツールの原理

故障予測ツールでは、主に統計解析、ディープラーニング、機械学習、AIなどの高度なデータ分析技術が用いられています。故障予測に用いられている主な検出原理は下記のとおりです。

  • 外れ値検出:
    他のデータと比較して乖離している値を検出する
  • 変化点検出:
    時系列のあるデータ群において、急激にパターン・傾向が変化するタイミングを検出する
  • 異常部位検出:
    時系列のあるデータにおいて、外れ値が発生した特定の期間を異常なデータとして検出する

また、AIに学習させる方法では、大量の過去データ (教師データ) を用意してAIに学習させる方法である教師あり学習と、教師データを用意せずに学習させる教師なし学習の2種類に大きく分類することができます。

1. 教師あり学習

教師あり学習は、過去のセンサーデータ (温度、湿度、振動、音など)・画像など、既に過去のデータが十分に集まっている場合に適しています。故障予測ツールのシステム構築の大まかな流れは下記の通りです。

  1. データの可視化:
    収集したデータを可視化します。特徴、パターン、傾向などを分析するとともに、予兆検知すべき異常とデータの関係性を把握します。
  2. 前処理・特徴量設計:
    データを分析できる状態に加工するため前処理を行い、続いて高いレベルの情報を捉えた 「特徴量」に変換する作業を行います (特徴量設計) 。
  3. 故障予測モデルの構築:
    適切な統計分析手法や、AI・機械学習の手法を検討し、評価を行い、異常予兆検知モデルを構築します。
  4. 故障予測モデルの実装・稼働

2. 教師なし学習

教師なし学習では、基本的には、正常に分類されるデータのみを用いて、そこから外れたものを異常とします。主な手法にはSVDD (英: Support Vector Data Description) やPCA (英: Principal Component Analysis)などがあります。

SVDDでは、 カーネル関数で2つのデータの類似度を表し、「正常」の領域のみを定義します。主成分分析の一種であるPCAは、複数の要素で構成されたデータの特徴からデータの「主成分」を作成し、「正常な領域」の定義を行います。それ以外では、PCAに修正を加えた手法としてRPCA (英: Robust Principal Component Analysis)と呼ばれる手法もあります。

故障予測ツールの選び方

故障予測ツールは、様々な業種で用いられていることから、多様な製品が提供されています。導入の際は、課題や目的を明確にし、業務内容・用途に合ったものを選択することがまずは重要です。

また、「現状どのようなデータが取得できているのか」を明らかにすることは、どのような分析モデルを構築するのかや、教師あり学習が適しているのか教師なし学習が適しているのかを決定する上でも必要となります。用途においても、「とにかく故障を予測できれば、故障の原因追求までは必要としていない」のか、「故障の原因まで予測できなければならない」のか、など、どこまでをツールに求めるのかを明らかにする必要があります。

参考文献
https://www.ntt-at.co.jp/product/da-anomary-detection/
https://www.iim.co.jp/products/luina/
https://jpn.nec.com/solution/dotdata/tips/failure-prediction/index.html

本記事は故障予測ツールを製造・販売するニュートラル株式会社様に監修を頂きました。

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防水サーボ

監修:株式会社Hitec Multiplex Japan,inc.

防水サーボとは

防水サーボとは、サーボモーターのうち、防水仕様となっている製品のことです。

完全防水(IP67)規格の製品では、徹底した防塵・防水性能を備えており、水中だけでなく、劣悪な環境の汚水、油の中、噴霧塗装の中でも使用できます。

防水サーボの使用用途

防水サーボも基本的には普通のサーボモーターと同様に、生産ラインや計測装置、医療機器などの産業用途一般や、無人航空機、ラジコンなどに用いることが可能です。

産業用途・業務用途などでは、明らかに水没する用途ではなくとも、もし水がかかった場合に備えて、防水サーボが好まれる場合もあります。特にIP67の完全防水の製品は防塵性能も高いため、耐久性および耐環境性能が求められる産業用途で特に有効です。

具体的な用途例には、以下のようなものが挙げられます。

  • 各種産業機器
  • UAV・UGVなどの舵可動部
  • ロボット (産業用途及び研究分野) 
  • ヘリコプター、ドローン、ボートなどの産業用無人機
  • 屋外設備の解錠装置
  • 生産設備

それ以外の防水サーボ特有の用途の1つは、ホビー用途におけるボートなどの水場で用いるラジコン機械などです。ボートのように明らかに水場で使用するラジコン以外でも広く用いられます。電子工作・ラジコン関係の主な用途例は下記の通りです。

  • 各種スケールのラジコンボート (EP、GP) 
  • 各種スケールの飛行艇、ラジコンエアープレーン
  • 各種ラジコンカー (1/10、1/8、1/5、1/4 スケールのオンロードカー及びオフロードカー、ジャイアントスケールカー、EPカー、1/10GPカー)
  • 各種ラジコンヘリコプター (30〜90クラスのGPヘリコプター、600クラスEPヘリコプター、ジャイアントスケールヘリコプター)
  • ロボット、ドローン

防水サーボの原理

1. 動作原理

防水サーボでは、製品によって、ブラシレスモーターやコアレスモーター、3極コアードモーター、5極カーボンブラシモーターなどが使用されており、高効率にトルクを発生させています。また、通常のサーボモーターと同様にエンコーダが付属しており、エンコーダによって、モーター変位を制御機器へフィードバックすることができます。

ブラシレスモーターとは、整流子やブラシなどの機械的な接触部を取り除いたモーターです。整流子の代わりを電子回路が行っています。直流モーターは、ステータの巻き線の磁力移動によって、永久磁石のロータを回転させます。巻き線の電流切り替えを、位置センサ検出で行い、適切なタイミングで回転させます。

コアレスモーターとは、ロータに鉄心のないモーターです。内側に永久磁石を配置し、磁石の外側に樹脂で固めたカップ状のコイルが巻かれています。コイルに電流を流すと、フレミングの左手の法則を受け、コイル部分が回転する仕組みです。コイル部分が回転するのでロータと呼びます。

2. 防水・防塵

電子機器の防水性能・防塵性能を表す指標は、IP保護等級 (IP規格) と呼ばれ、IEC (国際電気標準会議 ) で国際的に定められており、日本国内においてもJIS (日本工業規格) によって採用されています。

IP保護等級は2桁の数字で表され、1つ目の数字が防塵性能、2つ目の数字が防水性能を表します。防塵・防水いずれかの保護性能だけを表す場合は、もう一方がXで表されます (IP6Xなど)。

IP67等級の防水サーボは完全防水で、防塵性能を表す等級の「6」は、規格において最高レベルです。耐塵型であり、接続端子など保護が必要な部分を除き、粉塵が機器内部に侵入することはありません。防水等級「7」は防浸型で、規定の圧力、時間で水中に浸漬しても有害な影響を受けない性能が担保されている等級です。

防水サーボの外装ケースは、フルメタルケース/エンジニアリングプラスチック/エンジニアリングプラスチックとメタルとの組み合わせなど様々な種類がありますが、いずれも防水構造で保護等級の規定を満たすようになっています。

防水サーボの種類

防水サーボは、製品によって定格トルクピークトルクや、回転数・スピードが異なります。これは、前述の通り内部で採用されているモーターについてブラシレスモーターやコアレスモーター、3極コアードモーター、5極カーボンブラシモーターなどの種類があることや、対応電圧が異なることなどによります。

コントローラーユニットも、製品によって差異があり、特に32ビットMCU (マイクロコントローラーユニット) と12ビットADC (アナログ-デジタルコンバーター) を搭載しているような機種では、高分解能、高速応答が実現可能です。

制御信号は、PWM方式でもTTL (半二重通信) コマンド方式でも使用が可能となっている製品も多くあります。製品によっては専用プログラマーにて操作フィーリングや各機能を変更可能な機能もあります。

使用する際は、各機能・仕様をよく吟味し、用途に合ったものを選択することが重要です。

参考文献
https://hitecrcd.co.jp/industrial/hitecservo/d-series-waterproof.html

本記事は防水サーボを製造・販売する株式会社Hitec Multiplex Japan,inc.様に監修を頂きました。

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チケットプリンター

チケットプリンターとは

チケットプリンターとは、チケットを印刷するためのプリンターです。チケット以外にラベル、レシートなどを印刷することができる製品もあります。

印刷物が小さいことから、多くのチケットプリンターは卓上にも置けるくらいの小さいサイズです。印刷方法には、熱転写方式やサーマルドット方式など、サーマル方式が採用されています。ロール紙などを用いて印刷する機種が多いですが、ラベル紙やPETカードに対応している製品もあり、各種ラベルや定期券などのカードなど、多様な用途での印刷に用いられている装置です。

チケットプリンターの使用用途

チケットプリンターは、各種受付や小売店舗のレシートやクーポン券などの印刷に用いられるプリンターです。また、ラベル紙に対応している製品では、各種ラベルの印刷に用いられます。具体的な用途の例は下記の通りです。

  • 催し物における各種チケットの発券 (コンサート、展示会、カンファレンス)
  • 旅行業界やレジャー業界などにおけるチケットの発券
  • 鉄道における定期券や各種乗車券などの発行
  • 空港における搭乗券や手荷物タグの発行
  • 小売業におけるPOSレシート、領収書、保証書、商品券などの発行
  • 運送・倉庫などにおける、出荷ラベル、配送伝票などの発行
  • 官公庁における訪問者ラベルの発行
  • 地図やWeb画面の印刷、ホテル明細書などの発行

チケットプリンターの原理

チケットプリンターの多くはサーマルプリンターであり、熱転写方式や感熱方式 (ダイレクトサーマル方式など) によって印刷が行われています。熱転写方式はインクリボンを使用する印刷方法であり、感熱方式は感熱紙を利用する印刷方法です。

1. 熱転写方式

熱転写プリンターは、熱転写インクリボンを使用し、サーマルプリントヘッドの熱でインクリボンのインクを紙に転写する印刷方式です。ラベルの基材によっては、熱、薬品などに強いものを作ることができ、耐環境性に優れています。一方、感熱方式に比べてプリンターの大きさは比較的大きいくなる傾向にあります。

2. 感熱方式 (ダイレクトサーマル方式)

ダイレクトサーマルプリンターは、熱によって化学反応で発色する感熱紙を使用して、サーマルプリントヘッドの熱によって直接印字する方式です。ランニングコストが安く、プリンターを小型にしやすい特徴があります。一方、感熱紙は、熱や薬品により変色しやすく、長期保存にはあまり向きません。基本的には単色での印刷となります。

チケットプリンターの選び方

チケットプリンターは、様々なメーカーから多様な種類の製品が販売されています。下記の点を踏まえ、用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

1. 用紙

チケットプリンターは、通常ロール紙に印刷を行いますが、中にはPETカードへの印刷に対応し、乗車券や定期券などを発行できる機種もあります。印刷幅は、単一幅に対応している製品のほか、25mm前後から115㎜前後まで幅広く対応している製品もあります。特に、幅の広い110mm前後の用紙では領収書、配送伝票、保証書などに適しています。

また、紙厚65μm~150μmまで広く対応している機種もあり、厚紙対応の機種では高級感のあるしっかりとしたチケットを印刷したり厚紙ラベルを印刷したりすることが可能です。

2. 印刷解像度・文字種・印刷速度

チケットプリンターの解像度は200〜300dpiであることが多いです。解像度が高いほど、印刷の速度は遅くなります。用途と予算に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。また、また、印刷したい内容に対して文字種類が十分に用意されていることが必要です。英数字、国際文字、半角漢字、JIS第一/第二水準漢字、JIS C 6226-1983、などの他、機種によっては中国語、ギリシャ語、ポーランド語、ロシア語、スカンジナビア語、トルコ語などが標準搭載されている場合もあります。

また、A4サイズの印刷データを112mm用紙幅に縮小して印刷することが可能な高解像度機種では、Web画面、ホテル明細書などを鮮明に印刷することが可能です。

3. カッター

チケットプリンターの多くはオートカッターが搭載されていますが、中にはそうでないものもあるため注意が必要です。また、カッターの種類を一体型と分離型から選択することが可能になっている機種もあります。

4. ソフトウェアと外部接続

チケットプリンターは、パソコンへの接続が想定されている製品の他に、プリンタ内部のプログラムにより、バーコードリーダーなどの周辺機器と接続するのみで印字可能なものがあります。

いずれにせよ利用に際して何かしらの機器やネットワークに接続することが前提であるため、通常LAN、USB、WLANなどのポートが備えられています。また、一部の製品では無線LANやBluetooth接続に対応しています。

参考文献
https://star-m.jp/products/s_print/tsp800ii/index.html
https://satoasiapacific.com/ja/product/%e3%83%81%e3%82%b1%e3%83%83%e3%83%88/

需要予測ツール

監修:ニュートラル株式会社

需要予測ツールとは

需要予測ツールとは、既存のデータを元にサービスや商品の需要を予測することができるツールです。

需要予測ツールで検討される既存データには、過去の販売実績はもちろん、天候・季節、景気、競合他社の動向や、その他のトレンドなど、様々なものがあります。需要予測ツールを適切に活用することで、生産計画や販売戦略を合理的に決定することが可能です。需要予測ツールは、現在のビジネスの効率化・最適化だけではなく、新規参入する市場の見極め、人材獲得や設備投資の計画、設備投資、資金調達などの業務改善にも役立てられています。

需要予測ツールの使用用途

需要予測ツールは、多種多様な業種で利用されています。具体的な業種の例は下記の通りです。

  • 小売り・サービス業
  • 飲食
  • 不動産
  • 物流
  • 製造業 (工業・食品、その他製造一般)
  • 農業生産
  • レジャー
  • タクシー業界
  • コールセンター

例えば、小売店では売上見込を予測することで仕入れや人員配置の最適化を行うことができ、飲食業界では、時間帯ごとにメニューの販売数量を予測することで食品ロスの減少と適正な人員配置を行うことが可能です。

タクシー業界では、需要予測により需要の多い場所・売上・乗車ニーズを割り出すことで効率の良い配車を行うことに活用されています。コールセンターでは、入電予測を行うことで最適化された人員配置に役立てられています。製造業では、過剰生産による過剰在庫や需要過多による在庫切れなどを防ぐことが可能です。

需要予測ツールの原理

1. 概要

需要予測システムは、大量に蓄積された既存データから、統計学の技術を活用したアルゴリズムを用いて未来の需要を計算・予測します。最近では、特に機械学習すなわちAIにデータを学習させて予測モデルを構築するものが主流です。

2. AI・機械学習

機械学習とは「データから機械すなわちコンピューターが自動で学習を行い、データの背景にあるルールやパターンを発見する」という技術です。AIを用いた需要予測システムは、大量のデータを高速処理できることから、複雑なパターンや傾向も扱うことができ、他のツールに比べてより正確な予測が可能であるとされます。

ただし、これは「過去に起こったパターンや傾向は、未来にも継続する可能性が高い」という仮定に基づいている技術です。そのため、災害などの予測困難な一回限りの突発的な事象による影響は予測しにくいというデメリットもあります。

2. 具体的な統計学的手法

需要予測ツールで用いられている主な統計学的手法の例は下記の通りです。

  • 算術平均法:
    過去の実績データを直接的に平均化した値を用いて需要予測を行う方法。
  • 移動平均法:
    前年同時期の実績データなどと直近のデータを平均し、需要予測を行う方法。
  • 加重移動平均法:
    移動平均法において、特定のデータに重みをつけて平均を取る方法。
  • 指数平滑法:
    過去の予測値と実際のデータをもとに、新しい予測値を計算する方法。特に短期の予測に最適。
  • 回帰分析法:
    因果関係を持つ複数の変数をもとに、未来の需要を予測する方法。要素が複雑な需要予測に適切。

需要予測ツールの種類

需要予測ツールは、上記の通り、様々な業種・目的で利用されている製品です。そのため、小売店の売上予測、在庫の適正管理などの特定の目的に特化した製品や、ある程度広い範囲の分野にオールラウンダーに対応している製品など、様々なものがあります。また、需要予測と連動した自動発注アプリケーションなども販売されています。

購入形態は、月額もしくは年額課金方式など、サブスクリプション式の製品が多いです。無料試用期間を設けている製品もあります。利用する際は、用途や状況に合わせて適切なものを選択することが必要です。

参考文献
https://it-trend.jp/demand_forecast_system/article/152-611
https://it-trend.jp/demand_forecast_system/article/important_things
https://www.fujitsu.com/jp/group/fjm/business/mikata/column/fjj-kotake3/

本記事は需要予測ツールを製造・販売するニュートラル株式会社様に監修を頂きました。

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AI予測ツール

監修:ニュートラル株式会社

AI予測ツールとは

AI予測ツールとは、AIすなわち人工知能を用いて近い将来や未来に起こる事象を予測するツールです。

AIは、機械学習によって大量に蓄積された既存データからデータ同士の関係性を見出して分析することに優れています。この仕組みを未来予測に応用したものがAI予測です。大量のデータを高速処理できることから、複雑なパターンや傾向も扱うことができ、他のツールに比べてより正確な予測が可能であるとされます。

AI予測ツールの使用用途

1. ビジネス

AI予測ツールは、ビジネスでは、仮説に基づいてデータ傾向の把握を行い、新しいデータに適用することによって、未来の予測を行うことに用いられます。商業ビジネスでは、過去の販売実績や気象状況などのデータを元に、商品需要の変動を予測するシステムなどがあります。商品需要以外にも、商談成立確率、売上予測などにも用いられるシステムです。

金融では、過去のデータの傾向を元に、株価や景気などの動向を予測することが可能です。不動産業界では、将来の不動産資産価値を予測することに用いることができます。それ以外では、特に医療・気象などで活用しやすいツールです。

2. 医療

医療関係では、過去の統計からインフルエンザなどの感染症の感染傾向を予測することにAI予測を用いることができます。感染者数や症状の内容や重篤度などのデータに基づき、流行しそうな地域や感染者数の推移を予測することが可能です。

また、患者個人単位では、例えば不整脈の検出に基づいた重篤疾患の発症予測などの用途例があります。日常生活での数分の検査で心房細動などの不整脈を検出して重篤な心疾患や脳梗塞などの脳疾患の発症リスクを予測します。

AI予測によって早期診断による適切な治療を実現することでADL (日常生活動作) の低下を防ぎ、患者の予後を改善することが可能となります。

3. 気象関係

気象関係におけるAI予測の主な用途は、天候の変化の予測です。統計的気象データを学習し、各地の気温や風向きなどの情報に基づいて天気予報を行うことが可能です。

また、雪が多く降る地方では、 新幹線車両の着雪量予測などに用いられます。雪国を走る新幹線は、走行中に車両の下部に雪が付着しますが、固まりになった雪が線路に落下すると線路の砂利が飛び散るなどして危険です。雪を取り除くための人員確保や、作業の要否の判断を行うため、AIによる着雪量予測が活用されています。

4. その他

上記以外では、防犯対策や水道管の劣化予測などにもAI予測が活用されています。防犯では、監視カメラの情報や過去の統計から犯罪発生の可能性が高い地域や時間帯をAI予測によって割り出し、早めに対策ができます。

 水道管路の劣化予測では、使用年数だけでなく周囲の環境要因も影響するため、複雑な予測が必要となります。AIを用いることで過去の統計データから劣化状況を予測し、高精度な破損確率の推定を行うことができます。配管交換における優先順位を決定することに役立ち、更新計画を最適化することが可能です。

AI予測ツールの原理

AI予測は、機械学習を利用して行われます。機械学習とは「データから機械すなわちコンピューターが自動で学習を行い、データの背景にあるルールやパターンを発見する」という技術です。AI予測ツールでは、大量のデータをAIに学習させることで、未来に起こる事象を高精度で予測します。

ただし、これは「過去に起こったパターンや傾向は、未来にも継続する可能性が高い」という仮定に基づいている技術です。そのため、予測困難な一回限りの突発的な事象による影響は予測しにくいというデメリットもあります。

入力されたデータから予測を行う具体的な仕組みには多様なものがありますが、主な仕組みとしては、「ニューラルネットワーク」や「線形回帰」「決定木」などが挙げられます。用いられている仕組みは、それぞれのシステムによって異なっています。

  • ニューラルネットワーク:
    神経回路を模した複数の層 (「入力層」「中間層 (隠れ層) 」「出力層」) を持つシステムに大量のデータを入力し、判断を出力する方法。
  • 線形回帰:
    2つ以上の要素の関係性を数式で表現できるものと仮定し、「ある要素の値が変動すると、別の要素も連動して変動する」という形で予測を行う方法
  • 決定木:
    YESまたはNOで答えられる説明変数の値をもとにデータを振り分け、事象が今後起こる確率を数値化する方法

AI予測ツールの種類

AI予測ツールは、前述の通り、様々な業種・目的で利用されています。そのため、特定の目的に特化した製品や、ある程度広い範囲の分野にオールラウンダーに対応している製品など、様々なものがあります。特定の分野に特化している製品では、来店予測、予測型経営DXシステム、需要予測など、商業・ビジネス向けの製品が多いです。

また、購入形態には買い切りのほか、サブスクリプションに対応している製品もあります。ITの背景知識が無くても容易に理解できるよう、インターフェースが視覚的に工夫されている製品もあります。使用する際は、用途や状況に合わせて適切なものを選択することが必要です。

参考文献
https://ledge.ai/articles/ai-forecast
https://jpn.nec.com/solution/dotdata/tips/ai-predictions/index.html
https://www.itreview.jp/categories/predictive-analytics?sort=review_num_desc

本記事はAI予測ツールを製造・販売するニュートラル株式会社様に監修を頂きました。

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フルーツ皮むき機

フルーツ皮むき機とは

フルーツ皮剥き機 (フルーツピーラー) とは、果物の皮を効率よく取り除くために設計された器具です。

業務用およびプロ用ともに様々な製品が販売されています。果実の皮の厚さや硬さは様々なので、処理する果実に合わせて機械を選んだり、設定を調整する必要があります。

フルーツ皮むき機の使用用途

ピーラーは、家庭用や小規模な専門環境そして業務用などで多様な目的に使用されています。

小規模な専門環境では、オレンジやグレープフルーツなどの厚皮の果物を処理し、皮を簡単に剥くことができます。キウイやトマトなどの柔らかい果皮の果物も内部を傷つけずに効率的に処理することが可能です。

フルーツ皮むき機の原理

刃の形がピーラー状になっているタイプの機械では、フルーツを回転軸 (回転爪) に固定して回転させ、刃を皮に当てることで皮を剥きます。

回転の動力は、家庭用では手回し式のものもありますが、業務用など大量の皮むきを想定したものでは電動が採用されています。製品にもよりますが、皮を剥く厚みは調整が可能であり、むき上がり表面がなめらかです。

また、従来法の円筒形などのユニットで削り取るものに比べて、剥きすぎる部分が少ないため、廃棄率を抑えることができます。

フルーツ皮むき機の特徴

フルーツピーラーは、業務用では飲食店や工場などの施設で重要な役割を果たしています。手作業の皮むきに比べて30%以上効率を向上させ、切り分けた果物やケーキ、フルーツサンドイッチなどの生産に関わる場合は大いに役立ちます。

電動ピーラーはオレンジ、グレープフルーツ、リンゴ、キウイなどさまざまな果物に対応し、柔らかい果物 (柿や洋梨など) や玉ねぎ、じゃがいも、カブ、トマトなどの野菜にも対応します。また、パイナップル、メロン、マンゴーなどの大きな果物や、特定の果物に合わせたモデルもあり、処理効率を向上させます。

市場には、特定の機能を持つさまざまなサイズのピーラーも存在します。例えば、コンパクトなテーブルトップタイプから、大規模な工場向けに設計されカスタマイズされた大型モデルまであります。一部モデルには、皮剥き機能だけでなく、リンゴや洋梨、パイナップルなどの果物をスライスや芯抜きする機能も備えています。機械の特長と特性を理解することが、ニーズに最適なオプションを選択する最も重要な要素です。

参考文献
https://e-astra.co.jp/appeal/
https://e-astra.co.jp/products/fap-1001/
https://vislider.com/kawamuki/

ホイロ

ホイロとは

ホイロとは、製パンにおいて用いる発酵庫・発酵器です。

漢字では「焙炉」と表記し、元々は食材などを緩やかに熱して、加工するための木箱のようなものを指す言葉でした (煎茶の製造など) 。製パンにおいても、古くは棚を備え付けた木製を作り、その中を蒸気などで温めて、パン生地を入れて発酵させていた歴史があります。

今日でも、製パン工程における最終発酵工程のことを「ホイロをとる」もしくは単純に「ホイロ」と呼ぶ場合もあります。装置としてのホイロは、パン生地を収納する棚を備え、温度と湿度が管理できるようになっている機器です。季節・室内環境に関わらず適切な発酵環境を保つことができます。なお、類似した業務用の装置には、ドゥコンディショナーがあります。

ホイロの使用用途

ホイロは、業務用の製パンにおける発酵工程において適切な発酵環境を維持するために用いられます。製パンにおいて一次発酵をフロアタイムと呼び、二次発酵をホイロと呼ぶことから、一次発酵は室温で行われることが主流でした。

ただし、現在の業務用製パンでは、ホイロやドゥコンディショナーなどの温度管理装置を用いて行われることもあります。また、ホイロと呼ばれることは少ないながら家庭における製パンでも、発酵器が用いられることがあります。

ホイロの原理

ホイロは電力でヒーターを作動させ、庫内を設定温度・設定湿度に保つ電気機器です。基本的に冷却機能がないため、管理できる温度帯は常温以上です。最高温度は45℃から50℃程度が多いですが、中には最高温度90℃の機種もあります。

湿度については、加湿用貯水タンクや加湿用ヒーターが備え付けられており、加湿することができます。通常、環境湿度から99%までのことが多く、環境湿度より低くする機能はついていません。庫内は、パン生地を収納しやすいように棚式やキャビネット式が主流です。製品によってはガラス扉を採用したり庫内灯を備えたりして、庫内が見やすいように工夫されています。

電源は、交流電源単相100V消費電力750W程度のものが多いですが、大型の製品では三相200V電源を必要とする機器もあります。

ホイロの種類

ホイロは大きく、業務用と家庭用に分けることができます。家庭用のものはホイロと呼ばれるのはやや少なく、「家庭用発酵器」として販売されている場合が多いです。家庭用の製品は業務用のものに比べて小型で棚数が少ないものの、折り畳める構造だと収納の邪魔になりません。

業務用のホイロは、今日では後述するドゥコンディショナーで代用されるようになった部分もありますが、細かな部分では下記のような種類があります。

1. リターダーホイロ

冷凍パン生地を解凍して、冷蔵保存し、さらに昇温して最終発酵まで行うことのできる機械です。

2. 台下タイプ

麺台 (作業台) の下がホイロになっている形状です。麺台で生地を分割してすぐに番重ごと下のホイロに入れて、ベンチタイムや最終発酵を取ることが可能です。

3. 乾ホイロ

加湿をしないタイプのホイロです。比較的低温低湿度で発酵させる、フランスパンなどのハード系のパンに用いられます。

ホイロのその他情報

ホイロとドゥコンディショナーと違い

ドゥコンディショナーとは、冷凍から発酵 (ホイロ) まで、庫内の温度・湿度を自動制御することができる機械です。ホイロが保温・加湿機能のみであることと異なり、ドゥコンディショナーには保冷やタイマーなどの機能があることが大きな違いです。「ドゥ」とは、英語でパン生地を表す「dough」に由来しています。

ドゥコンディショナーを用いることにより、パン生地の保冷や解凍、最終発酵までパン生地を良好な状態に保ちながら、設定した時間に合わせて一連の工程を自動で行うことが可能です。作業の省力・効率化につながるため、今日ではホイロの上位互換として業務用にドゥコンディショナーが採用されることも多くなっています。

参考文献
https://www.bgst.jp/doukon-hoiro/
https://www.remacom.com/shopdetail/000000000944/