強化段ボール

監修:ナビエース株式会社

強化段ボールとは

強化段ボールとは、一般段ボールと比較して強度が非常に高い、丈夫な段ボールのことを指します。

段ボールは、表の紙 (表ライナ) と裏の紙 (裏ライナ) 、それに挟まれた波型の中芯原紙が接着剤で貼り合わせられて作られています。強化段ボールは、表ライナ・中芯・裏ライナのいずれか又は複数に強度補強が施されています。これにより、木材並みの強度を発揮することができます。

一方、木材に比べて重量は数分の1と非常に軽量であり、廃棄時には通常の段ボールと同様に古紙としてリサイクルが可能です。これらの特性から、強化段ボールは多様な用途で利用されており、重量物の梱包、段ボールパレット、作業台やデスクなどの家具に使用することが可能です。

強化段ボール

図1. 強化段ボール

強化段ボールの使用用途

強化段ボールは、一般的な段ボールに比べて強度が高いため、下記のような様々な用途があります。

  • 一般的な梱包 (冷蔵品や冷凍品、青果物、小型機器など)
  • 重量物の梱包
  • 輸出梱包
  • 木箱の代替
  • 段ボールパレット
  • 子供の玩具、遊具
  • 展示台
  • 椅子などの家具
  • 災害時の避難所生活でのベッドや仕切り
  • 治具、生産補助具
  • 作業台

強化段ボール製の製品は、軽くて扱いやすく、また、使用後は通常の段ボールと同様に古紙としてリサイクルが可能です。木材やスチール梱包からの切り替えを始めとする梱包材としての使用が中心ですが、強化段ボールの家具や遊具は、工具やねじなどを使用することなく簡単に組み立てることができ、扱いやすいことも魅力の一つです。

強化段ボールの活用事例

図2. 強化段ボールの活用事例

強化段ボールの原理

1. 強化段ボールの概要

前述の通り、強化段ボールを作るには、ライナを強化する、中芯を強化する、若しくは両方を強化する場合があります。

一般的な段ボールには古紙の割合が高いライナが使用されますが、ライナを強化する場合は、パルプの割合が高いライナが使用され、一般段ボールよりもライナが強くて厚くなっています。また中芯を強化する場合は、厚めの中芯原紙を使用したり、特殊な薬剤を用いて強度を補強します。

強化段ボールのシートは指で押しても凹まず、木材のような堅さです。一般的な段ボールよりも耐圧・破裂の強度が高くなり、使用するライナの種類によっては耐湿性が高くなります。強化段ボールは中芯の波形の部分(フルート)を2層、3層にすることで更に強度を高くすることが出来ます。

このような特徴により、強度・耐荷重が高くなるため、強化段ボールは木材と変わらない強度を期待して使用することが可能です。

強化段ボール板

図3. 強化段ボールシート

2. 強化段ボールのメリット

強化段ボールには、木材梱包に比較して、

  • 軽量性
  • 環境配慮
  • 輸出の際に燻蒸などが不要
  • 組み立て・解体が簡単

などの優れた特徴があります。

強化段ボールは木材並みの強度を持つ一方で重量は木材の数分の1から1/3です。取り扱い易いだけでなく、輸送にかかる積載重量が下がるため、輸送手段の燃料消費を減らすことができます。また、木箱などに比べると容積も減るため、トラック1台あたりの積載量を増やすことができ、輸送コスト削減も可能です。

また、強化段ボールは処分時には古紙として回収することができるため、環境にも優しい資材です。製造・輸送・廃棄に係るCO2発生量を大幅に削減することができます。更に強化段ボールは、国際基準ISPM No.15の検疫規制に準じた輸出梱包材であるため、輸出の際にも検疫における燻蒸・熱処理の手間がありません。

家具などの組み立てにあたっては、工具などが不要であり、軽量なため、力の弱い人でも取り扱いやすいというメリットもあります。

強化段ボールの種類

強化段ボールは、様々な企業より製造販売されていて、様々な種類があります。一般段ボールの中芯は120g/m2 が一般的ですが、強化中芯では160g/m2強化や180g/m2強化、200g/m2強化とグラム数が大きくなっています。

フルートの種類などによって厚みにはいくつかの種類があります。一般的に、2層強化段ボール (AB、AA・2Aフルート) と3層強化段ボール (AAA・3Aフルート) が主流です。

2層強化段ボールはAフルート(5mm厚)とBフルート(3mm厚)を2層、若しくはAフルート を2層に重ねた構造であり、厚みは前者は8mm、後者は10mmです。3層強化段ボールはAフルートが3層になっており、厚みは15mmです。その他、Aフルート若しくはBフルート1層タイプも強化段ボールとして使用されることが多くあります。

本記事は強化段ボールを製造・販売するナビエース株式会社様に監修を頂きました。

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段ボールパレット

監修:ナビエース株式会社

段ボールパレットとは

段ボールパレットとは、フォークリフトやハンドリフトを使った荷物の運搬に使用されるパレットのうち、段ボール製のパレットのことです。

従来のパレットはプラスチック製や木製のものが主流でした。段ボールパレットは、強化段ボールで製造されているため軽量で扱いやすく、リサイクル性が高いため環境に優しいという特徴があります。不要になった際に処分しやすいため使い捨てのワンウェイパレットとして利便性が高いですが、十分な強度を備えることで繰り返し利用するリターナブルパレットとして使える製品もあります。

段ボールパレット

図1. 段ボールパレット

段ボールパレットの使用用途

段ボールパレットは、他の素材のパレットと同様に荷物の保管や運搬を行うために使用される部材です。リサイクル性が高いことから、ワンウェイ使用に特に向いており、医療・食品分野など清潔性の高い利用用途で重宝されることも多くあります。

倉庫などでフォークリフトやハンドリフトを用いた機械運搬や、保管時の荷役台、などに使用されることが多いです。その他、輸送用、海外輸出用、展示会用ディスプレイなどの用途もあります。一方で、紙であることから水分には強くないため、屋外での使用や湿気などには向いていません。

段ボールパレットの原理

段ボールパレットには、下記のような性質があります。

1. 軽量性

段ボールパレットは、非常に軽量であるため作業者の負担を軽くすることができます。重さは木製パレットの数分の1であり、片手で持つことも可能です。パレットの移動や積み替え時の取り扱いがしやすい資材です。空輸の場合は、荷物だけでなくパレットも総重量に含めて計算されるため、軽量な段ボールパレットはコスト削減に貢献します。

軽量性の一方、耐久性では、1t以上の耐荷重を誇る段ボールパレットもあり、重量物も含めた幅広い荷物の運搬に対応することが可能です。

2. 仕様の自由度

段ボールパレットは、素材が紙のため加工性が高く、木製パレットやプラスチックパレットよりも仕様の自由度が高いことが特徴です。

また、製造時には加工日数が短いのもメリットです。プラスチックパレットでは、パレット作成の為に専用の金型を作成する必要がありますが、段ボールパレットは金型を必要とせず製造でき、加工性が高いため、トータルでの製造コストが低く済みます。

3. リサイクル性・環境配慮

木製・プラスチック製パレットは産業廃棄物に分類されるため廃棄時に費用が発生します。一方、段ボールパレットは古紙としてリサイクルすることが可能であり、処分の際に費用がかかりません。

また、段ボールパレットは、プラスチックや木製パレットに比べて、製造・輸送・廃棄に係るCO2発生量を大幅に削減することができる、環境配慮型の資材です。

4. その他

木製パレットなどと異なり、段ボールパレットにはささくれなどが発生しないという利点があります。また、段ボールパレットは、国際基準ISPM No.15の検疫規制に準じた輸出梱包材であるため、輸出の際も検疫における燻蒸・熱処理の手間がありません。

段ボールパレット

図2. 段ボールパレット

段ボールパレットの種類

段ボールパレットには、様々な種類があります。段ボールの高い加工性を活かして多様な成形加工が可能です。差込口はフォークリフトの種類に合わせた形状の種類があります。片面2方差し、片面4方差し、両面2方差し、両面4方差し、スキッド2方差し、スキッド4方差し、ハンドリフト対応などがあります。荷受け部分の形状も、トレー型や平型があります。

段ボールパレットの大きさは、一般的に長辺が800~1,400mm、短辺は800~1,400mm、高さは120~160mmの範囲です。前述の通り、加工性が高く、製造にあたって金型が不要なため、特殊サイズも比較的柔軟に製造可能な場合が多いです。耐荷重は製品によって異なりますが、1t以上の重量物にも対応しています。

また、段ボールの高い加工性を活かして、製品梱包とパレットが一体化した集合包装を行っているケースもあります。梱包の作業時間短縮や、輸送効率向上が可能です。

本記事は段ボールパレットを製造・販売するナビエース株式会社様に監修を頂きました。

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二軸押出機

二軸押出機とは

二軸押出機とは、シリンダー内で2本のスクリューを用いて樹脂などを溶融・混錬し、押し出す装置です。

 二軸押出機を用いて溶融した樹脂を押し出し、様々な形状で成形・冷却することでプラスチック製品を成型することができます。二軸押出機は単軸の押出機よりも混練性能が高く、二軸押出機を用いることで複数の樹脂や添加剤などをより均質に分散させることができます。二軸混練押出機と呼ばれる場合もあります。

二軸押出機の使用用途

二軸押出機は混練性能性能が特に優れていることから、押出成型の中でも難易度の高いポリマー加工 (流動性が低くて劣化しやすい樹脂素材など) などに使用されることが多いです。また、材料を着色したり、添加剤で改質したりするなど、複数の原料を配合・均一分散する用途に適しています。揮発分除去、化学反応などの処理操作にも使用されます。

主な用途はペレット造粒や、フィルム・シートの製造です。下記は具体的な使用例の一部です。

  • コンパウンドペレット (添加剤や顔料などを練り込んだ樹脂) などの造粒
  • 棒状の押出成形
  • EVAシート成形
  • 金型を使用する射出成型
  • 重合、解重合、化学的改質などのリアクタ
  • ABS湿粉など、ゴム関連の脱水乾燥

二軸押出機の原理

1. 二軸押出機の概要

押出機は、筒状のシリンダー (バレル) の中にスクリューが格納されている構造です。シリンダーは、周囲のヒーターによって熱せられており、機内に投入されたプラスチック原料が溶融します。二軸押出機は、スクリューが2本格納されています。このスクリューがモーターで回転することによって、樹脂がシリンダーのなかで溶融・混練させる仕組みです。シリンダーの回転によって樹脂材料は先端のダイス出口まで搬送され、押出によって成型されます。

2. 二軸押出機のスクリュー

スクリューには、二つの軸の回転が同じ方向の場合 (同方向) と、異なる場合 (異方向) があります。スクリューやバレル間の隙間を調整することで、剪断力や摩擦熱を調整したり、自己クリーニング性を高めたりすることが可能です。一般的に、スクリューの間の間隔が狭い方が剪断力や摩擦熱が上昇します。

二軸押出機のスクリューには、一般的に優れた耐摩耗性と耐腐食性を併せ持つ合金素材が使用されます。材質、形状、表面処理等は用途に合わせて設計されます。例えば腐食性の高い原料の生産にはステンレス鋼、コバルトやニッケル合金などです。ガラス繊維や金属粉によって摩耗が激しくなると予想される場合には、窒化処理などによる表面硬化処理や、合金工具鋼やハイス鋼など高硬度な材料が採用されます。

特に、二軸押出機の部材用に開発された特殊な合金素材を使用することにより、部品消耗が大きく改善し、部品の交換頻度を減少させることによってコストダウンを図ることが可能です。

3. 一軸押出機との違い

一軸押出機 (単軸押出機) と比較して、二軸押出機では、添加剤や充填剤 (炭素繊維、タルク、木粉など) などの異なる成分を均一に混練する操作に優れています。また、内部の材料流れが一軸押出機よりも複雑で、流れのパターンを数値シミュレーションで設計・計算することが難しいと言う特徴があります。

一般的に一軸押出機より二軸押出機の方が高価になります。

二軸押出機の種類

二軸押出機には様々な種類があります。例えば、スクリューだけでも、三条、二条、浅溝、深溝、超深溝と様々な形状の種類があり、用途に応じて使い分けることが可能です。スクリューの間隔も製品によって異なります。

動作機構による種類では、生産性を高めるために高トルクによる効果を取り入れた超高トルク型二軸押出機や、少量の材料開発に適している小型二軸混練などがあります。押出機内の複雑な流体挙動を解析する目的で、内部を可視化出来る押出機なども開発されています。

樹脂パーツ

監修:株式会社国盛化学

樹脂パーツとは

樹脂パーツとは、狭義では自動車に用いられる樹脂製の部品を指しますが、広義では樹脂で作られた部品類一般を指します。

自動車で使用される樹脂パーツにはエアロパーツやバンパーなどの外装パーツや内装材があります。用いられる具体的な素材は、PP樹脂、ABS樹脂やAES樹脂などの熱可塑性樹脂や、ガラス繊維強化プラスチック (GFRP) 、炭素繊維強化プラスチック (CFRP) などです。可塑性や素材の安価さなどから、自動車の樹脂パーツ以外にも様々な用途・分野で樹脂製の部品は使用されています。

樹脂パーツの使用用途

自動車に用いられる樹脂パーツには、

  • ワイパーの根本部分
  • ワイパーやフロントガラスの周辺部
  • タイヤハウスの周辺部
  • ドアミラー
  • バンパー
  • ルーフレール
  • スポイラー
  • 内装材
  • エンジンルームにおけるパワートレーン、エンジン、電子部品 (排ガス処理バルブ、キャブレータ、マニホールド
    、ECUケーブル、ランプソケットなど)

などの部品があります。これらの樹脂パーツは、車体の軽量化に貢献しています。

自動車以外では、樹脂パーツは各種機械部品、家電部品、電子部品、光学部品や、建築資材などの資材一般などに使用されています。樹脂の可塑性・加工しやすさや、素材の安価さが生かされる分野での使用が多い素材です。

樹脂パーツの原理

1. 加工性

樹脂パーツの原料素材であるプラスチックには、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂があります。熱可塑性樹脂は加熱によって柔らかくなる性質を持ち、熱を加えれば何度でも成形加工可能です。一方、熱硬化性樹脂は最初の段階では加熱すると柔らかくなりますが、更に加熱すると硬くなります。そのため、熱硬化性樹脂は繰り返しの成形加工はできません。

2. 加工方法

樹脂パーツの製造・加工方法には、主に、成形加工・切削加工・3Dプリンターなどの方法があります。

成形加工とは、加熱によって溶融した樹脂を金型などに注入し、冷却や圧縮により固めて成形する方法です。

切削加工では、固めた樹脂を機械などで削って加工を行います。特に特殊な加工が必要な場合や何度も試作が必要な場合などに用いられる方法です。

3Dプリンタは、パソコンで作成した立体データをプリントする装置です。成形方法は複数有り、溶かした樹脂を吐出しながら積層したり、樹脂溶液をレーザーなどで硬化させたりする方法などがります。

3. 特性

プラスチックには、下記のような特性があります。樹脂パーツは、主にこうした特性を生かした用途で使用される素材です。特に軽量である特性を活かして、製品の軽量化を目的として採用される場合が多いです。

  • 軽量
  • 加工しやすく (可塑性) 、加工の方法も多い
  • 電気絶縁性に優れている
  • 腐食しにくい
  • 断熱性が高い

樹脂パーツの種類

1. 自動車部品

自動車に用いられる樹脂パーツには「樹脂パーツの使用用途」で挙げた各種外装材・内装材・エンジンルーム内のパーツなどがあります。

使用される樹脂素材の種類は、PP樹脂、PPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチックなどです。熱可塑性プラスチックは加工が容易で熱による修復が可能であるという利点があり、強化プラスチックは強度と剛性に優れ、耐久性が高いという利点があります。

2. 自動車以外

自動車以外にも樹脂パーツは各種産業用途で部品として製造されています。ケーブル・ホースを保護するためのケーブルチェーンと呼ばれる部品や、各種パーテーション、コンテナなどの梱包資材やその部品などが挙げられます。樹脂成形されたケーブルチェーンは、複合連続一体成形品を採用することで滑らかで複雑な三次元方向の動きに対応する部品です。多関節ロボットや協働ロボットなど、ロボット配線に適しています。

家電部品では、電子レンジの部品、電磁調理器のコイルベース、ヘアドライヤーのノズルなどに活用されている部品素材です。電気・電子部品では、マイクロスイッチやコンデンサー、フォトインターラプターCDドライブやDVDドライブの光ピックアップベース、プリント基板、IC部品などにも樹脂パーツが使用されています。

本記事はワイヤーハーネス加工を行う株式会社国盛化学様に監修を頂きました。

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油吸着材

監修:ティビーアール株式会社

油吸着材とは

油吸着材とは、油による汚染が発生した場合に油を吸着させて清掃・除去を行うための清掃資材です。

油吸着材は、油を瞬時に吸着して内部に取り込み、水は吸着しません。土壌や河川、湖沼、海洋などにおいて油流出事故などが発生した場合に使用されます。ロープ状、マット状、粉状など、様々な形状の製品があります。

油吸着材の使用用途

油吸着材の主な用途の一つは、油による環境汚染時の清掃資材です。それ以外でも、油による転倒を防ぐ、排水に対して使用することで流出を防ぐなどの用途により、各種分野で使用されています。下記は、具体的な用途の一部です。

  • 池、湖沼、油水分離槽に浮いた油の吸着・回収を行う
  • 川や排水溝等流れてしまった油をせき止め、広範囲に拡散することを防ぐ
  • 土壌や床面にこぼれてしまった油を吸着・回収する
  • 工場内などにおける機械周りや床の油を拭き取る
  • 工場、自動車整備工場、ガソリンスタンドなどの床にこぼれた油に対する滑り止め・転倒防止
  • 事故や緊急事態の予防・準備としての備蓄在庫
  • スーパーや飲食店において、靴裏、台車やカートの車輪などに付着した油を吸着し、拡散を防ぐ
  • 飲食店などにおける調理場の油の飛散対策、天ぷら油の処理
  • 飲食店などにおける厨房排水への対処

油吸着材の原理

油吸着材に使用される素材は、ポリプロピレンや、珪藻土、鉱物、石灰岩などです。その他にもセルロースや綿、樹皮、泥炭、おが屑、製紙用パルプなどの天然素材や、セラミックなどを加工して製造される場合もあります。油を吸着する素材は、親油的かつ疎水的な性質を持ち、油が水より優先して素材の表面に広がるような臨界表面張力を持つ物質です。毛細管現象によって吸い上げる場合もあります。

油のみを吸着する製品と、油以外にも水や溶剤など液体全般を吸着する製品とがあります。油のみを吸着する製品は、水上における浮上油の回収・吸着に使用されます。油以外の液体も吸着できる製品では、水以外にも硫酸や塩酸などの酸、苛性ソーダやアンモニアのようなアルカリ、不凍液、アルコール、なども吸着可能な場合があります。多くの油吸着材では油を吸着した後は産業廃棄物として処分しなければならないため、注意が必要です。

油吸着材の種類

油吸着材には、様々な形状の吸着材があります。用途に合わせて適切なものを選択することが重要です。

1. ロールタイプ

ロールタイプの油吸着材は、用途に合わせて必要な長さにカットして使用する油吸着材です。広い範囲に使用することができ、特に、大量の油を吸着させる場合に適した油吸着材です。予めミシン目が入っている製品もあります。

2. カットタイプ/シートタイプ

カットタイプやシートタイプの油吸着材は、正方形や長方形になどに予めカットされている製品です。機器のオイル漏れなど、比較的小規模な油や燃料の流出対処に適しています。また、ウエスとして使用することも可能です。

3. チューブタイプ

チューブタイプの油吸着材には、綿状の吸着剤や珪藻土などの粒状の吸着剤が詰められています。曲げ伸ばしが容易なため、現場に合わせた形状に変えることや、製品同士の接続によって長さを調整することも可能です。特に、油漏れ現場を囲んで堰き止めることで流出を止め、広い範囲に対処するための対策として使用することに特に向いています。

4. マットタイプ

マットタイプは、強度や耐久性の点で優れており、人や台車などの往来がある場所で特に適している油吸着材です。床や靴底の油を吸着する際に利用されます。裏面に滑り止め加工が施されている製品などもあります。

5. ロープタイプ

ロープタイプは、河川、水路、湖沼および海域など、流れのある場所で油を堰き止めながら吸着回収する用途に使用されます。両端を川岸などに固定することで、水流によって流されず回収作業が楽になります。水流が強い河川などでは、ロープタイプを斜めに展張するのが効果的です。形状としては、モール状、吹流し状、万国旗状などがあります。

6. 砂状・粉状

砂状・粉状の油吸着材は、タイルの目地やアスファルトの凹凸など、他の形状の油吸着材では対処しにくい形状の現場でも効率的に油を回収することができます。また、土壌に混ぜる使い方も可能です。素材には、珪藻土、鉱物、石灰岩、セラミックなどが多く用いられます。環境に優しく、使用後の処理も簡単です。

本記事は油吸着材を製造・販売するティビーアール株式会社様に監修を頂きました。

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誘電率測定装置

監修:キーコム株式会社

誘電率測定装置とは

誘電率測定装置とは、物質の分極のしやすさの指標である誘電率を測定するための装置です。

誘電率は蓄えられる電気の大きさを表す指標となっているため、誘電率の測定は、コンデンサ用の材料や絶縁体の性能を評価するシーンで利用されています。誘電率測定装置には、インピーダンスアナライザや、各種共振器が用いられます。共振器を用いる共振法には、様々な種類の共振器を用いた測定方法の種類があり、測定物に合わせて最適な方法が使用されます。

誘電率測定装置の使用用途

誘電体とは、電気伝導率が低い絶縁体でありながら分極性があり、低い周波数や 中程度の周波数領域では電荷を蓄えることができる物質です。下記のような製品に用いられています。

  • 電子機器の絶縁材料
  • コンデンサの電極間挿入材料
  • 半導体素子のゲート絶縁膜
  • 圧電素子
  • 強誘電素子センサ
  • トランスジューサ

信号の遅延・減衰・反射・クロストーク・放射などの信号伝送の品質は、材料のもつ電気特性によって大きく左右されます。優れた高周波特性を持つ材料を開発する上では、電気材料の特性を正確に把握することが必要です。誘電体の利用の上で、誘電率測定装置は下記のような用途で利用されます。

  • コンデンサ用の誘電材料の評価
  • 液晶材料に混入した不純物イオンの検出
  • 有機半導体の移動度の測定
  • 固体電解質の電導度評価
  • 回路基板に使用される絶縁材料の評価

尚、誘電率測定装置で測定される誘導体には下記のようなものがあります。

  • 高速ディジタル、マイクロ波回路の基板材料
  • 通信用誘電体アンテナ、フィルタ用低損失誘電体、高誘電体
  • 薄膜材料、多層構造材料、新素材
  • 半導体向け絶縁材料
  • 医用電子機器
  • 化学薬品
  • 各種粉体、液体
  • ケーブル絶縁体
  • 樹脂
  • ガラスやセラミックス類

誘電率測定装置の原理

1. 概要

誘導率測定装置には、いくつかの種類があり、大きな分類では下記のように分けられます。

  • 容量法 (集中定数法) : 測定試料を電極で挟んでコンデンサを形成し、キャパシタンスとコンダクタンスを測定して誘電率を得る方法 (インピーダンスアナライザ)
  • 反射伝送法 (S パラメータ法) : 伝送線路に測定試料を設置し、電磁波をかけることでその反射特性や透過特性から誘電特性を評価する方法
  • 共振法: 共振器内に微小な誘電体や磁性体を挿入した際に生じる、共振器内の共振周波数やQ値の変化量を測定して誘電率を測定する方法

上記の方法はそれぞれ、周波数範囲によって使い分けられます。数μHz~数100MHz範囲においては容量法を利用したインピーダンスアナライザが使用されることが多いです。それよりも高周波領域では、反射伝送法や共振法が利用されます。

誘電率測定装置の種類

誘導率測定装置には、測定対象物に合わせて様々な装置があります。下記は具体例の一部です。

 1. インピーダンスアナライザ

インピーダンスアナライザは、容量法の誘電率測定に使用されています。測定試料を2枚の電極に挟み、電圧または電流の交流を印加する仕組みです。測定したインピーダンス値から、誘電率や誘電損失を計算することができます。

固体液体を問わず物体の状態に合わせて状態に合わせてサンプルホルダを購入または製作することができるため、比較的測定が容易です。また、他の測定方法に比べて比較的コストが低いです。

2. 空洞共振器

空洞共振器とは、導体壁で囲まれた空間内に、その寸法及び形状で定まるある特定の波長の電磁界のみが成長する共振現象を生じさせることで、誘電率及び誘電損失を測定する装置です。

フィルム、板/シート状のサンプルを短冊状に一定の幅に切断して測定するタイプの装置や、共振器の間のギャップにシート状サンプルを挿入するタイプの装置などがあります。

3. 同軸共振器

同軸共振器とは、サンプルの平坦な面を共振器の上に置くだけで誘電率の測定が可能な共振器です。同軸共振器は、共振器上部に小径の開口部があり、そこからはみ出るわずかな近接場 (エバネッセント波) が測定サンプルに浸潤し、共振器全体の共振周波数、Q値がサンプルの複素誘電率に応じて変化する仕組みです。このQ値の変化量から誘電率を算出します。

携帯端末の筐体部品や、多ピンコネクタのモールド樹脂、各種素材開発品の測定に特に適している種類の共振器です。

本記事は誘電率測定装置を製造・販売するキーコム株式会社様に監修を頂きました。

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ADASテスト

監修:キーコム株式会社

ADASテストとは

ADASテストとは、自動車の運転支援システムであるADAS: Advanced Driver-Assistance Systems (先進運転支援システム) の開発試験を行うサービスです。

ADASには、ドライバーや歩行者の安全性と快適性を高めるために運転操作を支援する自動車の様々なシステムが含まれます。あくまで運転の主体は人でありながら、車両システムを部分的に自動化、適応、強化することで、ヒューマンエラーを最小限に抑え、交通事故を減らすことが可能です。このようなADASには、センサー、カメラ、車載ECUを始めとする、様々な技術が必要となります。ADASテストは、このような技術試験を行う環境を提供するサービスです。

ADASテストの使用用途

ADASテストは、自動車のADASシステムの開発におけシミュレーションやテストソリューションを提供する目的で使用されます。

ADASは、車両周辺の状況を把握するためのさまざまなセンサテクノロジーのデータを用いて、動作する運転支援システムです。ミリ波センサーやレーザーレーダー、カメラなどの個々のハードウェア機能の試験や、それらと接続する車載ECUの試験、仮想空間におけるシステム全体の試験、更には、テストコースなどにおける実車試験などがあります。実際の交通環境で起こりうる様々な状況を想定した様々な試験が行われます。

ADASテストの原理

1. ADASの技術要素

ADASの実現には、外界に対するセンサー技術、車体の制御などを行う車載ECU、高速かつ正確な車載ネットワーク、車載ローケータなどが必要です。主な構成要素には下記のようなものがあります。

  • ミリ波レーダー: 周辺物体までの相対距離を計測する
  • レーザーレーダ (LiDAR) : 遠距離にある対象までの距離や、その対象の性質を分析する
  • 車載カメラ
  • 位置計測センサー
  • ADASロケーター: 衛星測位、ジャイロセンサーや車速測定などを組み合わせた測位システム
  • 車載ECU (電子制御ユニット)
  • 車載ネットワーク
  • 超音波センサー (ソナー)

2. ADASの機能

上記のようなADASの技術要素から実現されるADASの代表的な機能については下記のようなものがあります。

  • 車間距離制御装置 (ACC: Adaptive Cruise Control System)
  • 前方衝突警告 (FCW: Forward Collision Warning)
  • 衝突被害軽減制動制御装置 (AEBS: Advanced Emergency Braking System)
  • ナイトビジョン/歩行者検知 (NV/PD: Night Vision/Pedestrian Detection)
  • 交通標識認識 (TSR: Traffic Sign Recognition)
  • 車線逸脱警報 (LDW: Lane Departure Warning)
  • 車線逸脱防止支援システム(LKAS: Lane Keeping Assist System)
  • 死角モニタリング (BSM: Blind Spot Monitoring)
  • 後退時車両検知警報 (RCTA: Rear Cross Traffic Alert)
  • ドライバー監視システム (DMS: Driver Monitoring System)
  • 自動ヘッドランプ光軸調整 (AFS: Adaptive Front lighting System)
  • 高度駐車アシスト (APA: Advanced Parking Assist)

3. ADASテスト

ADASのテスト環境は、開発段階に合わせて、主に次の3種類があります。

  • 仮想空間においてプログラムの上でセンサシミュレーションなどを行う
  • ミニチュア模型などを用いて走行試験を行う
  • 実車に必要な装置を組み込み、テストコースや公道での走行試験を行う

ADASには、機能毎に用いられる外界を認識する各種センサ技術、画像認識技術などのような判定技術、ステアリング操作などの自動車操作技術があり、開発の初期ではそれぞれの機能別にテストが行われます。開発の後期では、複数の車両やソフトターゲットを使用して複雑なシナリオを作成し、実車での検証が必要です。歩行者、車両などのソフトターゲットの他、さまざまな気象環境が想定されます。高い精度でドライバーの操作を再現するため、運転操作ロボットが導入される場合もあります。

ADASテストの種類

ADASテストには様々なあり、下記はその例の一部です。

1. 停止車両との車間距離計測

AEBS (衝突被害軽減制動制御装置)、FCW (前方衝突警告) は、事故を回避のための重要なシステムです。これらのシステムは前方の道路状況や自車の状態を正しくモニタリングすることが必要です。

このような機能のテストのため、GPSを利用してリアルタイムで障害物との距離を±2cm の精度で測定することのできるシステムが提供されています。

2. 室内テストシステム

室内でのテストシステムは、実路走行データに基づき、高い精度で実環境をシミュレーションにて再現するシステムです。様々な課題となるシーン再現し、台上での評価を可能とします。ときにはリアルとバーチャルを融合した環境が使用されることもあります。

本記事はADASテストを行うキーコム株式会社様に監修を頂きました。

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現場管理システム

現場管理システムとは

現場管理システムとは、工事現場などにおいて本社、各営業所、現場、それぞれをつないで施工管理等を行うシステムです。

施工現場の安全管理・監督や、文書や図面などのデータ管理、カメラなどと連携した災害対策や、一連のワークフローにおける申請・承認などの履歴保存など、安全・品質に関わる業務を包括的に管理することができます。建設業の様々な企業で採用されており、ペーパーレス化、現場の省力化、働き方改革に大きく貢献している製品です。

現場管理システムの使用用途

現場管理システムは、工事現場などにおいて、施工管理の効率化・業務品質の向上に使用されています。戸建住宅の新築・修繕や、大規模建築の新築・修繕、設備施工など、様々な分野の工事現場で使用されているシステムです。大手住宅メーカー、大手大規模改修工事会社、住宅建材会社などで採用されています。

例えば、傘下に支店・営業所を持つ、或いは下請け先があるような工事のケースでは、現場管理システムを活用して本社からの一括管理を行うことにより、請負工事の管理と業務時間短縮を行うなどの用途があります。また、会社間での複雑な業務連携が必要なケースにおいて、施工管理を効率化する目的で使用される場合もあります。

現場管理システムの原理

現場管理システムは、安全管理・品質管理を効率化する機能や、その他現場管理・監督の様々な業務を軽減する機能が備わっています。

クラウド上でシステムを管理することにより、現場と事務所との往復コストが減少したり、報告書等の作成の手間を軽減したりすることが可能です。残業減少、働き方改革にも効果があります。主な機能は以下の通りです。

1. 安全管理

現場管理システムを利用することで、徹底した安全パトロールをシステム内で管理したり、カメラを設置して連携することにより、足場監視、防犯対策を行うことができます。

また、カメラによる監視を行うことにより、災害時の現場確認・対応にも役立ちます。

2. 業務管理

現場管理システムは、スマートな業務遂行、現場の省力化にも貢献します。

  • クラウド上における文書や図面の一元的データ管理
  • 申請・承認のワークフローをクラウド上で管理

書類の管理では、社内共通の書類や、現場ごとの図面や写真データ・実績データなどを一元的に管理することができます。工事情報・チェックシート・写真台帳など、全てを管理することができるため、報告書作成・データ整理の手間を省くことが可能です。

また、申請・承認のワークフローや、本部からの一斉指示、現場と事務所のコミュニケーション・データ共有を一括で管理することができ、状況把握やタスク管理が容易になります。業務のペーパーレス化、管理・監督の省力化や、円滑な施工に貢献します。

3. 品質管理

現場管理システムでは、品質チェックシートの機能を用いることで判断基準を統一して高い品質を担保することが可能です。写真を利用したレポート作成も可能であり、更にチェック漏れや撮影漏れを防ぐために、予め撮影ポイントの登録を行うこともできます。

また、データを一元的に管理するため、有資格者への検査依頼や、複数人での同一検査も従来より容易かつ有効に行えるようになり、品質向上の効果も期待できます。

現場管理システムの選び方

現場管理システムは、複数製品が提供されており、それぞれ機能面で特色があります。上記で述べた基本機能の他には、例えば下記のような機能の例があります。

  • 自社の業務に合わせたカスタマイズ機能
  • 必須事項のTo Doリストを作成して関係者全員で共有
  • 受注工事の契約金額・予算管理機能
  • 入金・請求管理機能
  • 地図や駐車場情報を共有する機能など現場サポートに特化した機能

自社の施工業務に合わせて、必要な機能を備えた製品を選択することが必要です。これら機能性に加えて、コスト、操作性 (UI) 、利用可能端末などに注意して選定する必要があります。

インサートナット熱圧入機

インサートナット熱圧入機とは

インサートナット熱圧入機とは、熱をかけながらプラスチック素材にインサートナットを挿入する装置です。

インサートナットとは、プラスチック素材に埋め込んで、素材同士のジョイントを強化するための締結ねじです。プラスチックは金属素材よりも機械強度が低く、樹脂同士をつなぎ合わせただけでは容易にジョイント部分が外れます。インサートナットは金属製であり、樹脂素材のジョイント部を強化して外れないようにするため埋め込まれます。

熱圧入機は、インサートナットに熱を加えるため、埋め込まれる側のプラスチック素材にも熱が伝わって柔らかくなります。圧入が容易になるだけではなく、埋め込み完了後にはプラスチック素材が固まって強度が高まることが特徴です。

インサートナット熱圧入機の使用用途

インサートナット熱圧入機は、プラスチック成型品へ締結用のねじ (インサートナット) を挿入するために使用されます。主な用途には下記のような分野での製品の製造や組み立てがあります。

  • 自動車 (車載機器、バッテリー部品、吸気系部品、センサー部品、ラジエター周り部品、エンジン部品、ドアパネル、フレームの固定)
  • パソコン、タブレット、スマートフォン
  • 電子機器 (基板上の部品固定や端子、コネクタの取り付け) 
  • バーコードリーダー
  • 住宅用設備
  • ガスメーター、電力量計
  • 端子台、各種コネクタ
  • 各種産業用機器

インサートナット熱圧入機の原理

1. 概要

圧入機は、強固なフレームと専用の圧入ツールで構成されており、空気圧、電動、または手動の力で動作します。自動で動作する圧入機は、モーターや制御装置を備えており、圧力、速度、深さを調整して正確な圧入作業を行います。

熱圧入機の場合、素材の下穴にインサートナットをセットして、熱源からインサートナットへ熱を加えます。インサートナットからプラスチック素材に熱が伝わり、プラスチックを部分的に溶融しながら挿入する仕組みです。対応しているプラスチックはPOM・ABS・PPなどがあります。挿入後はプラスチックが冷えて固化するため強度も良好です。

インサートナットの挿入方法には、成形後インサートと、成形時インサートとがありますが、インサートナット熱圧入機は成形後インサートに使用される方法です。

2. 工程

工程・手順は各メーカーにより違いますが、下記はインサートナット熱圧入機の手順の一例です。

  1. 成形品製品にインサートナットをセットする
  2. 熱圧入機のステージ (台) に成形品製品をセットする
  3. 加熱体を下げる
  4. 熱がインサートナットから成形品に伝わり、樹脂を溶融しながら自然にインサートナットが挿入される
  5. 加熱体を上げる
  6. ステージから成形品製品を取り外す

インサートナット熱圧入機の選び方

インサートナット熱圧入機は、ワークスペースの大きさや、
メンテナンス要件などの点以外の他には、下記にも考慮すると良いでしょう。

1. サポート

インサートナットの熱圧入は、プラスチック製品 (ワーク) に金属製のめねじを固定する高度な技術です。この技術は特に、インサートナットの圧入を専門とする企業が非常に少ないため、経験豊富で技術的な知識を持った業者の選定が重要です。

ワーク材質や形状、インサートナットの種類により精密な調整を施し、最適な圧入条件を見極めることで、部品の品質を高めます。

2. 操作性

機械が操作しやすいかどうかは、生産性と安全性に影響します。操作が簡単な機械は、トレーニングに時間がかからず、オペレーターエラーのリスクも少なくなります。

3. コストパフォーマンス

単純で安価なものから細かい設定ができる高価なものまであります。専用機・汎用機、1台〜複数台を導入することを踏まえて検討することが大切です。

4. 実績

単純に機械を販売しているだけでなく、圧入実績があるかも重要ポイントです。製品開発段階や量産段階で圧入経験があるかも含めて検討すると良いでしょう。

インサートナット熱圧入機の種類

1. インサートナット熱圧入機には様々な種類の製品があります。装置によって、動力の種類、必要な動作圧力、および加圧対象物の特性などが異なるため、用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

温度調節機、タイマー、バッチカウンターなどを備えた装置もあります。

1. 動力の種類

圧入動力には、手動で動作するハンドプレス方式のほか、スイッチ操作で自動で挿入が行われる電動式の装置もあります。

手動式の製品は、手動で手軽に操作・位置決めを行うことができることが特徴で、特に使用数の少ない製品や試作品に便利です。

自動式の製品では、水平・垂直の位置をプログラムで管理し、ハンドレバーがついていて、自動式/手動式を切り替えることができる製品もあります。

2. 単軸/多軸

インサートナット熱圧入機のうち、多軸の製品では一度に複数箇所のインサートナット挿入が可能です。複数の挿入箇所がある場合、多軸製品を用いることで、作業工数を大幅に削減することができます。

フラッシュプログラマ

監修:株式会社コンピューテックス

フラッシュプログラマとは

フラッシュプログラマとは、フラッシュメモリへの書き込みを行う装置です。

これは、デバイスプログラマ (ROM ライタ) の一種で、特にフラッシュメモリに特化したものを指します。フラッシュROM ライタと呼ばれる場合もあります。フラッシュプログラマには、パソコンに接続してフラッシュメモリに書き込むタイプや、パソコンで作成した書き込みファイルをフラッシュプログラマに保存し、スタンドアロンで書き込むタイプのものがあります。また、書き込み方式によってオンボードや、オフボードをサポートする機種など様々なタイプがあります。フラッシュプログラマは、主に生産現場で使用されますが、ソフトウェア開発時や、最終製品のフィールドメンテナンスにも使用されます。

フラッシュプログラマの使用用途

フラッシュメモリは、工業的および産業的に様々な機器に組み込まれ、制御プログラムやデータを記憶するためのデバイスです。フラッシュメモリにはNOR型とNAND型があり、主な使用例は以下のようになります。

NOR型:産業機器、家電、プリンタ、携帯情報端末、車載機器

NAND型:パソコン、スマートフォン、デジタルカメラ、車載機器 (ナビの地図データ、ドライブレコーダーなど)

フラッシュプログラマは、これらのフラッシュメモリにプログラムを書き込むために使用されます。主な使用用途としては以下の通りです。

  • 組込み機器の生産ラインでの書き込み
  • 車載機器(ドアセンサやミラー制御など)のMCUへの書き込み
  • 各種製品の現場でのファームウェア更新
  • 検査工程の一部としてプログラムの書き込み

オンボード・プログラミングに対応している製品では、基板実装後や最終工程において基板実装済みのフラッシュメモリを書き換えることが可能です。生産・検査システムに組込んで使用したり、LIN接続などを利用して複数の車載機器などに書き込みを行える機種も存在します。外部信号を接続してフラッシュメモリへの書き込みや、書き込み状態の取得が可能な機種では、生産システムの自動化が実現できます。

フラッシュプログラマの原理

1. 概要

フラッシュプログラマは、フラッシュメモリへ電気的にデータの書き込み、消去などを⾏う装置です。CPU内蔵フラッシュメモリでは、JTAGまたはSWDなどの接続方法で書き込みが行われます。UART接続やLIN接続に対応しているものもあります。また、シリアルフラッシュメモリの場合は、SPI信号をハードウェアで直接制御して書き込む、専用のフラッシュプログラマもあります。

2. 主な機能

  • フラッシュメモリの全領域の一括書き換え及び、部分書き換え

  • 書き込み内容の読み出しと照合 (ベリファイ)

  • 書き込みデータファイルの読み込み (ヘキサファイル、ELF ファイルなど)

  • フラッシュメモリの全消去

  • フラッシュメモリのプロテクト設定・解除

フラッシュメモリの種類によっては、セキュリティやプロテクトの機能を搭載したものがあります。こういったデバイスは初期状態で書き込みが禁止されていることがあり、フラッシュプログラマにはプロテクト解除、書き込み、再プロテクトを行う機能が必要とされます。

フラッシュプログラマの種類

1. オンボード/オフボード

フラッシュプログラマには、オンボードとオフボードの書き込み方法があります。オンボードとは、ボードに実装されたフラッシュメモリへの書き込みで、オフボードとは未実装のフラッシュメモリへの書き込みです。

フラッシュプログラマには、それぞれオンボードとオフボード専用の機種があり、本体にアダプタを接続して、両方に対応できる機種もあります。オブボード用のフラッシュプログラマは、1個単位で書き込むタイプや、一度で複数個に書き込める、ギャングライタと呼ばれるタイプがあります。

2. NOR型/NAND型

フラッシュメモリにはNOR型、NAND型があります。NOR 型フラッシュメモリは、ランダムアクセスの読み取りが高速で小容量に適しており、主に機器に組み込んで制御プログラムの記憶装置として使用されます。NAND型フラッシュメモリは、大容量のデータストレージに適しており、USBメモリ、SDカード、SSDなどのストレージに使用されています。

フラッシュプログラマにも、NOR型、NAND型それぞれに対応した機種があります。両方に対応している製品もありますが、対応機能はNOR型とNAND型によって異なる場合があります。

3. その他

その他、フラッシュプログラマには、下記のような機能を搭載している機種もあります。

  • SPI フラッシュメモリ書き込み専用の機種
  • 複数個の書き込みデータ保存可能
  • モバイルバッテリーで動作可能
  • フラッシュプログラマからボードへの電源供給が可能
  • 検査システム等に組込んで外部から制御可能

本記事はフラッシュプログラマを製造・販売する株式会社コンピューテックス様に監修を頂きました。

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