監修:ティビーアール株式会社
油吸着材とは
油吸着材とは、油による汚染が発生した場合に油を吸着させて清掃・除去を行うための清掃資材です。
油吸着材は、油を瞬時に吸着して内部に取り込み、水は吸着しません。土壌や河川、湖沼、海洋などにおいて油流出事故などが発生した場合に使用されます。ロープ状、マット状、粉状など、様々な形状の製品があります。
油吸着材の使用用途
油吸着材の主な用途の一つは、油による環境汚染時の清掃資材です。それ以外でも、油による転倒を防ぐ、排水に対して使用することで流出を防ぐなどの用途により、各種分野で使用されています。下記は、具体的な用途の一部です。
- 池、湖沼、油水分離槽に浮いた油の吸着・回収を行う
- 川や排水溝等流れてしまった油をせき止め、広範囲に拡散することを防ぐ
- 土壌や床面にこぼれてしまった油を吸着・回収する
- 工場内などにおける機械周りや床の油を拭き取る
- 工場、自動車整備工場、ガソリンスタンドなどの床にこぼれた油に対する滑り止め・転倒防止
- 事故や緊急事態の予防・準備としての備蓄在庫
- スーパーや飲食店において、靴裏、台車やカートの車輪などに付着した油を吸着し、拡散を防ぐ
- 飲食店などにおける調理場の油の飛散対策、天ぷら油の処理
- 飲食店などにおける厨房排水への対処
油吸着材の原理
油吸着材に使用される素材は、ポリプロピレンや、珪藻土、鉱物、石灰岩などです。その他にもセルロースや綿、樹皮、泥炭、おが屑、製紙用パルプなどの天然素材や、セラミックなどを加工して製造される場合もあります。油を吸着する素材は、親油的かつ疎水的な性質を持ち、油が水より優先して素材の表面に広がるような臨界表面張力を持つ物質です。毛細管現象によって吸い上げる場合もあります。
油のみを吸着する製品と、油以外にも水や溶剤など液体全般を吸着する製品とがあります。油のみを吸着する製品は、水上における浮上油の回収・吸着に使用されます。油以外の液体も吸着できる製品では、水以外にも硫酸や塩酸などの酸、苛性ソーダやアンモニアのようなアルカリ、不凍液、アルコール、なども吸着可能な場合があります。多くの油吸着材では油を吸着した後は産業廃棄物として処分しなければならないため、注意が必要です。
油吸着材の種類
油吸着材には、様々な形状の吸着材があります。用途に合わせて適切なものを選択することが重要です。
1. ロールタイプ
ロールタイプの油吸着材は、用途に合わせて必要な長さにカットして使用する油吸着材です。広い範囲に使用することができ、特に、大量の油を吸着させる場合に適した油吸着材です。予めミシン目が入っている製品もあります。
2. カットタイプ/シートタイプ
カットタイプやシートタイプの油吸着材は、正方形や長方形になどに予めカットされている製品です。機器のオイル漏れなど、比較的小規模な油や燃料の流出対処に適しています。また、ウエスとして使用することも可能です。
3. チューブタイプ
チューブタイプの油吸着材には、綿状の吸着剤や珪藻土などの粒状の吸着剤が詰められています。曲げ伸ばしが容易なため、現場に合わせた形状に変えることや、製品同士の接続によって長さを調整することも可能です。特に、油漏れ現場を囲んで堰き止めることで流出を止め、広い範囲に対処するための対策として使用することに特に向いています。
4. マットタイプ
マットタイプは、強度や耐久性の点で優れており、人や台車などの往来がある場所で特に適している油吸着材です。床や靴底の油を吸着する際に利用されます。裏面に滑り止め加工が施されている製品などもあります。
5. ロープタイプ
ロープタイプは、河川、水路、湖沼および海域など、流れのある場所で油を堰き止めながら吸着回収する用途に使用されます。両端を川岸などに固定することで、水流によって流されず回収作業が楽になります。水流が強い河川などでは、ロープタイプを斜めに展張するのが効果的です。形状としては、モール状、吹流し状、万国旗状などがあります。
6. 砂状・粉状
砂状・粉状の油吸着材は、タイルの目地やアスファルトの凹凸など、他の形状の油吸着材では対処しにくい形状の現場でも効率的に油を回収することができます。また、土壌に混ぜる使い方も可能です。素材には、珪藻土、鉱物、石灰岩、セラミックなどが多く用いられます。環境に優しく、使用後の処理も簡単です。
本記事は油吸着材を製造・販売するティビーアール株式会社様に監修を頂きました。
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