気密ボックス

監修:株式会社スリータック

気密ボックスとは

気密ボックスとは、コンセントやスイッチまわりの気密化を図るボックスです。

気密ボックスは、高気密高断熱住宅などで、コンセントやスイッチから空気が侵入したり、室内の湿気が断熱材に移動したりして、気密・断熱性能が低下するのを防止するために使われます。

グラスウールや羊毛等の繊維系断熱材は、断熱材の内側に防湿気密シートを張って、気密性を良くしています。コンセントやスイッチを壁に付けると、気密シートに穴をあけるので、そこからの隙間風や室内の湿気が断熱材の中に入ってしまいます。

気密ボックスのメーカーによって、気密コンセントボックス、バリアーボックス、ルフトボックス、気密断熱BOX、気密コンセントボックスカバー、気密カバー、埋込防気カバー、埋込防気・防塵カバーなどの呼称が一般的です。

気密ボックスの使用用途

気密ボックスの目的は、主として建物のスイッチやコンセントの気密を上げることです。

高気密高断熱の建物では、気密性や断熱性が高い材料を多量に使用しますが、スイッチ・コンセント・制御ボックスなどを壁や天井・床に埋め込むと、その部分から空気が出入し、断熱性が損なわれます。また、室内外の湿気が断熱材の中に侵入して断熱性が悪化します。

スイッチやコンセントを入れるボックスを硬質樹脂又はポリプロピレンでできた幕で作り、ボックス周りの耳を室内表面の防湿シートに、テープで張り付け、電線周りもシールして、気密性を確保すれば完成です。

また、クリーンルームでは、スイッチ・コンセント・照明・制御ボックスなどの気密性を上げて、気密断熱性を確保し、防塵性を向上させるケースもあります。

気密ボックスの種類

1. 中気密用ボックス

一般の建築用の気密ボックスです。スイッチ・コンセント・照明器具・制御箱などの気密を上げるために、使用されます。

クリーンルーム用で、食品製造工場、薬品工場、電子部品・精密機械工場、病院等に使用される気密ボックスです。

・スイッチやコンセント用の気密ボックス:断面積1.6~5.5mm2のIV用

・露出型感知器用の気密ボックス:直径0.6~1.2mmの警報用電線用

2. 高気密用ボックス

高気密高断熱住宅用の気密ボックスです。1連用~3連用など各種あります。種類は、スイッチ・コンセント用や電力・弱電コンセント用などです。

3. ダウンライト用気密断熱ボックス

吸音性、断熱性、気密性に優れたLEDダウンライト用気密断熱BOXがあります。断熱材でできた桝箱でシールテープで接着して組み立てると完成です。天井の野縁材に固定し、天井の気密シートを切り欠いて、シールテープでシールします。LEDダウンライトをボックス内に入れることが可能です。

このボックスの特徴は、吸音性・断熱性・気密性に優れ、施工時間が短縮でき、トータルコストの削減が可能です。

ボックスの素材の不燃性能は、建築基準法の基準に適合しており、安心して使用できます。

4. 気密カバー類

従来のコンセントボックスやスイッチボックスの外側に設ける気密カバーです。1連用~3連用などの種類があり、埋込防気カバー(スイッチ・コンセント施工用)、埋込防気カバー(電力+弱電コンセントの組み合わせ施工用)などの商品名が使われます。材料はポリプロピレンなどが使われます。

5. 吹付断熱材侵入防止用気密カバー

ボックス内に吹付断熱材が侵入するのを防止する気密カバーです。養生テープを貼り付ける手間が不要なので、省施工です。ボックスのタッピンねじで柱に取り付けます。

気密ボックスのその他情報

現場で気密性を判断する場合は、C値が使われます。C値は、隙間相当面積のことで、住宅1軒でどれくらいの隙間があるかを、専用の機械で実測したものです。高気密高断熱住宅では、C値を1.0cm2以下にするのが基準です。

断熱材にグラスウールなどを使っている場合、スイッチやコンセントが断熱欠損となり、また、壁内部に湿気が侵入することになり、折角の高気密・高断熱の性能が低下してしまいます。これを防止する手法として、気密ボックスが使われます。

気密測定には、専用の測定器具が必要で費用も掛かりますが、工事中に測定することが重要です。工事中であれば、データーが悪い場合、すぐ対策処置が可能です。

本記事は気密ボックスを製造・販売する株式会社スリータック様に監修を頂きました。

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点検口

監修:株式会社スリータック

点検口とは

点検口とは、電気・配管・空調設備・通信設備・構造体などを点検する開口部のことです。

点検口は、天井・壁・床などに設けられ、外枠・内枠で構成し、通常内枠は周囲と同じ仕上げ材あるいは点検蓋で作られます。

点検口を開けて内部を点検することにより、配管からの漏れ、構造体の経年劣化の早期発見、空調ダクトの異常発見、雨漏りの確認、断熱材の状態、土台や基礎の状態、シロアリなどの点検など早期発見が可能です。

点検口の使用用途

点検口は、住宅、オフィス、商業ビル、工場、地下鉄など種々の場所にあります。主に次のような用途に使われます。

・電気配線の点検や修理
・配管や換気システムのメンテナンス
・空調システムのメンテナンス
・セキュリティシステムの点検
・電気・水道などの計器チェック
・構造体の点検
・通信設備の点検や修理

これらの設備の点検・修理は必ず発生するので、建築物や設備の設置時に点検口を設け、定期検査ができるようにする必要があります。

点検口の特徴

1. 耐久性

建物や設備に付帯するもので、長期の耐久性があります。アルミ製の点検口は耐蝕性に優れ、湿気や腐食に強く、多く使われます。

2. 軽量

特に天井に設ける点検口は、軽量であることが必要です。アルミ製の点検口は軽量です。

3. 美観

建物の内装に合わせて、美しい外観にします。

4. 再利用

点検口をリサイクル可能な材料で作れば、環境への配慮が評価されます。アルミ材はこの点でも優れています。

点検口の種類

点検口は、設置する場所により、天井・壁・床などの種類があります。

1. 天井点検口

天井に設置する点検口であり、多くは同じフロアに複数設けます。シーリングハッチやハイハッチと呼ばれることもあります。

主な点検項目は、電気配線・通信配線・換気扇ダクト・配管などです。住宅診断の場合の点検口としても使われます。雨漏り時の修理に便利です。

古い和室タイプの住宅では、点検口がない場合があります。押し入れ収納の天井や天袋の天井の一部がとり外せるようになっており、そこから入って、点検・診断を行います。

ユニットバスの天井に設置されている場合もあります。換気扇本体やダクトの点検が可能です。配管検査は、天井裏を目視で確認できる必要があります。

2. 遮音タイプの天井点検口

天井点検口は、天井に穴を開けるので、上階からや隣の部屋から音漏れが少なからずあります。この場合、遮音タイプの点検口を採用することで解決可能です。

点検口の各部に気密性を高める気密パッキンを設け、点検蓋も遮音性を上げる仕様です。遮音性能と高い気密性が実現できます。

3. 壁点検口

建物の壁に設置してある点検口です。住宅ではマンションのパイプシャフトやユニットバス内、洗面室内についています。主な点検項目は、給排水設備の配管です。

オフィスビルや商業ビルでは、通信設備や電気配線が壁内にあり、壁に点検口が設置されます。

4. 床点検口

建物の床に設けた点検口で、給排水配管を点検・断熱材の点検・メンテナンスをします。また、住宅診断では、基礎や土台の状態、蟻害状況の把握、湿気、断熱材の状態などの点検が可能です。

住宅の床点検口は、多くは床下収納を兼ねています。マンションの普通の部屋の床は、スラブに直に施工されており、その点検が必要です。

点検口のその他情報

1.点検口の注意点

点検口は、天井、壁、床などに設けますが、後のメンテナンス業務がやり易い場所を選んで設置します。場合によっては、建物の軒裏に必要です。

点検口のサイズは、600,450,300mmが多く使われます。

点検口の形状は、額縁タイプ、目地タイプ、外枠額縁・内枠目地タイプの3種類があります。

点検口の設置場所は、屋内・屋外、湿度の状態などの環境を考慮して設定し、材質やタイプの選定が重要です。

ロック機能が必要かどうかを、セキュリティの面から検討します。

2.点検口の必要性

・メンテナンス可能、劣化の早期発見
建物は古くなると劣化が進行します。定期的に状態を把握して、劣化を早期に見つける必要があります。

・長期優良住宅認定基準では必須
新築住宅の4戸に1戸は長期優良住宅です。認定により、住宅ローンの金利引き下げ・住宅ローン減税・地震保険料の割引などの特典があります。

・売買時の住宅診断
住宅診断により、施工不具合や劣化状態の確認ができ、有利に売買が可能です。

本記事は点検口を製造・販売する株式会社スリータック様に監修を頂きました。

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フェルトバフ

フェルトバフとは

フェルトバフとは、羊毛などを圧縮して布状にしたフェルトのことで、金属などの研磨に使うものです。

フェルトバフを回転機械に取り付け、研磨剤を使用して、金属・貴金属・セラミック・ガラスなどの表面を磨き、艶出し・研磨仕上げなどを行います。対象物の表面を鏡面のように仕上げることができます。

フェルトバフの用途は、ステンレス製の食品機械などの表面研磨、宝飾品などの艶出し、ガラス製品の表面仕上げなどです。

フェルトバフの使用用途

フェルトバフは、各種産業で使われますが、一例を次に示します。

1. 食品機械の表面研磨

ステンレス製部品・容器などの表面を研磨して滑らかにします。加工時に付いたバリや傷を除去して、素材表面に光沢を出します。バフ研磨で表面の凸凹が減り平滑度が上がって、製品の摩擦の減少が可能です。

2. 宝飾品の艶出し

貴金属やガラス製の指輪・ネックレス・ブローチなどの宝飾品の表面を磨いて、光沢を出すために、バフ研磨を行います。

3. メッキ前の小物部品の表面仕上げ

メッキをする前に表面をバフ研磨してメッキをきれいに行えるようにします。

フェルトバフの種類

1. フェルトディスクバフ

フェルトを円盤状にしたもので、乾式研磨及び湿式研磨に対応が可能です。硬さは5種類以上あり、対象品の種類などから選定します。

厚みは、2~25mmまで即可能で、30mm以上も対応できます。用途は、ステンレスや金属部品の最終仕上げや部分研磨仕上げなどで、必ず油脂研磨剤を塗布して研磨します。

2. 軸付きフェルトバフ

きめの細かい羊毛を高密度に圧縮して成形したもので、円筒型・砲弾型・球形などの形状があります。外径・厚みの種類が豊富で、小型の対象物や内径部分の研磨が可能です。

回転させるための軸があり、軸径は、2.35、3.0、6.0mmなどです。油脂研磨剤を使用しますが、酸化クロムやアルミナ砥粒、酸化セリュームを含浸させたフェルトバフは、そのままで研磨ができます。

3. フェルト豆バフ

マンドレールに取り付けて使用する小型のバフです。細部形状のものの研磨に使用します。両面テープやマジックテープ付きもあります。

4. その他のフェルトバフ

  • 樹脂加工フェルトバフ
    バフに研磨剤保持力と耐久性を強め、高圧研磨に向いています。

  • 研磨剤含浸フェルトバフ
    仕上げ専用のバフで、バフ研磨の粉じんの減少をはかり、作業環境を改善します。

  • フェルトディスクバフ (粗目)
    獣毛で作られたフェルトバフであり、通常の羊毛フェルトバフより切削力に優れています。用途は金型鋼材の研磨等です。

フェルトバフの特徴

バフ研磨には多くの種類があり、目の粗さは数字で表します。数字が大きいほど細かくなり、800番のバフは鏡面仕上げができます。

バフの目的は、本来の研磨以外に、バリ除去・キズ除去・付着物除去・溶接ビード除去・平滑性向上・光沢感向上などです。

バフ研磨は、広い面に他、細部や曲面も容易に磨けるため、ステンレス、アルミ、チタンなどの金属、プラスチック、ガラスなどの研磨ができ、各種工業部品の製作の際に使用されます。

フェルトバフのその他情報

1. バフ研磨に使用する研磨剤

バフ研磨用の研磨剤の種類は、固形と液体が使われ、両者研磨用ですが、切削効果は少ない特性があります。これらにはあらかじめ研磨剤として粒子が練り込まれており、固形研磨剤にはスティック状の「青棒」や「赤棒」などの呼称がついています。

液体研磨剤は家庭用から工業製品用まで種類が多彩で、配合されている研磨材は、酸化クロム、アルミナ、酸化鉄などの粒子がです。

固形研磨剤は次のような種類があります。

  • 青棒:鏡面仕上げ用の研磨剤
  • ピンク棒:クロムが含まれていない準鏡面仕上げ用
  • 白棒:中仕上げに使われる研磨剤
  • グリーンライム:白棒と青棒の中間特性を有する研磨剤
  • トリポリ:粗仕上げに用いられる研磨剤
  • むらさき棒:トリポリと白棒の中間特性を有する研磨剤
  • 油棒:油の多い、焼け防止研磨剤

2. 研磨剤の選び方

バフ研磨では、表面が粗い状態では鏡面仕上げ用の研磨剤を使いません。工程を粗仕上げ→中仕上げ→鏡面仕上げとして適切な研磨剤を選ぶことにより、対象物の研磨が優れた状態になります。

このため、粗仕上げではトリポリ、中仕上げには白棒 、鏡面仕上げは青棒を選択します。この工程を繰り返して何度も研磨し、最終的に優れた鏡面加工が可能です。

リューターバフ

リューターバフとは

リューターバフとは、リューターに取り付けて対象物を磨くバフです。

リューター (英:Leutor) は、本来日本精密機械工作株式会社が製造する電動切削工具のブランド名ですが、ハンドグラインダーに類似した精密グラインダーを指す一般名称としても使われます。ルータと呼ばれる場合もあります。

バフは、綿やフェルトなどで作られた工具であり、精密グラインダーなどに取り付けて、金属・セラミック・樹脂・宝石・ガラスなどの研磨に使われます。

リューターバフの使用用途

リューターバフは、多くの産業に使われていますが、一例を次に示します。

1. ステンレス製の食品機械や小物部品の表面研磨

表面に残る微小な加工傷や凹凸などをリューターバフで除去する場合などに使われます。適切なバフを選定してバフ加工を行います。鏡面加工が可能です。

2. 宝飾品などの研磨

指輪・ブローチ・ネックレスなどの表面をリューターバフで磨いて、光沢を出します。このほかの用途は、彫金、木彫、模型製作、ネイルアート、ガラス工芸などの研磨です。

3. メッキ前の小物部品の表面仕上げ

メッキの付着力を増して仕上げをよくするために、メッキ面を研磨します。

リューターバフの種類

1. 布バフ

研磨剤を選ばない基本のバフです。新品の場合は、バフかきやへら先などで、布のケバ取りをまずした後、研磨に使います。キャラコ製の布バフはリューター用です。

2. 皮バフ

セーム皮で作られたバフで、硬くて研磨力が強い特性があります。布バフに比べ、対象物の細部にあたるのが少ないので、曲面を明確に表現する場合に便利です。

皮バフは、大きなバッファ用と手作業用の小型豆バフがあり、豆バフは布バフの下バフに多く使われます。

3. フェルトバフ

フェルトバフは羊毛を圧縮し成形して作られます。用途は、比較的面積が広い面、小さい傷やヤスリ目が多い部分の研磨です。

各種の形状があり、円筒形、円錐形、コーン形、円盤形、砲弾形が多く使われます。円盤形は面積が広い面の仕上げに、コーン形は指輪の内側などバフが届きにくいところに、円錐形は円盤形が入らない細部に、各々使用されます。

フェルトバフは、自由な形に削れるので、対象物に合わせて削り出すことにより、効率良い作業が可能です

4. ビニールバフ

アランダム・カーボンをビニールで固めたものです。用途は、荒みがきが必要な面仕上げなどです。グレー色の砥石は、120番から800番まで揃っており、白色の砥石は、1,000番と1,500番があります。軸が付いているものもあり、手作業用は「PVA軸付き砥石」と呼ばれます。

また、青粉が入ったみがき用PVA砥石もあり、白棒を使った後の工程に使うと便利です。

リューターバフのその他情報

1. リューターバフの駆動法

  • リューター
    リューターは、モーター部分を手で持ちやすくした工具、即ちマイクログラインダーです。リューターの先端に取り付ける工具は、用途によって入れ替えることが可能です。穴あけや切削、研磨用など、各種先端工具が取り付けられます。リューター用のバフは、直径16~24mmくらいです。
  • フレキシブルシャフトモーター
    モーターを吊り下げて使用します。駆動軸がフレキシブルなのでリューターバフの取り付けは容易です。

  • バッファー
    円盤状のリューターバフをバッファーモーターに取り付け、研磨作業を行います。研磨力が強く、一気に磨きを完了することが可能です。バフは直径が75~240mmくらいまでの種類があり、バッファー本体のほか、集塵機も必要になります。

2. リューターバフの研磨剤

研磨剤は仕上がりに大きく影響するので、研磨剤の選定が重要です。

  • トリポリ
    トリポリの原料は、珪石のキズ取り用の油脂研磨剤でモース硬度は7程度です。切削力がとても強い研磨剤です。

  • 青棒
    酸化クロムを原料にして作られる青棒は、油脂研磨剤の1つです。高度が高く、粒度も細かいので、貴金属すべての仕上げに広く使われます。

  • 赤棒
    赤棒はトリポリに使う原料より上質な酸化鉄を使って作られ、最終仕上げに多く使われます。銀や金を青棒で研磨した後の仕上げ用に使用されます。

  • 白棒
    原料にホワイトアランダムを使用する白棒は、種類が多いのが特徴です。中みがき用として多く使われる研磨剤であり、研磨力が強く、適宜に使用しないとダレが生じる恐れがあります。