ハロゲンフリーフラックス

ハロゲンフリーフラックスとは

ハロゲンフリーフラックスとは、活性剤にハロゲン化物を使わないで、主に有機酸を使用するフラックスです。

ハロゲンは、周期表の第17族にあるフッ素 (F)、塩素 (Cl)、臭素 (Br)、ヨウ素 (I)、アスタチン (At) の5元素を指します。

フラックスは、はんだ付けされる母材や部品、はんだ自身の金属酸化物などを除去して、清浄な接合面を作り、はんだのぬれ性を確保するために、使用されます。

はんだ付けの場合、Cl、Br等のハロゲンをフラックス中に入れ、はんだのぬれ性・作業性を高めてきました。しかし、Cl、Brを含む電子基板を焼却すると、生物に有害なダイオキシンが発生する恐れがあり、ハロゲンを使用しないフラックスが必要となった経緯があります。

ハロゲンフリーフラックスを使用すると、酸化を減らし、電気的接触が改善され、はんだの流れを助けます。

ハロゲンフリーフラックスの使用用途

ハロゲンフリーフラックスは、ハロゲン成分を意図的に含有していないフラックスで、電子部品などのハンダ付けに必要不可欠です。次の用途があります。

  • はんだ付け促進剤として、はんだ付けを可能にします。
  • はんだや部品リード、基板銅箔などの金属表面に酸化被膜を付着させないようにし、クリーンな接合面を作る部材です。
  • はんだ付け後の残渣を少なくし、腐食を抑制します。
  • 乾燥性を利用して水洗浄後の水切り剤として使用することも可能です。

ハロゲンフリーフラックスの特徴

ハロゲンフリーフラックスは、一般社団法人電子情報技術産業協会 (JEITA) の規格では、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素がそれぞれ1,000ppm以下で、ハロゲン成分の含有がありません。特徴は次の通りです。

  • ハロゲンフリーですが、ぬれ性に優れています。
  • 塩素や臭素含有率は、ハロゲンフリー規格どおりです。
  • はんだ付け促進剤として、はんだ付けを可能にします。
  • 独自の活性成分配合でフラックスの飛散を抑制します。
  • より線の端末処理に最適です。
  • 乾燥性を利用して水洗浄後の水切り剤としても使用可能です。
  • 鉛フリーはんだを使用したプリント基板に最適で、はんだ付け後の残渣信頼性が優れ、無洗浄化がはかれます。

ハロゲンフリーフラックスのその他情報

はんだ付けの場合のハロゲンフリー、ぬれ性、フラックス飛散、ボイド、印刷性、タック時間、電気的信頼性などの各種課題を解決した 多機能ソルダーペーストが出ています。すずに銀や銅を加えたペーストです。

・環境対応
ハロゲンフリーであり、各種環境規制に対応します。

・ぬれ性
2種類の活性剤の混合効果により、プロファイルや表面処理を選ばず、安定したぬれ性が得られ、母材に確実なぬれを発生させます。

・フラックス飛散抑制
はんだ溶融直後にフラックスがはんだ上面から捌けるため、気泡排出時のフラックス成分の巻き込みを抑制することにより、フラックス飛散がわずかになります。特に、カメラ、センサー部品の実装へ適用されます。また、飛散フラックスの除去工程が削減可能です。

・ボイド低減
はんだ粒子同士の凝集の他にフラックス同士も凝集するため、発生したガスをフラックスが吸収し外部へ排出します。はんだ内に取り残されるフラックスを減らすことで、低ボイドの実現が可能です。

・印刷性
安定した連続印刷性が得られ、印刷停止時間を延長し、微細パターン印刷性が向上します。

・タック力向上
タック時間を延長し、安定した部品搭載が可能です。

・電気的信頼性向上
表面絶縁抵抗SIRが高く、また、コーティング剤とのコンビネーションに優れ、高信頼性です。

・ブリッジの発生阻止
引きはんだ付けでも、ブリッジが発生しません。

アルミはんだ

アルミはんだとは

アルミはんだとは、アルミ材の接合に使われるはんだです。

アルミ材同士のはんだ付けは、高温の作業が困難であり、強酸性のフラックスが必要、電解腐食の問題などの課題があり、かなり難しいと言えます。

最近は、濡れ性に優れた「やに入りはんだ」が出現し、比較的容易に接合が可能です。また、超音波によるキャビテーション効果を利用した方法はフラックスなしで、はんだ付けができます。キャビテーションによる泡が、溶けたはんだの表面や母材表面の酸化膜・油脂・ゴミ・埃等の汚れを除去し、活性化させるので、はんだ付けが可能です。

アルミはんだの使用用途

アルミはんだの用途例を次に示します。

1. 冷却関連の製品

冷却管、水冷フィーダ、水冷ジャケット、水冷ヒートシンク、水冷筐体、冷却板など (内部に水を通して製品を冷却するもの。気密性・耐熱性ともに重要)

2. 無線通信用の製品

導波管、テーパー管、ホーンアンテナ、給電管、分配器、結合器、トランデューサー、放電管など (電波を扱うため、気密性が重要)

3. 研究機関や大学向けの製品

試作品、特注品、オーダーメイド品など (アルミの溶接品)

4. アルミ線と銅線・端子との接合

扇風機モータのアルミ線の端子、IHクッキングヒータコイルのアルミ線、電子部品のアルミ端子など

アルミはんだの原理

アルミのはんだ付けの方法は次の通りです。

1. はんだ付け

母材を溶かしたり傷つけることなく接着でき、仕上がりが綺麗で、利点は寸法精度への影響が少ないことです。接合部にはんだの液相が形成され母材を溶かさないようにして、接合します。母材表面の酸化膜を取る必要があり、通常フラックスや「やに入りはんだ」を使います。

鉛入りはんだは、融点が約183℃と低く、はんだ付けがしやすく、濡れ性に優れています。しかし、有害な鉛が規制されるようになり、鉛フリーが主流です。鉛フリーは、融点が高くなるのが課題です。

鉛フリーのはんだは、主流がすず:96.5%、銀:3.0%、銅:0.5%の成分であり、融点が217℃ぐらいで、鉛入りより30℃程度高くなります。

2. 共晶アルミはんだ付け

共晶はんだは、すず:63%、鉛:37%の成分を持ち、隙間なく密着させて接合が可能です。

350℃近辺の比較的低温で、母材のアルミニウムと完全な合金になるはんだであり、アルミの表面を摩擦して、フラックスなしで酸化膜を破壊する方法です。薄い合金層で接合するため、接合強度はそれほど強くはなりません。

3. 鉛フリー低温はんだ

すずにビスマスを加えたはんだで、融点は約138~170℃と低く、特徴は、熱に弱い電子部品の場合に使用が可能なことです。

4. 超音波はんだ付け

超音波によるキャビテーション効果を使って、母材表面の酸化膜や汚れを除去し、活性を高めてはんだ付けを行います。超音波により拡散や酸化膜の破壊が促進されるため、より強固に接合できます。

アルミはんだのその他情報

1. 実装用途別はんだの種類

・はんだペースト

電子部品を基板に実装する場合に、はんだペーストを使います。金属粉にフラックスを混合した複合材料で、ペースト状です。比較的大きな面積の場合や、ワークのはんだ付けの場合が主な用途です。

・糸はんだ

はんだこてにより電子部品をはんだ付けする場合に、糸はんだを使います。細い金属の線材で中心にフラックスが入っており、特徴は、はんだ付けがしやすいことです。

・棒はんだ

はんだ槽に棒はんだを溶かし、挿入した部品の端子と基板のランドをディッピングにより、はんだ付けします。糸はんだによるはんだ付けと比較すると、はんだ表面の細かいクラックが減少し、はんだの形状が良くなります。

2. ろう付けとはんだ付けの差異

ろう付けと、はんだ付けは、いずれも金属を接合する方法で、母材を溶かさない点は共通です。重要な違いはろう材の融点で、ろう材が450℃以上、はんだが450℃以下です。

ろう付けは、接合する母材の間に、ろう材を母材の融点より低い温度で溶かしたものを流し込んで冷却して接合します。ろうは固まる際に合金を生成するため、強度が強く、半永久的に強固です。また、ろうは高温環境に耐えるので、高温での作業性や強度は、はんだより優れています。

はんだ付けは、はんだごてによりはんだを溶かして接合するか、自動機で接合します。はんだも高強度ですが、ろう付けよりは劣ります。

低融点はんだ

低融点はんだとは

低融点はんだとは、融点が183℃を下回るはんだです。

低融点はんだは、一般のはんだに比べ融点が低いので、耐熱性が弱い部品がある場合などに使用されます。はんだは、すずと鉛からできており、すずの量で融点が変わり、作業に合わせたはんだを選択します。

特に、すず63%、鉛37%のはんだは、「共晶はんだ」と呼ばれ、183℃で液体から個体に変わります。特長は半溶融状態がないことです。信頼性が高いので、初心者でも容易に扱えます。

低融点はんだは、カドミウム、ビスマス、インジウムなどを加えて、融点を下げたものです。

低融点はんだの使用用途

低融点はんだは、弱耐熱部品の実装に多く使用されます。カメラモジュールなど耐熱性が弱い場合などです。これまで、これらの部品は、従来やに入りはんだを用いた後付けがされていましたが、さらに低温化、自動化のために、低温はんだとレーザー加熱を行うようになっています。

低融点はんだ付けの課題は、融点に合わせた専用のフラックスが必要になることです。また、ビスマスなどを使用するので、車載部品、医療機器、産業機器など信頼性が高い部品への採用には、注意が要ります。シリンジ型ソルダペースト、ハロゲンフリー対応シリンジ型ソルダペーストなどを使うのが最適です。

低融点はんだの原理

1. 融点低下の問題点

プリント基板や金属部品に使用するはんだは、融点が低く、強度が大きいものが必要です。融点が低いと、はんだ付けに必要なエネルギーが小さくなり、またプリント基板の場合、繊細な電子部品に高温にさらさなくても良いからです。融点183℃の共晶はんだが良く使われてきました。これはすずと鉛の合金です。

近年、鉛の有毒性が大きく注目され、2006年にはRoHS指令として、EUで鉛入りはんだが、原則として禁止され、鉛フリーのはんだが利用されるようになっています。鉛の代わりに銀、銅などを使用して鉛を使わず、融点を極力低下させたものです。

鉛が使えないという制約のため、融点が200℃以上に高くなる問題があり、はんだ付けに必要な温度が250℃以上に上がります。これははんだ付けのコスト増になります。

2. 低融点はんだの出現

低融点はんだは、ビスマスやインジウムなどの金属を加えることで、融点を劇的に下げたはんだです。当初低融点はんだは、高価な金属が必要でコストが高いなどの問題で、それほど普及しませんでした。

その後、技術開発が続けられ、コストや強度・耐久性の面で、著しく改善され、融点も180℃より低いものが出現しています。中には、融点が140℃台の低融点はんだは、プロセスの温度が180℃と従来の温度より70℃低くできるので、多くの利点があるものです。プロセスコストの大幅低減、基板や電子部品の信頼性の向上や不良率の低下などがメリットです。

さらに、低融点はんだの利点は、プロセス温度を下げられるので、プリント基板に耐熱性の低い素材が使えることです。フレキシブル基板の素材に、ポリエチレンテレフタレートPETを使い、融点140℃近辺のはんだを採用して、プロセス温度180℃でリフローが可能です。

低融点はんだのその他情報

1. 低融点はんだ付けの利点

低融点はんだ付け材料、FA装置、工法の3つが一体になって初めて量産が可能になります。低融点にすることで、CO2が削減できコストも低減可能です。

低温実装用のはんだは、一例として、すず-ビスマスの合金が使われます。ピーク温度が141℃の共晶組成のはんだや、145℃の低融点仕様のはんだです。

共晶組成のはんだは、従来のすず-鉛はんだよりも低温仕様にして、省エネに貢献し、コスト低減が可能です。また、低融点仕様のはんだは、耐落下性と耐熱疲労性を向上させています。

2. 低融点はんだ付け工法

低融点はんだを用いた基板実装での工法が最近確立され、炊飯器などの製品が出ています。また、耐熱疲労性や耐落下性に優れたはんだ合金による低温リフローはんだ付け工法も出現し、パソコン、カメラモジュール、洗濯機などに採用されています。

3. 低融点はんだ付け用のフラックス

低融点はんだ付けを行う場合は、必ず低融点はんだ用のフラックスの使用が必要です。例えば、従来の220℃よりも80℃低い139℃でのはんだ付けが可能になり、濡れの向上、低温での飛散防止、良好な耐腐食性・絶縁特性が得られます。

気密ボックス

監修:株式会社スリータック

気密ボックスとは

気密ボックスとは、コンセントやスイッチまわりの気密化を図るボックスです。

気密ボックスは、高気密高断熱住宅などで、コンセントやスイッチから空気が侵入したり、室内の湿気が断熱材に移動したりして、気密・断熱性能が低下するのを防止するために使われます。

グラスウールや羊毛等の繊維系断熱材は、断熱材の内側に防湿気密シートを張って、気密性を良くしています。コンセントやスイッチを壁に付けると、気密シートに穴をあけるので、そこからの隙間風や室内の湿気が断熱材の中に入ってしまいます。

気密ボックスのメーカーによって、気密コンセントボックス、バリアーボックス、ルフトボックス、気密断熱BOX、気密コンセントボックスカバー、気密カバー、埋込防気カバー、埋込防気・防塵カバーなどの呼称が一般的です。

気密ボックスの使用用途

気密ボックスの目的は、主として建物のスイッチやコンセントの気密を上げることです。

高気密高断熱の建物では、気密性や断熱性が高い材料を多量に使用しますが、スイッチ・コンセント・制御ボックスなどを壁や天井・床に埋め込むと、その部分から空気が出入し、断熱性が損なわれます。また、室内外の湿気が断熱材の中に侵入して断熱性が悪化します。

スイッチやコンセントを入れるボックスを硬質樹脂又はポリプロピレンでできた幕で作り、ボックス周りの耳を室内表面の防湿シートに、テープで張り付け、電線周りもシールして、気密性を確保すれば完成です。

また、クリーンルームでは、スイッチ・コンセント・照明・制御ボックスなどの気密性を上げて、気密断熱性を確保し、防塵性を向上させるケースもあります。

気密ボックスの種類

1. 中気密用ボックス

一般の建築用の気密ボックスです。スイッチ・コンセント・照明器具・制御箱などの気密を上げるために、使用されます。

クリーンルーム用で、食品製造工場、薬品工場、電子部品・精密機械工場、病院等に使用される気密ボックスです。

・スイッチやコンセント用の気密ボックス:断面積1.6~5.5mm2のIV用

・露出型感知器用の気密ボックス:直径0.6~1.2mmの警報用電線用

2. 高気密用ボックス

高気密高断熱住宅用の気密ボックスです。1連用~3連用など各種あります。種類は、スイッチ・コンセント用や電力・弱電コンセント用などです。

3. ダウンライト用気密断熱ボックス

吸音性、断熱性、気密性に優れたLEDダウンライト用気密断熱BOXがあります。断熱材でできた桝箱でシールテープで接着して組み立てると完成です。天井の野縁材に固定し、天井の気密シートを切り欠いて、シールテープでシールします。LEDダウンライトをボックス内に入れることが可能です。

このボックスの特徴は、吸音性・断熱性・気密性に優れ、施工時間が短縮でき、トータルコストの削減が可能です。

ボックスの素材の不燃性能は、建築基準法の基準に適合しており、安心して使用できます。

4. 気密カバー類

従来のコンセントボックスやスイッチボックスの外側に設ける気密カバーです。1連用~3連用などの種類があり、埋込防気カバー(スイッチ・コンセント施工用)、埋込防気カバー(電力+弱電コンセントの組み合わせ施工用)などの商品名が使われます。材料はポリプロピレンなどが使われます。

5. 吹付断熱材侵入防止用気密カバー

ボックス内に吹付断熱材が侵入するのを防止する気密カバーです。養生テープを貼り付ける手間が不要なので、省施工です。ボックスのタッピンねじで柱に取り付けます。

気密ボックスのその他情報

現場で気密性を判断する場合は、C値が使われます。C値は、隙間相当面積のことで、住宅1軒でどれくらいの隙間があるかを、専用の機械で実測したものです。高気密高断熱住宅では、C値を1.0cm2以下にするのが基準です。

断熱材にグラスウールなどを使っている場合、スイッチやコンセントが断熱欠損となり、また、壁内部に湿気が侵入することになり、折角の高気密・高断熱の性能が低下してしまいます。これを防止する手法として、気密ボックスが使われます。

気密測定には、専用の測定器具が必要で費用も掛かりますが、工事中に測定することが重要です。工事中であれば、データーが悪い場合、すぐ対策処置が可能です。

本記事は気密ボックスを製造・販売する株式会社スリータック様に監修を頂きました。

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点検口

監修:株式会社スリータック

点検口とは

点検口とは、電気・配管・空調設備・通信設備・構造体などを点検する開口部のことです。

点検口は、天井・壁・床などに設けられ、外枠・内枠で構成し、通常内枠は周囲と同じ仕上げ材あるいは点検蓋で作られます。

点検口を開けて内部を点検することにより、配管からの漏れ、構造体の経年劣化の早期発見、空調ダクトの異常発見、雨漏りの確認、断熱材の状態、土台や基礎の状態、シロアリなどの点検など早期発見が可能です。

点検口の使用用途

点検口は、住宅、オフィス、商業ビル、工場、地下鉄など種々の場所にあります。主に次のような用途に使われます。

・電気配線の点検や修理
・配管や換気システムのメンテナンス
・空調システムのメンテナンス
・セキュリティシステムの点検
・電気・水道などの計器チェック
・構造体の点検
・通信設備の点検や修理

これらの設備の点検・修理は必ず発生するので、建築物や設備の設置時に点検口を設け、定期検査ができるようにする必要があります。

点検口の特徴

1. 耐久性

建物や設備に付帯するもので、長期の耐久性があります。アルミ製の点検口は耐蝕性に優れ、湿気や腐食に強く、多く使われます。

2. 軽量

特に天井に設ける点検口は、軽量であることが必要です。アルミ製の点検口は軽量です。

3. 美観

建物の内装に合わせて、美しい外観にします。

4. 再利用

点検口をリサイクル可能な材料で作れば、環境への配慮が評価されます。アルミ材はこの点でも優れています。

点検口の種類

点検口は、設置する場所により、天井・壁・床などの種類があります。

1. 天井点検口

天井に設置する点検口であり、多くは同じフロアに複数設けます。シーリングハッチやハイハッチと呼ばれることもあります。

主な点検項目は、電気配線・通信配線・換気扇ダクト・配管などです。住宅診断の場合の点検口としても使われます。雨漏り時の修理に便利です。

古い和室タイプの住宅では、点検口がない場合があります。押し入れ収納の天井や天袋の天井の一部がとり外せるようになっており、そこから入って、点検・診断を行います。

ユニットバスの天井に設置されている場合もあります。換気扇本体やダクトの点検が可能です。配管検査は、天井裏を目視で確認できる必要があります。

2. 遮音タイプの天井点検口

天井点検口は、天井に穴を開けるので、上階からや隣の部屋から音漏れが少なからずあります。この場合、遮音タイプの点検口を採用することで解決可能です。

点検口の各部に気密性を高める気密パッキンを設け、点検蓋も遮音性を上げる仕様です。遮音性能と高い気密性が実現できます。

3. 壁点検口

建物の壁に設置してある点検口です。住宅ではマンションのパイプシャフトやユニットバス内、洗面室内についています。主な点検項目は、給排水設備の配管です。

オフィスビルや商業ビルでは、通信設備や電気配線が壁内にあり、壁に点検口が設置されます。

4. 床点検口

建物の床に設けた点検口で、給排水配管を点検・断熱材の点検・メンテナンスをします。また、住宅診断では、基礎や土台の状態、蟻害状況の把握、湿気、断熱材の状態などの点検が可能です。

住宅の床点検口は、多くは床下収納を兼ねています。マンションの普通の部屋の床は、スラブに直に施工されており、その点検が必要です。

点検口のその他情報

1.点検口の注意点

点検口は、天井、壁、床などに設けますが、後のメンテナンス業務がやり易い場所を選んで設置します。場合によっては、建物の軒裏に必要です。

点検口のサイズは、600,450,300mmが多く使われます。

点検口の形状は、額縁タイプ、目地タイプ、外枠額縁・内枠目地タイプの3種類があります。

点検口の設置場所は、屋内・屋外、湿度の状態などの環境を考慮して設定し、材質やタイプの選定が重要です。

ロック機能が必要かどうかを、セキュリティの面から検討します。

2.点検口の必要性

・メンテナンス可能、劣化の早期発見
建物は古くなると劣化が進行します。定期的に状態を把握して、劣化を早期に見つける必要があります。

・長期優良住宅認定基準では必須
新築住宅の4戸に1戸は長期優良住宅です。認定により、住宅ローンの金利引き下げ・住宅ローン減税・地震保険料の割引などの特典があります。

・売買時の住宅診断
住宅診断により、施工不具合や劣化状態の確認ができ、有利に売買が可能です。

本記事は点検口を製造・販売する株式会社スリータック様に監修を頂きました。

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フェルトバフ

監修:有限会社中央バフ製作所

フェルトバフとは

フェルトバフとは、羊毛などを圧縮して布状にしたフェルトのことで、金属などの研磨に使うものです。

フェルトバフを回転機械に取り付け、研磨剤を使用して、金属・貴金属・セラミック・ガラスなどの表面を磨き、艶出し・研磨仕上げなどを行います。対象物の表面を鏡面のように仕上げることができます。

フェルトバフの用途は、ステンレス製の食品機械などの表面研磨、宝飾品などの艶出し、ガラス製品の表面仕上げなどです。

フェルトバフの使用用途

フェルトバフは、各種産業で使われますが、一例を次に示します。

1. 食品機械の表面研磨

ステンレス製部品・容器などの表面を研磨して滑らかにします。加工時に付いたバリや傷を除去して、素材表面に光沢を出します。バフ研磨で表面の凸凹が減り平滑度が上がって、製品の摩擦の減少が可能です。

2. 宝飾品の艶出し

貴金属やガラス製の指輪・ネックレス・ブローチなどの宝飾品の表面を磨いて、光沢を出すために、バフ研磨を行います。

3. メッキ前の小物部品の表面仕上げ

メッキをする前に表面をバフ研磨してメッキをきれいに行えるようにします。

フェルトバフの種類

1. フェルトディスクバフ

フェルトを円盤状にしたもので、乾式研磨及び湿式研磨に対応が可能です。硬さは5種類以上あり、対象品の種類などから選定します。

厚みは、2~25mmまで即可能で、30mm以上も対応できます。用途は、ステンレスや金属部品の最終仕上げや部分研磨仕上げなどで、必ず油脂研磨剤を塗布して研磨します。

2. 軸付きフェルトバフ

きめの細かい羊毛を高密度に圧縮して成形したもので、円筒型・砲弾型・球形などの形状があります。外径・厚みの種類が豊富で、小型の対象物や内径部分の研磨が可能です。

回転させるための軸があり、軸径は、2.35、3.0、6.0mmなどです。油脂研磨剤を使用しますが、酸化クロムやアルミナ砥粒を含浸させたフェルトバフは、そのままで研磨ができます。

3. フェルト豆バフ

マンドレールに取り付けて使用する小型のバフです。細部形状のものの研磨に使用します。両面テープやマジックテープ付きもあります。

4. その他のフェルトバフ

  • 樹脂加工フェルトバフ
    バフに研磨剤保持力と耐久性を強め、高圧研磨に向いています。

  • 研磨剤含浸フェルトバフ
    仕上げ専用のバフで、バフ研磨の粉じんの減少をはかり、作業環境を改善します。

フェルトバフの特徴

バフ研磨には多くの種類があり、目の粗さは数字で表します。数字が大きいほど細かくなり、800番のバフは鏡面仕上げができます。

バフの目的は、本来の研磨以外に、バリ除去・キズ除去・付着物除去・溶接ビード除去・平滑性向上・光沢感向上などです。

バフ研磨は、広い面に他、細部や曲面も容易に磨けるため、ステンレス、アルミ、チタンなどの金属、プラスチック、ガラスなどの研磨ができ、各種工業部品の製作の際に使用されます。

フェルトバフのその他情報

1. バフ研磨に使用する研磨剤

バフ研磨用の研磨剤の種類は、固形と液体が使われ、両者研磨用ですが、切削効果は少ない特性があります。これらにはあらかじめ研磨剤として粒子が練り込まれており、固形研磨剤にはスティック状の「青棒」や「赤棒」などの呼称がついています。

液体研磨剤は家庭用から工業製品用まで種類が多彩で、配合されている研磨材は、酸化クロム、アルミナ、酸化鉄などの粒子です。

固形研磨剤は次のような種類があります。

  • トリポリ:粗仕上げに用いられる研磨剤
  • ライム系研磨剤:中仕上げに使われる研磨剤
  • 白棒:中仕上げ~鏡面仕上げ用に使われる研磨剤
  • 青棒:鏡面仕上げ用の研磨剤
  • ノークロム:クロムが含まれていない鏡面仕上げ用
  • 油棒:研磨砥粒の配合は無く、油の多い、焼け防止研磨剤

2. 研磨剤の選び方

バフ研磨では、表面が粗い状態では鏡面仕上げ用の研磨剤を使いません。工程を粗仕上げ→中仕上げ→鏡面仕上げとして適切な研磨剤を選ぶことにより、対象物の研磨が優れた状態になります。

このため、粗仕上げではトリポリ、中仕上げにはライム系の研磨剤か白棒 、鏡面仕上げはノークロムか青棒を選択します。この工程を繰り返して何度も研磨し、最終的に優れた鏡面加工が可能です。

本記事はフェルトバフを製造・販売する有限会社中央バフ製作所様に監修を頂きました。

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リューターバフ

監修:有限会社中央バフ製作所

リューターバフとは

リューターバフとは、リューターに取り付けて対象物を磨くバフです。

リューター (英:Leutor) は、本来日本精密機械工作株式会社が製造する電動切削工具のブランド名ですが、ハンドグラインダーに類似した精密グラインダーを指す一般名称としても使われます。ルータと呼ばれる場合もあります。

バフは、綿やフェルトなどで作られた工具であり、精密グラインダーなどに取り付けて、金属・セラミック・樹脂・宝石・ガラスなどの研磨に使われます。

リューターバフの使用用途

リューターバフは、多くの産業に使われていますが、一例を次に示します。

1. ステンレス製の食品機械や小物部品の表面研磨

表面に残る微小な加工傷や凹凸などをリューターバフで除去する場合などに使われます。適切なバフを選定してバフ加工を行います。鏡面加工が可能です。

2. 宝飾品などの研磨

指輪・ブローチ・ネックレスなどの表面をリューターバフで磨いて、光沢を出します。このほかの用途は、彫金、木彫、模型製作、ネイルアート、ガラス工芸などの研磨です。

3. メッキ前の小物部品の表面仕上げ

メッキの付着力を増して仕上げをよくするために、メッキ面を研磨します。

リューターバフの種類

1. 布バフ

研磨剤を選ばない基本のバフです。新品の場合は、バフかきなどで、布のケバ取りをまずした後、研磨に使います。

2. 皮バフ

セーム皮で作られたバフで、硬くて研磨力が強い特性があります。布バフに比べ、対象物の細部にあたるのが少ないので、曲面を明確に表現する場合に便利です。

3. フェルトバフ

フェルトバフは羊毛を圧縮し成形して作られます。用途は、比較的面積が広い面、小さい傷やヤスリ目が多い部分の研磨です。

各種の形状があり、円筒形、円錐形、円盤形、砲弾形が多く使われます。円盤形は面積が広い面の仕上げに、砲弾形は指輪の内側などバフが届きにくいところに、円錐形は円盤形が入らない細部に、各々使用されます。

フェルトバフは、自由な形に削れるので、対象物に合わせて削り出すことにより、効率良い作業が可能です

4. ビニールバフ

アランダム・カーボンをビニールで固めたものです。用途は、荒みがきが必要な面仕上げなどです。グレー色の砥石は、120番から800番まで揃っており、白色の砥石は、1,000番と1,500番があります。軸が付いているものもあり、手作業用は「PVA軸付き砥石」と呼ばれます。

また、青粉が入ったみがき用PVA砥石もあり、白棒を使った後の工程に使うと便利です。

リューターバフのその他情報

1. リューターバフの駆動法

  • リューター
    リューターは、モーター部分を手で持ちやすくした工具、即ちマイクログラインダーです。リューターの先端に取り付ける工具は、用途によって入れ替えることが可能です。穴あけや切削、研磨用など、各種先端工具が取り付けられます。リューター用のバフは、直径16~24mmくらいです。
  • フレキシブルシャフトモーター
    モーターを吊り下げて使用します。駆動軸がフレキシブルなのでリューターバフの取り付けは容易です。

  • バッファー
    円盤状のリューターバフをバッファーモーターに取り付け、研磨作業を行います。研磨力が強く、一気に磨きを完了することが可能です。バフは直径が75~240mmくらいまでの種類があり、バッファー本体のほか、集塵機も必要になります。

2. リューターバフの研磨剤

研磨剤は仕上がりに大きく影響するので、研磨剤の選定が重要です。

  • トリポリ
    トリポリの原料は、珪石のキズ取り用の油脂研磨剤でモース硬度は7程度です。切削力がとても強い研磨剤です。

  • 青棒
    酸化クロムを原料にして作られる青棒は、油脂研磨剤の1つです。高度が高く、粒度も細かいので、貴金属すべての仕上げに広く使われます。

  • 赤棒
    赤棒はトリポリに使う原料より上質な酸化鉄を使って作られ、最終仕上げに多く使われます。銀や金を青棒で研磨した後の仕上げ用に使用されます。

  • 白棒
    原料にホワイトアランダムを使用する白棒は、種類が多いのが特徴です。中みがき用として多く使われる研磨剤であり、研磨力が強く、適宜に使用しないとダレが生じる恐れがあります。

本記事はリューターバフを製造・販売する有限会社中央バフ製作所様に監修を頂きました。

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