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塗布装置

塗布装置とは

塗布装置の種類

図1. 塗布装置の種類

塗布装置とは、製品や材料に薬品などを塗布するための装置です。

一般的な塗布装置は、塗布する対象物の形状や塗布する薬品と塗布の目的によって塗布方法が異なるため、さまざまな用途に応じてロールコータスピンコータディップコーター、スプレー塗布やディスペンス塗布など、さまざまな塗布方法が用いられています。

近年では、半導体製造分野やFPD (フラットパネルディスプレイ) 製造分野、太陽電池や二次電池製造分野などの工業分野においては、精密な塗布精度が求められるため、塗布技術の向上と共に塗布装置が飛躍的に進化しています。

塗布装置の使用用途

塗布装置は、半導体分野や二次電池など様々な製造工程で対象物に塗液を塗布する用途で使用されています。パソコン、液晶テレビ、スマートフォン、タブレットなど、特に薄型で高機能・高密度化が求められる半導体製造分野やFPD (フラットパネルディスプレイ) 製造分野におけるフォトリソグラフィ工程で、フォトレジストを塗布するスピン塗布装置を利用する場合が多いです。

二次電池や太陽電池、自動車部品から住宅建材・繊維・医療などで使用される機能性フィルムやシート状製品に対しては、シール材接着剤、電極材をなどの薬品を塗布するロール塗布装置やスプレー塗布装置、ディスペンス塗布装置などが利用されています。

塗布装置の原理

図2 塗布装置の特徴

図2. 塗布装置の特徴

塗布装置は、さまざまな生産品材料への対応や薬液などの材料を塗布する装置です。主にロール状塗布、スピン塗布、スプレー塗布、ディスペンス塗布に大別できます。

1. ロール状塗布装置

ロール状塗布装置は、一般的にフィルムやシートなど比較的薄く平面材料に対する塗布に用いられます。

塗布する薬液の液溜まりに接するローラーの回転とフィルムやシートなどの材料の巻取り回転を利用して塗布するグラビアコーター、リバースコーターなどを塗布する薬液の性質や粘度、塗布する膜厚に応じてさまざまな塗布方法が用いられます。

ロールtoロールでの塗布が可能で、最も高速塗布にむいた方法です。これらの方法の特徴は、塗布液と被塗布対象物の間で、ビードを形成し被塗布対象物、または被塗布対象物とロールの両方が移動したり回転したりすることで塗液にせん断力をかけ薄く塗布することです。

このビードを安定化させることが、高品質な塗布に欠かせません。

2. スピン塗布装置

スピン塗布装置は、半導体製造分野やFPD (フラットパネルディスプレイ) 製造分野におけるフォトリソグラフィ工程で使用するフォトレジストを回転するテーブル上の生産品に吐出後、テーブルが回転する遠心力により薬液の広がる作用を利用して薄膜を形成する塗布方式を採用する装置です。

最も薄く塗布できる手法ですが、複数枚の塗布や連続生産ができないため大量生産には不向きです。

3.  スプレー塗布装置

スプレー塗布装置は、自動車や外壁建材などの塗装に対して薬液をスプレーで微細粒子に変換して塗布し、塗布対象物が大型の場合、ロボットの広域可動範囲を利用することで高精度且つ広範囲の塗布方式を採用する装置です。

空気、電気、超音波の3種類の粒状噴霧を生成する方式が存在します。

4. ディップ塗布装置

ディップ塗布装置は、対象物の形状は問わず、ディップコート液に浸けて引き上げる方式です。均一な薄膜を形成することが可能で、光学レンズ、医療系や電子デバイスなどに用いられています。

対象物の形状は問わず、塗布液のロスが少なく均一な薄膜を形成することができる点がディップ塗布装置の特徴です。

5. ディスペンス塗布装置

ディスペンス塗布装置は、比較的精密な線状塗布が求められる状況で使用されます。塗布量のコントロールが可能なディスペンスー機構を備え、更に精密な塗布が要求される場合には、ロボットを用いることで塗布量の精度と正確性を兼ね備えた塗布方式を採用する装置です。 もちろん塗布速度などは劣りますが、細かいところへのスポット塗布や複雑な形状の塗膜が形成可能です。

塗布装置のその他情報

塗布欠陥と塗布装置

図3 塗布欠陥と塗布装置

図3. 塗布欠落と塗布装置

どんなに高性能な塗布装置にて塗布を行ったとしても、粘度のあわない塗液や塗布速度などの塗布条件によっては綺麗な塗布面が得られないことがあります。コーティングの欠陥の種類とその対処法は、下記の通りです。

1. 塗布によって発生する欠陥

欠陥 原因 対処法
空気同伴 被塗布物に塗液を塗布する際に、空気が逃げ切れないことで発生。 塗布速度を低下させることで解決。
リブスジ 塗布部に塗布方向に対して逆圧力勾配ができることで発生。 塗液の粘度や塗布速度を低下させることで解決。
気泡混入によるスジやホール 塗液中に泡があることで発生。 泡抜き対策を施す。
横ダン状のムラ 主にリバースグラビア方式などで発生。 被塗布物の振動抑制やグラビアの回転速度を変えることで解決。
ムラ 塗液が塗膜内で流動をおこすことで発生。 塗液を改善することで対応する。
異物 塗液が凝集したり、ゲル状になることで発生。 フィルターを導入するなどで対応する。
はじき 塗液の表面張力が高いことで発生。 界面活性剤などを添加することで対応する。

 

2. 乾燥によって発生する欠陥

欠陥 原因 対処法
ゆず肌 (塗面がゆず皮のように凹凸になる) 乾燥速度が早すぎることで発生。 乾燥速度を弱くしたり界面活性剤を添加することで対応。
風紋 熱風乾燥で発生。 吹き付ける熱風の速度を弱めることで対応する。
割れ 塗膜の収縮によって発生。 厚塗りをやめることなどによって対応する。

 

コーティングは塗布装置と乾燥と塗液をそれぞれ適切に選択することで、成立する技術です。使いたい塗液の条件や乾燥炉のスペックなども考慮して、適切な塗布装置を選択することが大切です。

参考文献

https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure/sealing/coater-type/