液体紙容器

監修:大日本印刷株式会社

液体紙容器とは

液体紙容器とは、主に液体を充填するための紙製容器のことを指します。

日本では主に「紙パック」と表され、飲料やアルコール、調味料などに使用されています。紙とフィルム、アルミなどを組み合わせて、紙素材にバリア性と密封性を持たせています。その結果、内容物の劣化要因である酸素や水蒸気などを遮断することが可能になります。ペットボトルなどと比較した際に、プラスチック使用量が削減できるため、環境面においても高く評価されています。

液体紙容器の使用用途

液体紙容器はその名の通り、液体を容器に入れて運ぶための物であるため、さまざまな内容物に対して使用することができます。

飲料分野では清涼飲料水、清酒やワイン、焼酎などのアルコール飲料に使用されています。 調味料分野では、しょうゆ、めんつゆ、酢、食用油、ドレッシングなどに使用されています。 また、非食品分野ではシャンプー、入浴剤、モーターオイル、バッテリー液、化学薬品や農薬などに使用されています。

液体紙容器の原理

液体紙容器では、紙をベースに複数の素材を組み合わせて、バリア性と密封性を持たせています。以下では、液体紙容器に使用される素材と、その特長について記しています。

1.紙

再生可能資源で強度があり、液体紙容器ではベースの素材として用いられています。

2.アルミ箔/アルミ蒸着フィルム

酸素や水蒸気など外部の劣化要因から内容物を保護し、遮光性や官能特性(匂い抜けの防止など)を付与することを目的としています。

3.プラスチックフィルム

液漏れ防止のために用いられ、酸素や水蒸気に対するバリア性を付与することも可能です。

4.プラスチック成形品

注ぎ口などに用いられ、液体紙容器の利便性を向上させる役割があります。

液体紙容器の構造

一般的に、牛乳容器などの従来の液体紙容器は、液体接触面から、ポリエチレン>紙>ポリエチレンの順番に構成されています。それに対して、アルコール用の液体紙容器は、液体接触面からポリエチレン>PET>アルミ箔や透明蒸着フィルム>ポリエチレン>紙>ポリエチレンの順に構成されています。このような構造にすることで、高い密封性やバリア性、遮光性の付与が可能となり、内容物の品質を維持し、常温で長期間保存することができます。

液体紙容器のその他情報

液体紙容器の特長

液体紙容器を利用するメリットは、以下の点が挙げられます。

1. バリア性
液体紙容器は複数の異素材を組み合わせることで、内容物の長期保存が可能となります。バリア層には、アルミ箔やアルミ蒸着フィルム、透明蒸着フィルムなど適切なバリア層を設けています。アルミ箔を使用した紙容器は、酸化しやすい内容物や光劣化しやすい内容物、フレーバーバリアが必要な内容物に適しています。 アルミ蒸着フィルムを使用した紙容器は、遮光性と環境への配慮を両立したバリア層となります。透明蒸着フィルムを使用した紙容器は、アルミを使用していないため環境負荷を低減することができ、金属探知を行う状況下でも使用可能となります。

2. 省スペース化
液体紙容器はプラスチック成形ボトルやガラスびん・缶からの代替により、折りたためる紙の特長を活かすことで充填前の資材保管スペースを削減できます。また、充填後の製品においても形状特性から積載効率がよく、輸送コストや占有スペースの削減ができ、物流効率にも優れています。

3. 環境への配慮
液体紙容器はプラスチックボトル等と比較して、プラスチックの使用量を削減することができ、海洋プラスチックごみ汚染や地球温暖化などの環境問題の解決に貢献します。また、従来アルミ箔を使用しているバリア層を、透明蒸着フィルムに置き換えることや、森林認証紙、植物由来プラスチックを組み合わせることで、さらなる環境負荷の低減を実現します。

4. 広告として利用できる表示面積の大きさ
液体紙容器は、ガラスびんやプラスチックボトルなどと比較して、文字やイラストを印刷できる面積が大きいため、商品の訴求や、購買者とのコミュニケーションにおいて役立ちます。

本記事は液体紙容器を製造・販売する大日本印刷株式会社様に監修を頂きました。

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