オーリング

オーリングとは

オーリングオーリングとは、管などから流体の漏れを防ぐために使用するシールです。

断面は円形で、文字のOの形をしているため、こう呼ばれます。シールする部分の部材で押しつぶして使用するので、材質はゴムやシリコンなどの弾性力があるものが主流です。

ガスケットやパッキンなどと同じような使われ方をしますが、Oリングは使い方や、取り外しなどのメンテナンスの容易さ、安価であるなどの理由から、様々な場所で広く使われています。

オーリングの使用用途

オーリングは、管などから流体の漏れを防ぐためのシール材として使用します。また、電子顕微鏡のような高真空が必要な機器内にガスが入り込まないようにするためにも用いられます。

オーリングは使用するにあたり、リングのための溝が必要です。これは、シールするためにオーリングを押しつぶして使用する必要があることから、オーリングが適切な形に変形するためや、適切な圧力をかけるためなどの理由があります。
また、ガスケットやパッキンと異なり、オーリングは固定・稼働のいずれにも使用できます。その際は、使用箇所に合わせて適切な硬さのオーリングの選定することが重要です。

オーリングの原理

オーリングの原理

図1. オーリングの原理

オーリングは、押しつぶすことで変形してシール部分の隙間を塞ぎ、つぶした際の反発力によってシールをします。そのため、オーリングは取付用の溝にはめて使用します。オーリングを押しつぶして圧力をかけると、オーリングは溝からはみ出す方向に向かって変形します。そのため、溝が大きすぎるとオーリングが部材からはみ出してしまい、その部分から劣化が進み、最終的にはシール機能を失ってしまいます。

また、流体圧力が高くなると、その圧力によりオーリングが押し出され、はみだしによりシール機能が低下します。バックアップリングを使用することでオーリングのはみだしを防止することができ、流体圧力が6.9MPa以上ではバックアップリングを使用することが望ましいです。

加えて、使用部分の部材でオーリングを押しつぶす際は、変形によるシールを確実にするため、つぶし代を考慮して溝深さを決める必要があります。適切な溝深さとオーリングの太さ(断面直径)は、JIS規格を参照することで選定が容易になります。JIS規格では、Oリングのつぶし率が太さの約8~30%となるよう溝寸法を規定しています。

JIS規格にはオーリングの種類と用途によって、材料や硬さも決められているため、用途に応じた使い方が求められます。

オーリングのその他情報

1. オーリングの材質

オーリングに使用される材質の一例を紹介します。

NBR (ニトリルゴム)
Oリングに使用される最も一般的な材質です。耐油性と耐磨耗性に優れ、安定した耐熱性を持ちます。一般的な工業機械に使用されています。ただし、NBRの中でもJIS規格、ISO規格にある材料番号によってさらに細かく性能が分かれているため、選定時には規格を確認してから適切な材質を検討する必要があります。

FKM (フッ素ゴム)
耐熱性、耐油性に優れた材質です。材料番号によって耐酸性や耐アルカリ性に優れているものがあり、薬液を取り扱う機器に広く使用されています。また、高圧機器に使用される場合や低温機器に使用される場合もあります。価格はNBRと比較すると高価です。こちらも、NBRと同様材料番号によって細かく性能が分かれているため、規格と用途を確認し材質決定を行う必要があります。

FFKM (パーフロロエラストマー) 
耐熱性に優れ、合成ゴムの中で一番優れた耐薬品性を有している材質です。通称パーフロです。薬品によるOリングの膨潤が発生しにくい材質です。価格はFKMよりさらに高価であり、サイズにもよりますが1万前後~/個という驚きの値段です。危険物など絶対に漏洩を防ぎたい場合などは導入しています。

主要メーカーから各種Oリングが生産、販売されています。選定の際には、過去実績や在庫管理の面からも統一性を持たせつつ、適切な選定を行いましょう。

2. オーリングの規格 (P,G,V)

オーリングには様々な規格がありますが、ここではその一部を紹介します。一般的に使用頻度が高いOリングはP-〇〇、G-〇〇、V-〇〇などと表記されています。それぞれの頭文字には次のような意味があり使用目的によって使い分けます。

  • P (Packingの頭文字) 
    運動用、固定用のOリングとして使用されます。
  • G (Gasketの頭文字)
    固定用のOリングとして使用されます。
  • V (Vacuumの頭文字)
    真空用のOリングとして使用されます。いずれも線径で判別できます。また、それぞれの規格で対応表がありますので選定時には確認が必要になります。

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