内側マイクロメーター

内側マイクロメーターとは

内側マイクロメーター

内側マイクロメーターとは、穴形状の内径の大きさを測るときに用いる測定器です。

計測器メーカーによって呼び方が異なる場合もありますが、ここでは計測対象に接触させる計測器を対象として扱います。内側マイクロメーターには、「3つの測定子で内径を3点指示して測るもの」「測定子の押し込み量をダイヤルゲージで表示させて直径を測るもの」「内径の直径に当たる部分を2点で指示して大径を測る棒状のもの」の3種類があります。

なお、計測器メーカーによっては、内側マイクロメーターは2点の接触によって計測する棒状の計測器だけをさす場合もあります。

内側マイクロメーターの使用用途

内側マイクロメーターは、主に金属製の工業製品の製造現場や品質管理、製品開発において使用されます。ノギス、マイクロメータ、ハイトゲージといった精密測定機器の1つとして扱われています。内側マイクロメーターは穴やパイプなどの円形の内径だけでなく、溝幅や距離なども計測することが可能です。

しかし、内側マイクロメーターは構造上本体にある程度の大きさが必要なため、微小な直径や寸法を測定することはできません。そのような場合は、ピンゲージや画像計測など別の測定機器を使用する必要があります。

内側マイクロメーターの原理

内側マイクロメーターの測定原理は、計測対象の穴の内径に直接接触し、測定子間の距離を読み取るものです。計測結果の読み取りはマイクロメーターで行います。マイクロメーターの種類は、ねじの1回転で進む量に合わせて等分割で刻まれた目盛から読み取るもの、ダイアルゲージと呼ばれる円形のゲージの円周に刻まれた目盛りを指針によって読み取るものの2つです。

棒状の内側マイクロメーターはねじが前進、後進する量をそのまま内径測定量とします。ねじ部には測定圧を一定に保つためのラチェットはないので、力いっぱい測定圧をかけてしまうと正しい測定ができないだけではなく、故障の原因にもなりかねません。

3点式内側マイクロメーターは、ねじの進む量を円錐型の変換子を用いて測定子の開閉に変換して測定します。こちらはラチェットがあるので測定圧に気を配る必要はありませんが、目盛の読み方が通常のマイクロメーターとは逆になっていると感じる作業者も多く、正しく目盛を読み取るには多少の訓練が必要です。

内側マイクロメーターの種類

1. ホールテスト・ABSボアマチック

測定子部分を穴の内径に挿入し、2つまたは3つの測定子を穴の内径に押し広げるように接触させて、スピンドル部分に取り付けられているマイクロメータによって数値を読み取る計測器です。測定子が3点あるものは、比較的安定した測定が可能です。

しかし、機構上、測定子の移動範囲は限られ、測定範囲は広くありません。さまざまな大きさの測定が必要な場合には、測定範囲が異なる複数の計測器を揃える必要があります。

2. 内側マイクロメータ

ここでは内側マイクロメータは棒状の計測器で、両端を穴の内径に接触させて計測する測定器として説明します。2点接触の内側マイクロメーターはピッチング、ヨーイングと呼ばれる傾きが測定誤差の原因となるのが欠点です。

正しく測定するためには、測定したい内径の直径に当てなければならず、精度の高い計測には訓練が必要です。慣れないうちはより多くの繰り返し測定を行う必要もあります。

3. シリンダゲージ

シリンダゲージも2点接触式の計測器ですが、測定値をダイアルゲージで読み取ることができます。製品によってはデジタル表示されるものもあります。シリンダゲージは内側マイクロメータ同様に、接触させる2点間の傾きに注意が必要ですが、測定子を接触させる測定圧は一定を保ちながら測定することが可能です。

なお、内側マイクロメーターには、非接触で計測するエアマイクロメータ、電気マイクロメータが含まれる場合もあります。計測対象の穴よりわずかに小さいプローブを挿入し、空気や電気によって穴とプローブの隙間を測ることによって、穴の内径を計測します。

参考文献
https://www.mitutoyo.co.jp/support/service/catalog/07_kogu/11003.pdf

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