ホースポンプとは
ホースポンプとは、ホース状のチューブを使って液体を移送するポンプです。
内部に有するローターの回転によってホースが圧縮され、液体を押し出します。ホースの体積変化によって流体を輸送する容積式のポンプの1種です。
一般的には柔軟性の高いチューブを使用するため、複雑な形状の液体や粘性の高い液体を移送することが可能です。汚染の心配がある液体を移送する場合にも適しているため、医療や食品産業、環境分野などで広く利用されています。
高い耐久性と信頼性を持ち、長時間にわたる連続運転にも耐えることができます。ホース内を流れる流体の撹拌や脈動も少なく、メンテナンス時もホースの交換や洗浄のみと非常にメンテナンス性も高いです。
ホースポンプの使用用途
ホースポンプは、幅広い分野で使用されるポンプです。以下はホースポンプの使用用途一例です。
1. 医療分野
薬液や経管栄養、人工透析のための血液の輸送などの移送に使用されます。ホースポンプは、正確な流量と流量の制御ができるため、医療分野で安全な液体移送が必要な場合に適しています。また、ホースの交換によって衛生的な輸送が可能な特性から、医療分野では重宝されます。
2. 食品産業
飲料水や液体原料の輸送などを目的に使用されます。また、化粧品や洗剤を移送する場合もあります。食品の品質を維持し、汚染やクロスコンタミネーションを防止するために重要な役割を果たします。
3. 環境分野
汚染された海水の排出や汚泥除去などに使用されます。浄化槽では汚水や汚泥をポンプアップするためにホースポンプが使用されます。ホースポンプは汚染物質の移送に適しており、さまざまな産業で環境保護に貢献しています。
また、その特性から工場や製造プラントなどで発生する廃水や有害物質の除去にホースポンプが使用されます。ホースポンプは、粘性が高い廃水や、薬品や化学物質などの有害物質を効果的に移送することが可能です。
4. 研究分野
分析用の試料や試薬の移送に使用されます。精度の高い移送ができるため、科学研究や分析に必要な正確な移送が必要な場合に適しています。
ホースポンプの原理
ホースポンプは、柔軟なホースを用いたポンプです。ローターが回転することでホースを圧縮し、液体を吸引・送り出す仕組みです。ホースポンプにはローターと呼ばれる円筒形の部品があります。
ローターの外周には複数のローラーが並び、ホースを挟むように回転します。ローターが回転するとローラーによってホースがつぶされ、その圧縮によって液体がホース内で前進します。
このとき、ホースが拡張されたところには真空状態が生じ、液体が吸引されます。次にローターが回転してホースが圧縮されると、その部分の液体が強制的に吐出されます。このように、ホースを通じて液体を吸引し、その後圧縮して移送する仕組みを利用しています。
非常に高い耐久性を持ち、さまざまな種類の液体や粘性の高い液体を移送することが可能です。また、ホースが柔軟であるため正確性が高く、クロスコンタミネーションのリスクを減らすことができます。
ホースポンプの選び方
ホースポンプを選ぶ際は、その他のポンプと同様に、液体の種類や流量、揚程などを考慮して選定します。
1. 液体の種類
液体の種類によっては、ホースポンプの素材に対する耐性が必要となる場合があります。酸やアルカリなどの腐食性が高い液体を移送する場合には、素材に対する耐性を確認する必要があります。
2. 必要流量
液体の種類を確認したら、次に必要流量を確認します。移送する流量によって、必要なサイズやポンプの種類が異なります。必要な移送量を事前に把握し、それに合わせて適切なホースポンプを選ぶ必要があります。
3. 必要揚程
送り先との高低差や距離から必要揚程を選定します。揚程が足りないと送液ができないため注意が必要です。また、液体の粘度によっても必要揚程が変化するので、あらかじめ液体の比重や粘度を確認して計算に用います。