育苗ポットとは
育苗ポットとは、野菜の種などをポット内に播き、一定の大きさになるまで育てるための容器のことです。
材質はポリエチレン製が一般的で、別名ポリポットとも呼ばれます。育苗ポットは、あくまでも作物などの発芽・苗の成長を促進するための容器です。
種まき後に成長した苗は、畑や花壇などに植えて育てます。
育苗ポットの使用用途
育苗ポットは、主にトマト・ピーマン・ナスなどといった野菜類や花の育苗、水稲などの育苗に使われます。また、最初から育苗ポットで育苗するケースだけでなく、細かく仕切りがある育苗トレーを活用し、ある程度の大きさに成長した後に育苗ポットへと移植するケースもあります。
育苗ポットの特徴
長所
- 苗の管理作業が軽減される
- 苗を害虫や風雨から守れる
- 安定した収穫が見込める
- 育苗中に空いた畑を管理しやすい
広い畑に直接種播きするよりも育苗ポットで管理したほうが、水やりや雑草防除作業、間引きなどの労力を軽減できます。また、幼い苗が雨風にさらされて傷む心配もなく、ナメクジやアブラムシなどの病害虫被害からも守れます。
さらに、発芽のタイミングも揃いやすく生育スピードも均一なので、安定した収穫が期待できるのも長所です。さらに、苗を植える予定の畑の準備を同時進行で進められます。
短所
- コストがかかる
- 適切に移植する必要がある
育苗ポット自体は安価な製品が多いものの、育苗ポット用の培土を用意する必要があるため、若干のコストがかかります。また、苗が一定の大きさに成長したら、1つずつ畑などに移植する必要があり、適切なタイミングを見定めることが重要です。
育苗ポットの種類
育苗ポットには、さまざまな形状・素材・サイズがあり、色も黒や白、緑など、多様な製品が販売されています。
1. ポリポット
植木鉢状の育苗ポットで、ポリポットやビニールポットなどと呼ばれています。ポリポットタイプは、単独で野菜苗や花苗を育てるのに向いています。
黒色や白色のものが多いなか、赤色や黄色などカラフルなポリポットもあります。一般的にポリエチレン製素材のため、洗浄して保存すれば使い回しが可能です。
また、ポリポットタイプは、直径のサイズによって小型・中型・大型が用意されています。小型は直径6~8cm、中型は直径9~12 cm、大型は直径13.5~18 cmです。
2. トレータイプ
複数個のポットが連結しているトレー状の育苗ポットです。トレータイプは大量に育苗したい場合に向いており、野菜・花などの育苗に用いられます。
穴の数は16~49個の製品が多く、培土入れや育苗管理などの効率性が高まります。また、トレータイプには機械で植えられる製品もあり、大量の苗を短時間で植え付けることが可能です。
3. エコポット
数ヶ月で土に還るパルプ素材で作られており、種播き・育苗後は育苗ポットごとそのまま植えることができます。環境に優しく、植え付け時に苗の根を傷めにくいのが特徴です。
4. 苗木用大型ポット
果樹や植木、観葉植物などを育てるのに使われる大きな育苗ポットもあります。頑丈なポリプロピレン製のものが多く、直径は60cm前後の製品が販売されています。
育苗ポットの選び方
育苗ポットは、対象作物の生育や性質に応じたものを選ぶのが基本です。例えば、湿気に弱い作物や花であれば、スリットが多めに入ったタイプを選日ます。
また、ポリポットタイプの育苗ポットは、カラフルな色の製品を手軽に入手できるので、苗を区別したいときに便利です。
育苗ポットのその他情報
育苗ポットの代用
農業では難しいものの、家庭菜園においては「紙コップ」や「牛乳パック」「卵パック」などを育苗ポットの代用として使う場合もあります。その他、新聞紙を折りたたんで育苗ポット代わりに使うことも可能です。
紙コップなど代用ポットの底部にあらかじめ小さな穴を開けておき、土を入れてから種まき、水やりをします。柔らかい素材の代用品は移動時に破ける可能性があるため注意が必要です。
種まきした苗が一定の大きさに成長したら、プランターや花壇などに植え替えます。