ヘキシルアミン

ヘキシルアミンとは

ヘキシルアミンとは、化学式C6H15Nであらわされるモノアルキルアミンの1種です。

1-アミノヘキサンとも呼ばれます。ヘキシルアミンの製造方法としては、その他の一級アミンと同様に、間接法と呼ばれるハロアルカンからシアノ化を経由してアミンへ変換する手法が一般的です。

ヘキシルアミンの法規制では、消防法において危険物第4類第二石に、労働安全衛生法において危険物・引火性の物質に指定されています。

ヘキシルアミンの使用用途

ヘキシルアミンは、主に界面活性剤、農薬、腐食防止剤、ゴム、乳化剤、医薬品などの中間体として利用されています。また、ヘキシルアミンは香料としての用途も知られており、諸外国では従来より用いられてきました。

日本では食品添加物としての認可が得られておらず、使用されていませんでしたが、近年要請が受理されたことで使用可能となっています。その他、染料の原料も用途の1つです。

これはアゾ染料の原料としての利用であり、その他のアゾ染料と同様に、ジアゾ化カップリング反応を経てから合成されます。

ヘキシルアミンの性質

ヘキシルアミンは、アミン臭のある、無色〜わずかにうすい黄色の透明の液体です。CAS番号は、111-26-2で表わされます。pHは11.6、蒸気圧は0.87kPa/20°C、密度は0.77です。

融点−19℃、引火点27℃、沸点130℃、自然発火温度270℃、爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界は、下限2.1%、上限9.3%です。水への溶解度は1.2g/100mLで、わずかに溶解します。

エーテルおよびエタノールに可溶です。通常の環境下において安定ですが、火花、裸火、静電気放電を避け、混触危険物質である酸化剤と酸との接触を避けます。

ヘキシルアミンのその他情報

1. 安全性

ヘキシルアミンはGHSの物理化学的危険性分類において、引火性液体 (区分3) に該当します。引火性液体および蒸気を発生させるため、取り扱い時は注意が必要です。

また、健康に対する有害性分類において、急性毒性・経口 (区分4) 、急性毒性・経皮 (区分3) 、皮膚腐食性/刺激性 (区分1A) 、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 (区分1) に該当します。

環境に対する有害性分類では、水生環境有害性長期 (区分3) に該当します。長期継続的な影響によって、水生生物に有害であるため、環境流出には特に注意が必要です。

2. 応急措置

飲み込んだ場合は直ちに口をすすぎ、無理に吐かせず速やかに医師に連絡します。皮膚等に付着した場合は、汚染された衣類をすべて脱ぎ、皮膚を石鹸および大量の流水、シャワーで洗い流します。

吸入した場合は、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させ、眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗い流し、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外し、洗浄の継続が必要です。

いずれの場合も、応急措置が終わった後、直ちに医師への連絡を行います。診断時は、SDSなどを持参し情報提供を行います。

3. 取扱方法

作業場所は、密閉化した設備または局所排気装置を設置し、換気の良い場所で作業を行います。また、取扱い場所の近くに、洗眼および身体洗浄用の設備の設置が必要です。

引火性液体であることから、作業場所は静電気対策を行い、設備は防爆型のものを使用します。作業者は、防毒マスク、自給式呼吸器、送気マスク等を着用し、不浸透性の手袋、保護眼鏡 (ゴーグル型) 、状況に応じて保護面、不浸透性の保護衣、状況に応じて保護長靴を着用します。

4. 火災時の措置

消火時は、火災が拡大し危険な場合があることから水での消火を行ってはいけません。粉末、泡、二酸化炭素消火剤を使用して消火を行います。

消火作業は、風上から行い、周囲の状況に応じた適切な消火方法を用います。燃焼や高温により分解し、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素酸化物などの有毒なヒュームを発生する恐れがあるため、消火を行う者は、必ず保護具を着用が必要です。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0108-0332JGHEJP.pdf

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