びびりとは
びびりとは、工作機械関連で使用される用語で、切削したり研削したりする時に発生する異常な振動現象を言い、加工面に特有のびびりマークが生じます。
びびり振動は2種類あり、自励びびり振動、すなわち系が不安定になって発生する定常的な振動と、強制びびり振動、すなわち外部からの振動や機械内部からの振動によるワーク加工面に発生する振動です。再生びびりとも言われる自励びびりは、直前に加工した面が周期的に変動する影響や、複数の振動モードが連成して生ずる影響などで発生します。強制びびりは、工作機械の駆動電動機・駆動装置や切削力の変動によって発生する内部振動や機械外部からの振動により加工面の振動が発生します。
びびりの使用用途
びびりは、加工時に発生する異常な振動であるため、仕上げ面の劣化をきたし、工具の破損や場合によって工作機械の破損まで至ります。したがって原因を究明して適切な対策を行う必要があります。
自励びびりは、バイトや機械自身あるいはワークの微小な振動により、加工面に微小で周期的な凹凸が生ずることが発端です。そして直後の加工凹凸の周期が直前の加工凹凸の周期と干渉すると加工凹凸が大きくなり、さらに進行すると周期的な振動が発生します。
強制びびりは、機械の内部や外部からの振動により、顕著な加工凹凸が発生してびびり振動となります。
びびりの原理
びびりを抑制する方法は、その要因次第であるといえます。自励びびりの場合は、系の振動応答性の問題であるため、影響する因子として単位面積当たりの切削力、切削幅、及び主軸の1回転に要する時間などの切削条件や工作機械全体の動特性などがあります。具体的には切削条件では、切削速度の低下、切り込み深さの減少、及び主軸回転速度の変更などの対策があります。また、工具形状では、すくい角やねじれ角の増加、及び不等ピッチカッターへの変更などです。機械の動特性では、剛性を上げる設計、鋼板溶接構造への変更、及びレジンコンクリート構造の採用などの対策が取られます。工具動特性の改善では、ばねバイトやダンパー内蔵のバイトの採用などです。
強制びびり振動を抑制する方法ですが、機械の内部発生振動に対しては、ポンプなどを機外へ持ち出して振動源を除去するとか、フレキシブルカップリングを用いて振動伝播を低減するとか、回転数を変更して振動周波数を変えるなどを行います。外来振動に対しては、防振基礎やラバーマウントなどを使って振動伝達を小さくする方法があります。また、切削力の変動に対しては、工具形状やカッター刃数の変更、不等ピッチカッターの使用などにより切削力を低減したり、振動周波数を変える対策が取られます。