ピニオンカッターとは
ピニオンカッターとは、歯車の切削を目的とした歯車形の切削工具です。
ピニオンカッターは高い硬度を持つ材料からできており、ギアの歯形を形成する用途で利用されます。ピニオンカッターの精度はギアの性能に直結し、歯面の仕上がりや耐久性に大きな影響を与えます。ピニオンカッターは、加工対象の側面に刃を押し付け、往復運動をすることにより切削します。内歯車などといったホブでは加工できない対象の切削に用いられています。
ピニオンカッターの使用用途
ピニオンカッターはホブでは加工できない形状に切削することができます。ここでは形状に焦点を当てて、ピニオンカッターの使用用途を2つ解説します。
1. 内歯車の切削
ピニオンカッターは、ホブでは加工が困難な内歯車の切削に適しています。内歯車はギアボックスや自動車の差動装置などに使用されています。外歯車とは異なり、内部に歯形を形成する必要があります。ホブは外歯車の切削には適していますが、工具の構造上、内歯車を成型することは不可能です。一方ピニオンカッターは、加工対象の側面に刃を押し付け、往復運動をしながら切削するため、内部の切削にも対応可能です。これにより高精度な内歯車を製造でき、ギアの噛み合い精度が向上し駆動効率や耐久性の向上に貢献します。このようにピニオンカッターは、ホブでは加工できない形状の歯車を加工することができます。
2. 段付き歯車の切削
ピニオンカッターは、段差のついた歯車の切削が可能です。段付き歯車は異なる径を持つ複数のギアを持ちますが、回転運動により切削するホブでは形成することができません。しかしピニオンカッターは往復運動によって切削するため、指定した地点まで切削することができます。段差の境目までを切削すれば、一つの部品に複数のギアを付与できます。このように、ピニオンカッターを用いれば、駆動歯車のほかに減速が必要な歯車の加工が可能になります。