重ね葺きとは
重ね葺きとは、既存の屋根材を撤去せず、その上から新しい屋根材を施工する工法です。
カバー工法とも呼ばれています。屋根を撤去しないため住居に住みながらの工事が可能な点や、コストと施工期間を抑えられる点から近年リフォーム市場で人気が高まっています。
重ね葺きでは既存の屋根を撤去する必要がないため、解体・廃材処分費用を抑えられたり、短期間で施工が完了したりするメリットがあります。また、新旧二重の屋根構造になることで、断熱効果や防音効果も向上します。重ね葺きに使用する素材にシングル屋根材のような軽量素材を使用することで耐震性を維持しながらの補強も可能です。ただし、屋根が二重構造になることから単構造の屋根と比較すると重量は増加するため、素材を正しく選ぶことが重要です。また、劣化の激しい屋根や瓦屋根には使用できない工法で施工対象が限られる点も知っておかなければなりません。
重ね葺きの使用用途
重ね葺きは費用を抑えながら耐久性・防水性・断熱性を向上できるため、屋根リフォームの手法として非常に有効です。特にスレート屋根や金属屋根のリフォームに多く採用されています。以下で具体的な使用用途を説明します。
1. 住宅の屋根リフォーム
重ね葺きではもともとあった屋根に新しい屋根をかぶせるため、住民が部屋を出ていく必要がなく負担を最小限に抑えられます。また、既存の状態より断熱性や遮音性が向上するため室内環境の快適性の向上も見込めます。またアスベストを含む古いスレート屋根の場合、撤去せずにカバー工法で施工できるため、安全かつ低コストな対策として適しています。
2. 倉庫・工場の屋根補修
大型の倉庫や工場では、全面的な屋根の撤去には多大なコストと時間がかかるため、重ね葺きが適しています。特に、ガルバリウム鋼板や遮熱性の高い金属屋根を採用することで、耐久性・防水性・断熱性を向上させることが可能です。食品工場や温度管理が重要な施設では、断熱材付きの屋根材を使うことで、温度変化の影響を抑えられるのも大きなメリットです。
3. 太陽光発電を設置する前の補強
既存の屋根に太陽光発電パネルを設置する際、屋根の耐久性を向上させる目的で重ね葺きを行うこともあります。軽量で耐久性の高いガルバリウム鋼板などを使用することで、長期的に安定した屋根環境を確保でき、太陽光パネルの設置と同時にリフォームできるため、メンテナンスコストの削減にもつながります。