ガラスビーズブラストとは
ガラスビーズブラストとは、微細なガラスビーズを圧縮空気と共に高速で噴射し、対象物の表面に衝突させることで表面処理を行うブラスト工法です。
ガラスビーズは球形であり、他の研磨材と比較して対象物を傷つけにくいという特徴を持ちます。そのため、表面を粗面化しつつも過度な損傷を与えずに洗浄や仕上げを行うことが可能です。ガラスビーズの特性から、繊細な加工が求められる製品や光沢のある仕上がりが求められる場合に適しています。
ガラスビーズブラストでは、使用するガラスビーズの粒径や噴射圧力、噴射距離などを調整することで仕上がりの質感や粗さを制御することが可能です。粒径が小さく圧力が低いほど、滑らかで光沢のある仕上がりとなります。一方、粒径が大きく圧力が高いほど、粗いマットな仕上がりとなります。また下地処理として研磨加工を施すことで、さらに多様な表現が可能です。ガラスビーズ自体は対象物を削る力が弱いため、強い研磨目を消すことは難しい傾向があります。そのため深い研磨目が残っている場合にはあらかじめバフ研磨などで除去しておくことが重要です。
ガラスビーズブラストの使用用途
ガラスビーズブラストの使用用途として、装飾・意匠性向上、バリ取り・表面仕上げ、ピーニング効果、洗浄・表面改質の4つを解説します。
1. 装飾・意匠性向上
ガラスビーズブラストの特徴的な用途は、金属表面に独特の質感と光沢を付与し、装飾性や意匠性を向上させることが可能です。白銀に輝く上品な仕上がりは宝飾品のような高級感を演出し、製品の付加価値を高めます。例えばステンレス製の手摺にガラスビーズブラストを施すことで、エレガントで洗練された印象を与えることが可能です。建築物の内外装、家具、照明器具など、意匠性が重視される製品に多く採用されています。
2. バリ取り・表面仕上げ
製造過程で発生するバリや微細な傷を除去し表面を滑らかに仕上げるためにも、ガラスビーズブラストは有効です。球形のガラスビーズが表面に均一に衝突することで鋭利な突起を丸め、滑らかな手触りを実現します。こうした効果は、精密機械部品や医療機器など安全性や機能性が求められる製品において重要です。
3. ピーニング効果
ガラスビーズブラストは、対象物の表面に圧縮残留応力を付与し、疲労強度や耐摩耗性を向上させるピーニング効果も期待できます。ガラスビーズの衝突によって表面が微細に塑性変形し、内部に圧縮応力が生じるためです。ピーニング効果は、航空機部品や自動車部品など高い耐久性が求められる製品において有効です。
4. 洗浄・表面改質
ガラスビーズブラストは、金属表面に付着した酸化被膜や汚れを除去し、清浄な表面を得るためにも用いられます。ガラスビーズの衝突エネルギーによって汚れや酸化物が剥離されるためです。また表面を適度に粗面化することで、塗料や接着剤の密着性を向上させられます。