コンプレッション成形

コンプレッション成形とは

コンプレッション成形とは、日本語で圧縮成形とも呼ばれ、ゴム製品の製造方法として歴史のある成形方法です。

金型の凹部 (キャビティ) に予め計量したゴム材料を投入し、熱と圧力を加えて成形します。金型を加熱した状態で圧縮機によって型締めし、ゴム材料を金型内で流動させ加硫 (架橋反応) させることで、目的の形状に成形します。コンプレッション成形はたい焼きやおやきを作るプロセスに例えられることが多く、直感的に理解しやすい製造技術です。

コンプレッション成形は他の成形方法と比較して金型構造が単純であるため、金型製作費用を抑えられるという大きなメリットがあります。また比較的単純な操作で成形が可能なため、高度な技術や熟練した作業者を必要とせず生産現場への導入ハードルが低いことも特徴です。少量生産や試作品の製造にも柔軟に対応できるため、研究開発段階や多品種少量生産が求められる製品の製造にも適しています。コンプレッション成形は、成形工程で発生するバリの処理に手間がかかるというデメリットも存在します。

コンプレッション成形の用途

コンプレッション成形の用途として、工業用パッキン・ガスケット、自動車用部品、医療機器部品の3つを解説します。

1. 工業用パッキン・ガスケット

コンプレッション成形はOリングやガスケットなどのシール材の製造に広く利用されています。Oリングやガスケットなどの部品は機械や装置の接合部から流体や気体が漏れるのを防ぐ役割を担っており、自動車、航空機、産業機械など、幅広い分野で使用されています。コンプレッション成形によって製造されるシール材は、耐熱性、耐油性、耐薬品性など、使用環境に応じた特性を持つ材料を選ぶことで様々な用途に対応することが可能です。金型さえあれば多種多様な形状を成形できるため、特殊形状のパッキンやガスケットの製造にも適しています。

2. 自動車用部品

自動車産業においてもコンプレッション成形は活用されています。例えばエンジン周りの耐熱性や耐油性が求められるシール材や、車体の振動を吸収する防振ゴムなどの製造に用いられます。

3. 医療機器部品

医療機器分野では、安全性や衛生面への配慮から高品質なゴム部品が求められます。コンプレッション成形は、医療用チューブやカテーテル、人工臓器の部品など人体に直接触れるような部品の製造にも用いられています。