圧縮成形

圧縮成形とは

圧縮成形とは、熱硬化性樹脂を金型内で加熱・加圧し、化学反応によって硬化させて成形品を得る加工方法です。

熱硬化性樹脂は、加熱することで架橋反応を起こし硬化する性質を持つ樹脂であり、一度硬化すると再び加熱しても軟化・溶融しないという特徴を有します。熱硬化性樹脂の特性を活かし、耐久性や耐熱性、耐薬品性が求められる製品の製造に用いられる成形方法が圧縮成形です。圧縮成形はプラスチックの成形方法の中でも歴史が古く、基本的な原理は発明当初から大きく変わっていません。金型はキャビティ (雌型) とコア (雄型) で構成されています。まずキャビティ内に粉末状またはタブレット状の成形材料を投入し、その後に加熱された金型を閉じ高い圧力をかけることで成形材料を流動化させると同時に架橋反応を進行させ、金型の形状に固化させます。成形後、金型を開いて製品を取り出し、必要に応じてバリなどの仕上げ処理を行います。

圧縮成形は、射出成形などの他の成形方法と比較して設備が比較的安価であること、金型構造が単純であること、大型製品の成形に適していることなどがメリットです。一方で、成形サイクルが長い、複雑な形状の成形には不向き、バリの発生など後処理が必要となる場合があるといったデメリットも存在します。

圧縮成形の使用用途

圧縮成形の使用用途として、食器類、電気絶縁部品、服飾用ボタンの3つを解説します。

1. 食器類

メラミン樹脂やユリア樹脂を用いた圧縮成形は、食器類の製造に広く用いられています。メラミン樹脂やユリア樹脂は耐熱性、耐水性、耐薬品性に優れており、食器としての使用に適した性質を備えています。また表面硬度が高く傷がつきにくいため、長期間美観を保つことが可能です。軽量で割れにくいという特徴も、食器としての利便性を高めています。具体的には、皿、茶碗、丼、コップ、トレーなど様々な食器が圧縮成形によって製造されています。

2. 電気絶縁部品

フェノール樹脂やエポキシ樹脂を用いた圧縮成形は、電気絶縁部品の製造に不可欠な技術です。フェノール樹脂やエポキシ樹脂は高い電気絶縁性を備えているため、電気を通さないことが求められる部品に適しています。また耐熱性や機械的強度にも優れているため、過酷な環境下でも安定した性能を発揮します。

3. 服飾用ボタン

ユリア樹脂を用いた圧縮成形は、服飾用ボタンの製造にも用いられています。ユリア樹脂は硬度が高く耐摩耗性に優れているため、ボタンとしての使用に適しています。