冷延鋼板

冷延鋼板とは

冷延鋼板とは、熱間圧延された鋼板 (熱延鋼板) を、さらに常温で再結晶温度以下で圧延加工 (冷間圧延) を施した鋼板です。

冷間圧延によって、熱延鋼板よりも薄く表面が滑らかで、寸法精度に優れた高品質な鋼板となります。熱間圧延では、高温状態の鋼を圧延するため表面に酸化スケールと呼ばれる酸化膜が発生し、寸法精度にも限界があります。一方、冷間圧延では、常温で加工するため酸化スケールの発生が抑えられ、より薄く、表面が美麗で均一な厚みを持つ鋼板を製造することが可能です。

冷延鋼板は優れた特性から、幅広い用途で使用されています。冷延鋼板は広幅帯鋼をシャー (剪断機) にかけて一定寸法に剪断した切り板です。また、冷延鋼板の製造過程で生まれる幅600mm以上でコイル状のものは冷延広幅帯鋼と呼ばれ、ブリキや亜鉛めっき鋼板の素材としても使われます。熱延帯鋼をスリットして冷間圧延したもの、あるいはそのまま直接冷間圧延したもので幅600mm未満のコイル状のものは、みがき帯鋼と呼ばれます。

冷延鋼板の使用用途

冷延鋼板の使用用途として、自動車、家電製品、鋼製家具、建材の4つを解説します。

1. 自動車

冷延鋼板は、自動車のボディ、フレーム、ドア、ボンネットなど車体の主要な部分に広く使用されています。自動車には軽量化と衝突安全性の両立が求められますが、冷延鋼板は高強度で加工性にも優れているため、こうした要求を満たす適した素材です。

2. 家電製品

冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電製品の外装や内部部品にも、冷延鋼板が多用されています。冷延鋼板は、表面が美しく塗装やめっきなどの表面処理にも適しているため、家電製品の外観を美しく仕上げることが可能です。

3. 鋼製家具

オフィスで使用されるデスク、ロッカー、キャビネットなどの鋼製家具にも、冷延鋼板は必要な素材です。冷延鋼板は薄くて強度があるため、軽量で丈夫な家具を製造することが可能です。また加工性にも優れているため、複雑な形状の家具を製造できます。

4. 建材

冷延鋼板は、建物の屋根材や外壁材などの建材としても使用されています。特に、表面にめっき処理を施した鋼板は耐食性に優れているため、屋外で使用される建材として適しています。