RNA合成サービスとは
RNA合成サービスとは、遺伝子の塩基配列情報をもとに、その遺伝子に対応するRNAを人工的に合成して提供するサービスのことです。
RNA (Ribo Nucleic Acid、日本語:リボ核酸) はDNAと共に核酸と呼ばれるグループに属しています。そして、RNAは生命の設計図であるDNAの情報をもとに、実際に生命体を形作るタンパク質を作り出す過程において、非常に重要な役割を担っています。
実際の生物の中で行われているRNA合成は、DNAに含まれる遺伝子を鋳型鎖として、RNAポリメラーゼという酵素が働いて、RNAを作り出す過程のことです。
RNA合成サービスでは、顧客からの依頼を受けて、顧客から提供を受けた遺伝子の塩基の配列情報をもとに、その遺伝子に対応するRNAを人工的に合成します。顧客から提供される塩基の配列情報とは、多くの場合はDNAの塩基の配列情報です。
実際の作業としては、依頼者からテキストファイルなどの形で提供を受けたDNAの遺伝子配列情報を、RNA合成装置に読み込ませます。RNA合成装置内部で、読み込んだDNAに対応するRNAを合成するための化学反応を起こさせます。
RNA合成サービスの使用用途
RNA合成サービスは、生命科学の研究、医薬品の開発、病気の診断などで使用されています。
RNAは、生命体の基となるタンパク質を作り出す上で大きな役割を担っています。RNAの種類と構造、そして役割を研究することは、生命科学の研究や医学の発展において欠かせない事項となっています。
1.生命体におけるRNAの役割
RNAには大きく分けてメッセンジャーRNA (mRNA) 、トランスファーRNA (tRNA) 、リボソームRNA (rRNA) 、ノンコーディングRNAという種類があります。
メッセンジャーRNAは、DNAの遺伝子情報をコピーして、“タンパク質を合成する場”となっているリボソームに運びます。トランスファーRNAは、アミノ酸をリボソームに運びます。リボソームRNAは、リポソームの主な構成要素となります。ノンコーディングRNAはタンパク質をコードしない、即ち直接タンパク質に翻訳されないRNAの総称であり、遺伝子発現の調節などの役割を担います。
2.RNA合成サービスの利用例
生命科学の研究では、基礎生物学の研究や、特定の遺伝子の機能解析のためにRNA合成サービスが使われます。
医薬品の開発では、遺伝子治療薬の開発にRNA合成サービスが重要な役割を果たしています。また、ワクチンにおいては、新型コロナウィルスの感染拡大を抑えるために、メッセンジャーRNA(mRNA) を使ったワクチンが注目を集めました。
病気の診断においては、病気の診断マーカーとして使用されるRNAの合成等に、RNA合成サービスが使用されています。