ポーラログラフとは
ポーラログラフとは、溶液に浸した2つの電極の間に電圧を印加し、流れる電流を測定する電気化学分析装置です。
ポーラログラフを用いることで、溶液中の物質の酸化・還元反応に伴う電流を調べられ、その結果得られる電圧と電流の関係を表したグラフを「ポーラログラム」と呼びます。ポーラログラムを用いた手法は物質の定量・定性分析に広く用いられ、ポーラログラムの形状から溶液中の物質の種類や濃度を正確に把握することが可能です。
酸化還元反応に伴う電流 (拡散電流) は溶液中の物質濃度に比例するため、電流を測定することで濃度を定量化することが可能です。また物質が反応する際に必要なエネルギーである印加電圧を分析することで、物質の種類を特定する定性分析も行えます。
ポーラログラフの使用用途
ポーラログラフの使用用途として、定量分析、定性分析、環境分野、化学研究の4つを解説します。
1. 定量分析
ポーラログラフの一般的な用途は、溶液中の特定物質の濃度を定量的に測定することです。例えば、工業分野では反応物質の濃度をリアルタイムでモニタリングし、製造過程を効率化するために利用されます。また医薬品開発や食品検査においても、微量な成分の正確な濃度測定に使用されています。
2. 定性分析
ポーラログラフは、物質を酸化・還元するために必要なエネルギーである印加電圧を調べることで、物質の特定が可能です。定性分析は、水質分析で有害物質の特定や混合物中の成分分離に利用されています。
3. 環境分野
環境分野では、ポーラログラフを使用した計測器が水質管理に活用されています。特に水道水や工業排水中の遊離残留塩素濃度を測定する際に使用される装置が広く普及しています。例えば対極に銀、作用極に金を使用し電流変化を測定することで、消毒剤濃度を正確に把握することが可能です。
4. 化学研究
研究機関では、ポーラログラフを活用して化学反応のメカニズムの解明や新素材や触媒の開発が行われています。