カーエアコンホース

カーエアコンホースとは

カーエアコンホースとは、自動車のエアコンに使用されている冷媒を運ぶためのホースです。

自動車のエアコンは、エアコンシステム内に冷媒であるガスを循環させ、圧力を加えてガスの気化と液化を繰り返すことで動作しています。カーエアコンホースには、高圧配管、低圧配管などの種類があります。通常、ゴム・樹脂などを用いて製造されている製品です。材料の環境対応、軽量化、長寿命化など様々な試みが成されています。

カーエアコンホースの使用用途

カーエアコンホースは主に自動車のエアコンの冷媒 (エアコンガス) の循環に使用されています。

カーエアコンは、エアコンガスの圧縮、冷却、霧状化と、空気とエアコンガスとの熱交換で動作しています。カーエアコンホースは、このエアコンガスが循環する配管として使用される部品です。使用される主な冷媒の種類には下記のようなものがあります。

  • R-134a (HFC134a): 長らく最も普及してきた冷媒です。温暖化を促進する性質があることが知られているため、R1234yfへの移行が進んでいます。
  • R-1234yf: エコロジーなガスとして、現在の新車にはほとんどこの冷媒が搭載されています。R-134aの次に普及が進んでおり、温暖化を促進せず、オゾン層も破壊しません。ただし、R-134aと比べて高価です。
  • CO2冷媒: フロン系冷媒に比べて市場シェアは少ないものの、環境対応型の冷媒として着目されています。温暖化への影響度はR-134aの1300分の1であり、塩素を含まない
    ためオゾン層を破壊することもありません。

カーエアコンホースの原理

1. カーエアコンの原理

カーエアコンを構成する主な装置は、コンプレッサー (圧縮) 、コンデンサー (冷却) 、レシーバーとバルブ (霧状化) 、エバポレーター (熱交換) などです。カーエアコンホースは、これらの装置を繋いでエアコンガスを循環させます。動作の原理は下記の通りです。

  1. 圧縮: コンプレッサーはエアコンガスを圧縮する機械です。エアコンガスは圧縮によって、低温低圧の気体から、高温高圧の半液体へと状態が変化します。
  2. 冷却: コンプレッサーで圧縮され半液体となった冷媒は、コンデンサーによって冷却されます。コンデンサー内は、細い管が何重にも折りたたまれた表面積の大きい構造です。効率的に放熱が行われ、冷媒が低温高圧の液体になります。
  3. 霧状化: 冷媒がレシーバー (レシーバータンク、リキッドタンク) に溜められ、エキスパンションバルブを通して噴霧されます。圧縮し高圧となっている冷媒を瞬時に膨張させ、低温低圧の霧状にします。
  4. 熱交換: 低温となった霧状の冷媒はエバポレーターに送られ、空気と熱交換します。冷却された空気は車内に送られ、車内温度を下げます。また、エバポレーターは除湿も可能です。水蒸気を含んだ空気を冷却すると、エバポレーター表面が結露し、この水滴を排水することで、車内に供給される空気に含まれる水蒸気量を減らす仕組みです。

2. カーエアコンホースの機能

カーエアコンホースには、高圧配管と低圧配管があります。 

高圧配管は、低圧配管に比べて細い配管です。コンプレッサーとコンデンサーを繋ぐことに使用されており、圧縮ガスが通っています。高圧配管にはのぞき窓であるサイトグラスや、圧力スイッチがついています。

低圧配管は、高圧配管に比べて太い配管です。低温低圧のエアコンガスが流れており、エバポレーターとコンデンサーを結んでいます。

カーエアコンホースの種類

カーエアコンホースは、様々な種類が製造販売されている製品です。材質は、全体がゴムでできているオールラバータイプや、内面が樹脂でできているゴム・樹脂ハイブリッドタイプなどの種類があります。ゴム・樹脂ポリマーアロイを海島構造にすることで軽量化を図っている製品もあります。このような製品では、ゴムが持つ柔軟性・耐熱性を維持しながら、高いガスバリア性能を発揮することが可能です。

ホースの寸法には、内径8mm、内径11mm、内径15mmなどがあります。用途に合わせて適切なものが選定・使用されます。