ポリイミドチューブ

ポリイミドチューブとは

ポリイミドチューブとは、耐熱・耐寒性に優れ、ポリイミドフィルムを巻いて接着してあるチューブもありますが、シームレスで作られているものであれば接着剤の影響を受けず、耐熱性をフルに発揮するチューブです。

特殊な多重構造になっており、衝撃や屈曲に強く、破れる心配がありません。内径0.08mm、厚さは0.013mmの極細、極薄でもチューブが作れます。

内径が大きいものは、チューブベルトと呼びます。ほとんどの接着剤で接着可能で、作業性も良好な特徴を持っています。

ポリイミドチューブの使用用途

代表的な用途としては、電子部品用としては導体スリーブや絶縁体、医療用では医療用カテーテルや分析機器用輸液チューブ、その他では光ファイバーの被膜などです。温度センサーやヒーター素子、リード線に使用されることもあります。チューブベルトは平滑な表面と正確な寸法でOA機器や精密機器の駆動機構に用いられます。

用途別に極細のものから大口径まであり、ポリイミド以外の樹脂を内側ないし外側に層状にすることで摺動性を向上させたり、金属ワイヤを編み込んで肉厚強度を向上させたりすることが可能です。穴や溝を入れたり、テーパー加工を行ったりするなど、特殊加工を施すこともあります。

ポリイミドチューブの原理

極めて強固な分子構造をしているポリイミドは−269℃~400℃に耐え、高絶縁性、低誘電率、体誘電損失などの電気特性、耐薬品性、耐放射線性に優れている物質です。イミド環の分極に基づいて、分子内、分子間での電荷移動錯体を形成しているため、黄色から橙色をしています。

主鎖構造が主に芳香環 (ベンゼン環とイミド環) で構成されており、これは自由回転が可能な単結合が少なく配座構造の変化が少ないです。非常に剛直であり、ガラス転移点や融点が高くなることを意味します。ポリイミドのガラス転移温度の高低には分子間相互作用も寄与しており、分子の対称性が低下して直線状構造からずれると下がる傾向です。

用途によって特性を強化したり付与したりするために置換基で加工したり、チューブを物理的に加工したりすることがしばしば行われます。例えば、医療用カテーテルとして使用される場合、非常に細いチューブでも作業が可能になるように摩擦係数を下げ、表面抵抗を抑えたりします。ポリイミド以外の樹脂と組み合わせて層状にすると摺動性が向上します。

ポリイミドチューブの種類

1. 耐熱ポリイミドチューブ

耐熱ポリイミドチューブは、ポリイミド樹脂をベースにした高温に耐える特性を持つチューブです。一般的な耐熱温度は200℃以上であり、一部の製品では300℃以上の耐熱性を示すものもあります。

エンジン部品やヒーター、電気モーターの絶縁コイル、宇宙航空産業の部品など、高温環境での電気絶縁材や耐熱部品として幅広く使用されます。特に、航空機や宇宙機器、自動車など高温に晒される環境での利用が多いです。

2. 高強度ポリイミドチューブ

高強度ポリイミドチューブは、強力な機械的特性を持ち、優れた耐久性を有しています。ポリイミドの高分子構造は高強度であるため、構造用途や複雑な形状の部品として利用されることが一般的です。

建築業界では、高強度ポリイミドチューブが建物の断熱材として使用されたり、自動車産業ではエンジン部品やギア、ベアリング、歯車などに応用されたりします。その堅牢さと耐久性によって、厳しい条件下での使用に適しています。

3. 電気絶縁ポリイミドチューブ

電気絶縁ポリイミドチューブは、優れた電気絶縁性を持つため、電気部品や配線の絶縁材として利用されます。ポリイミドの高い絶縁性は、電気信号の流れを妨げず、安全かつ信頼性のある電気絶縁を実現可能です。

高電圧や高周波の電気機器、電気モーター、トランスフォーマー、太陽電池パネルなどで使用されます。特に高性能な電気絶縁が求められる産業分野で広く利用されます。

4. 吸水性ポリイミドチューブ

吸水性ポリイミドチューブは、特殊な加工により水を効率的に吸収する性質を持っています。この特性により、水を含んだり放出したりすることが可能です。

汚れや油脂を効率的に吸収するため、キッチンや自動車の洗浄用品として非常に便利です。また、吸水性ポリイミドチューブは浸水した場合にも速乾性があります。そのため、水を含んだ後も素早く乾燥し、再利用が可能です。

参考文献
www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1998/4/7/4_7_640/_pdf/-char/ja
https://www.hagitec.co.jp/hagi07/polyimidtube.htm

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