凍結防止ヒーター

凍結防止ヒーターとは

監修:株式会社TOTOKU

凍結防止ヒーターとは、対象物が凍結するのを防止するために設置するヒーターです。

水道管などにおいて水の流れが停止してしまうと、低温の環境下では凍結してしまいます。液体が凍結すると体積が膨張し、配管が破損する場合も多いです。このような状況を防ぐために、凍結防止ヒーターは管や配管などに取り付けられます。

凍結による配管の破損は修理や交換にコストがかかります。凍結防止ヒーターを設置することで、これらのコストを削減することが可能です。比較的簡単に取り付けることができるため、特に寒冷地などでは必要不可欠な装置の一つです。

凍結防止ヒーターの使用用途

凍結防止ヒーターは主に配管系統などで使用されます。以下はその一例です。

1. 上水道

水道管が凍結すると水の供給が途絶え、日常生活に深刻な影響を与える可能性があります。凍結防止ヒーターは水道管を凍結から保護し、水の供給を確保します。特に寒冷地域や冬季において、上水道システムの安定性を確保するために重要です。

2. 下水道

下水道管が凍結すると、排水の流れが滞り、地域によっては水害や環境汚染のリスクが高まります。凍結防止ヒーターによって下水道のパイプや排水溝を凍結から保護し、正常な排水を確保することが可能です。これにより、水害や環境汚染を防止します。

3. 自動車

自動車の冷却液やバッテリーは、冬季に凍結することも多いです。エンジンブロックの冷却液が凍結するとエンジンの始動が困難になり、バッテリーが凍結すると電力が供給されなくなります。凍結防止ヒーターはエンジンブロック内の冷却液を加熱し、バッテリーを保温して、自動車の信頼性を向上させます。

4. 化学工場

水酸化ナトリウムなどの化学物質は凝固点が水よりも高く、10℃程度でも凍結してしまう点が特徴です。水酸化ナトリウム配管が凍結・破裂すると、内部の液体が漏洩し、薬傷や環境汚染のリスクがあります。化学工場では水酸化ナトリウムを原材料や水処理に使用することが多いため、凍結防止ヒーターで一定の温度以上に保つことが必要です。

凍結防止ヒーターの原理

凍結防止ヒーターは電気によって電熱線を抵抗加熱させる仕組みです。一般的には電熱線、外皮、制御装置などで構成されます。

電熱線は凍結防止ヒーターの主要な部品であり、ニクロム線やカーボンファイバーなどが使用されます。これらの素材は電気を通すと発熱する性質を持っており、水などの液体を加熱することが可能です。配管に巻きつけたり、内部に埋設したりして使用されます。

外皮は電熱線を保護しつつ絶縁する部分です。一般的には耐久性のあるプラスチックやポリマーで作られています。電熱線が損傷を受けないように保護しつつ、電熱線を絶縁することで安全性を向上させます。

電熱線へ印可する電圧は制御装置によって制御することが多いです。外部温度や設定温度に応じて電熱線の電力供給を調整します。温度センサーが組み込まれており、周囲の温度を監視して適切な制御を行います。

凍結防止ヒーターの選び方

凍結防止ヒーターを選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 使用温度

凍結防止ヒーターを選ぶ際に最も重要な要素の一つは、適用可能な温度範囲です。周囲の温度が低下した際に十分に加熱できる必要があります。また、凍結防止ヒーターが過度に加熱すると、ヒーター外皮や配管の損傷リスクもあります。

2. 定格電圧

定格温度は凍結防止ヒーターが動作する電源電圧です。使用する電源の電圧と一致しているかを確認する必要があります。一般的にはAC100Vなどの製品が多く、コンセントに挿して使用できる場合もあります。

3. 長さ

凍結防止ヒーターの長さは保護する配管の長さに合わせて選定します。ヒーターが配管全体に適切に配置され、凍結リスクがあるすべての領域をカバーできるかを確認します。必要な長さを正確に計測し、適切なヒーターを選定することが重要です。

4. 形状

凍結防止ヒーターはさまざまな形状の製品があります。一般的にはフレキシブルな製品が多く、曲線にも合わせて調整することが可能です。設置場所や使用目的に応じて、適切な形状のヒーターを選択します。

本記事は凍結防止ヒーターを製造・販売する株式会社TOTOKU様に監修を頂きました。

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