フィルムヒーター

フィルムヒーターとは

フィルムヒーターは面状発熱体の一種で、金属の抵抗発熱を利用したヒーターです。 発熱体となる金属は非常に薄く、その発熱体を絶縁する為の絶縁フィルムで挟まれた形で構成されます。
その構造から、従来のヒーターでは不可能であった極薄化、柔軟性を持っており、近年では多くの産業分野で活用され始めています。使用する絶縁フィルムの材質によって、様々な付加性能
を与える事ができ、構造が簡単な事から安価であることも特徴となっています。

フィルムヒーターの使用用途

柔軟性を活かし、小型タンクや容器へ貼り付けての加熱や、高い均熱性を活かす為に金属プレートで挟み込んだ熱板、アンテナや屋外センサー等の設備向け融雪用途、屋外配管の凍結防止、
スポット使用での各種暖房器具、動物飼育環境での局所温調など、幅広く用いられています。 発熱体をITO(酸化インジウムスズ)蒸着で形成したフィルムヒーターは透過率が非常に高く、
自動車や鉄道、飛行機等の操縦席窓の融雪、防曇にも用いられます。

フィルムヒーターの原理

アルミニウムやステンレス、などの薄箔(10~50μm程度)を発熱体とし、エッチングや抜き型でパターン形状に抜き出し、そのパターンを絶縁体となる樹脂フィルムで挟み込んで製作します。
パターンは一筆書き様に描かれ、そのパターン全長と断面積、素材の固有抵抗値でヒータ全体の発熱容量が定義されます。 パターンの開始点、終了点には電圧を印加する為の端子を
ハトメなどで設け、そこへリード線などを取り付けます。 絶縁フィルムにはポリイミドフィルムPETフィルム、フッ素樹脂フィルムなどが用いられ、使用用途や環境によりフィルム材質を選定
します。 フィルムヒーターは面状の発熱パターンを自由度高く設計できるため、加熱したいエリアや形状に合わせて製作する事ができ、その為に高い均熱性を有している点や、絶縁体となる
フィルム自体の熱容量が低い事から、高い急速昇降温性能、追従性能が利点となりますが、発熱体が薄く、絶縁フィルムの耐熱性能も影響し、あまり高温での運転は出来ません。最高使用温度
は使用している絶縁フィルムに依存する事が多いです。

 

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