フリップチップボンダとは
フリップチップボンダとは、半導体製造において、ウエハから切り出した半導体チップを基板や半導体パッケージのリードフレームに取り付けるための装置です。
半導体チップは、シリコンウエハー等を材料としてフォトプロセス工程を経て製造されます。通常は一枚のウエハー上に多数のチップが作られており、ダイシング工程にてチップ毎に切断され、基板やフレームに装着されます。
ウエハーから切り分けられた半導体チップは上面側が電極端子を持った機能面になっており、フリップチップボンダは、チップ面を反転させて機能面を基板やフレームに直接装着します。
フリップチップボンダの使用用途
1. 半導体の製造工程におけるフリップチップボンダの役割
フリップチップボンダは半導体製造工程において、ベアチップをパッケージや基板へ装着する工程で使用されます。
IC等の半導体チップの製造では、シリコン等の半導体ウエハーに、露光、現像、エッチング等のフォトプロセスを繰り返してパターンが形成されます。ウエハーには多数のチップが作られ、フォトプロセスが完了したウエハーはダイサーによってチップ毎に切断されます。
フリップチップボンダは、切断されたチップをベアチップのまま基板に装着したり、チップを保護する目的で使用される半導体パッケージのリードフレームに装着するために使用されます。
2. フリップチップボンダを使ったチップの実装
ボンダには、フリップチップボンダの他にワイヤーボンダがあります。ワイヤーボンダは、基板やリードフレームに装着されたベアチップの電極端子 (バンプ) と、基板やリードフレームの接点との間を細いワイヤーを使って結合することで、両者間の信号の導通を実現しています。
これに対してフリップチップボンダは、バンプのあるベアチップの上面を反転 (フリップ) させ、基板上やリードフレーム上に配置された接続部に直接重なるように接着します。このことによって、チップの周囲にワイヤーを取り付けるスペースを確保する必要がなくなる他、チップの面全体を使用したバンプの配置が可能になります。
この特性により、フリップチップボンダはワイヤーボンダと比較して、より小面積でのチップの実装が可能になり、また、小さな面積で多数のバンプを持ったLSI (大規模集積回路) の製造が可能になります。
従って、フリップチップボンダは小さな基板に高密度にLSIを始めとする半導体チップを装着するアプリケーションに使用されます。その代表例としてスマートフォンの基板へのチップの実装があります。
フリップチップボンダの原理
ウエハー状態でプロセスが完了したベアチップは、検査工程を通ることで、不良チップがあればその位置が記録されています。
検査工程終了後にウエハーから個別に切り分けられた時のチップは、バラバラにはならず、粘着テープの上にウエハーの形状を保ったまま並んでいます。フリップチップボンダは圧着端子を使って良品チップを選別して良品チップを収納するためのトレイ (ワッフルパック) に並べてゆきます。
チップの収納が終わったワッフルパックを上下反転させることで、チップのバンプがついた機能面が下側になります。
チップはヘッドと呼ばれる圧着子によって取り出され、基板上へ画像処理技術を使って高精度に位置決めされます。この時に、チップのバンプと基板の絶族部が正確に重なるように置きます。チップはそのままヘッドによって基板へ圧接され、その後加熱溶着されます。
加熱溶着には、超音波方式が多く利用されています。超音波方式では、ヘッドを介して超音波をチップの裏面(基板側)に設けられたバンプまで伝え、瞬間的に配線パターンへ溶融させ、電気的な導通を得ます。
またチップと基板の装着において接合面にアンダーフィル樹脂を充填する場合があります。アンダーフィル樹脂は、チップを保護し、放熱効果を高める機能を持っています。
フリップチップボンダの選び方
フリップチップボンダの選択に当たっては、チップを装着する適用先、装着精度、他の装置との連携等を考慮して選択する必要があります。
フリップチップボンダのチップの適用先、即ちチップの実装相手には、基板やパッケージのリードフレームの他に、チップを重ね合わせるインターポーザ―への装着など様々です。適用先の確認は必須です。
チップの装着精度は、製造の歩留まりに直結します。フリップチップボンダは求められる装着精度を十分に満たしていることが重要です。
実験室での使用の場合を除き、フリップチップボンダは高度に自動化された半導体製造工程のラインの中に組み込まれます。良品チップの選択のための検査装置との連携を始め、前の工程にある装置や、後ろの工程にある装置、搬送ロボットとの連携など、自動化に関する仕様の確認も必要です。