アルミ鋼板

アルミ鋼板とは

アルミ鋼板

アルミ鋼板とは、アルミニウムと鉄を主成分とする鋼板のことです。

軽量でありながら強度が高く、耐食性にも優れています。そのため、自動車や航空機、建築材料などの分野で広く使用されています。アルミニウムの軽量性と鉄の強度を合わせ持っており、さまざまな用途に適した材料として注目されています。

ただし、一般的な鉄板に比べて高価で、加工にも注意を要します。また、アルミ鋼板の切削時に発生するアルミニウムの粉塵は人体に有害であり、適切な保護措置が必要です。

アルミ鋼板の使用用途

アルミ鋼板は産業に広く使用される材料です。自動車部品や建材などとして活用されます。

  • A1050・A1100
    電気機器や熱交換器の部品などに使用されます。
  • A2017
    航空機や電車などの部品に使用されます。
  • A5052
    自動車のホイールやアルミ缶に使用されます。
  • A6061
    建築材料や各種部品の中でも強度が必要な場合に使用されます。

A5052は、各特性において全てのアルミ合金の中間値を取ったようなバランスの良い特性を持っています。A5052を使用することが多く、最も流通量の多いアルミ合金です。

アルミ鋼板の性質

アルミ鋼板に使用されるアルミ合金は、「A」+「番手」の形で付番されます。アルミ鋼板は一般的に「圧延」と呼ばれる製造方法で量産されています。これは、大きなアルミの塊をローラーで挟みながら引き伸ばすことで、徐々に厚みを薄くしていく製造方法です。

各番手によって選択できるアルミ鋼板の厚みに幅があるため、用途や加工方法に合わせて最適な番手のアルミ鋼板を選択することが重要です。以下は代表的なアルミ鋼板の性質です。

1. A1050

アルミニウム純度が99.5%以上であり、他の元素の添加は行っていません。耐食性、表面処理性に優れており、溶接加工にも向いています。また、他の元素を添加していないため、強度は低いです。一方で強度が低いが故に、加工性が高いという特徴もあります。

粘り気があるため、切削加工では切り粉の接触による傷やへこみが発生しやすいことが欠点です。エアブローなどでこまめに切り粉を取り除くなどの工夫が必要になります。板厚は一般的に「0.1mm~2mm」の厚さを選択可能で、用途によって使い分けます。

2. A1100

アルミニウム純度が99%以上であり、耐食性や成型加工性に優れています。A1050同様に溶接加工にも向いています。また、アルマイト処理後の光沢を良好にするためにが少しだけ添加されています。板厚は「0.8mm~5mm」の厚さの素材を用途によって使い分けます。

3. A2017

一般的にジュラルミンの名称で知られる合金です。銅や少量のマグネシウムを添加した合金であり、鉄鋼材料にも引けを取らない強度を持っています。一方で加工性が低くなる傾向があります。また、溶接加工には向いていないという短所もあります。板厚は「1mm~100mm以上」と幅広い厚さを選択可能です。

4. A5052

マグネシウムなどを添加した合金です。様々な種類が存在するアルミ合金の中間程度の強度を持っており、耐食性、成形性、加工性に優れています。最も使用頻度が高い素材で、溶接加工も問題なく可能です。

板厚も「0.5mm~300mm以上」と幅広い厚さが存在し、A2017同様に用途に合わせた適切な板厚の素材が入手しやすいという利点があります。

5. A6061

シリコンやマグネシウムを添加したアルミニウム合金です。強度と耐食性に優れています。焼き入れと焼き戻しを施すことで、鉄鋼材料と同等の強度を得られるのが特徴です。

一方で、2,000番手系と同じく溶接加工には不向きという短所があります。板厚は「1mm~150mm」まで幅広く選択可能なため、用途に合った素材を見つけることができます。

 

上記以外にも、様々な番手のものが存在するとともに、その種類は研究開発によって日々増えています。最適な材料選定には、材料メーカーとの協力が不可欠になります。

アルミ鋼板の選び方

素材の流通量によってアルミ鋼板の値段にも差が出るため、コスト的な考慮が必要な場合には流通量の多い番手と流通量の多い板厚を選択することが重要です。特に、同じ番手でも流通量の少ない板厚を選択する際、メーカーに在庫が存在しません。

したがって、アルミ鋼板を改めて圧延加工するところから始まり、納品までのリードタイムが長くなります。さらに、コストも跳ね上がることがあるため、注意が必要です。

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