トリメチルベンゼン

トリメチルベンゼンとは

トリメチルベンゼン (英: Trimethylbenzene) とは、化学式C9H12で表される芳香族炭化水素です。

分子量は120.19です。特異臭のある無色の液体です。ベンゼン環の3個の水素がメチル基で置き換わった構造で、3種類の異性体があります。1つ目は、ベンゼン環にメチル基が1位、2位、3位に付いた1,2,3-トリメチルベンゼンで、慣用的にヘミメリテン (英: Hemimellitene) と呼ばれます。2つ目は、ベンゼン環にメチル基が1位、2位、4位に付いた1,2,4-トリメチルベンゼンで、プソイドクメン (英: Pseudocumene) とも言われます。3つ目は、ベンゼン環にメチル基が1位、3位、5位に付いた1,3,5-トリメチルベンゼンで、メシチレン (英: Mesitylene) とも呼ばれます。いずれもタール軽油の高沸点留分から得られます。

トリメチルベンゼンの使用用途

トリメチルベンゼンは、顔料、染料、医薬品、そして工業薬品の合成原料として主に使用されています。

1,2,4-トリメチルベンゼンは、ガソリン添加剤としても利用されています。また、SD溶剤 (イソドデカンとの混合物で、発泡スチロール減容化溶剤) としても知られています。

1,3,5-トリメチルベンゼンは、高沸点溶媒としても使用されます。また、エレクトロニクスの分野では、半導体ウェハー (半導体集積回路: ICチップの材料となる、半導体物質の結晶でできた円形の薄い板) の写像形成の際のエッチング液 (精密な電路を作るといった用途で用いられる加工法) として用いられています。

トリメチルベンゼンのその他情報

1. トリメチルベンゼンの性質

融点は-2~-45 ℃、沸点は165~176℃、引火点は44~53℃、比重は0.86~0.89 g/mL、常温で液体です。水には不溶ですが、アルコールやエーテル等の有機溶剤には可溶です。

1,2,3-トリメチルベンゼンは、融点は-25℃、沸点は176℃、比重は0.86 g/mL、無色ないし微かに淡黄色の液体です。特異臭があり、屈折率はn20/D 1.52です。

1,2,4-トリメチルベンゼンは、融点は-44℃、沸点は169℃、比重は0.88 g/mL、無色の可燃性液体です。刺激臭があり、屈折率はn25/D 1.50、引火点は50℃です。

1,3,5-トリメチルベンゼンは、融点は-45℃、沸点は165℃、比重は0.86g/mL、無色の可燃性液体です。刺激性が強く、屈折率はn20/D 1.50、引火点は46℃です。

2. トリメチルベンゼンの製造法

トリメチルベンゼンは、原油の蒸留・精製によって分離した灯油、軽油、ガソリン等の中に含まれます。メシチレンは、タンタル系またはニオブ系の触媒上で、アセトンの脱水および縮合により得ることができます。あるいは、硫酸中でのプロピンの三量化によっても合成されます。

3. トリメチルベンゼンの取り扱い

消防法に定める第4類引火性液体、第二石油類非水溶性液体に該当します。また、化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) に定める第1種指定化学物質に該当します。

取り扱いは容器を密閉し、涼しく換気の良い場所で施錠して保管して下さい。極めて燃えやすく、熱、火花、裸火等で容易に発火するため、着火源から離して保管しましょう。加熱により蒸気が空気と爆発性混合気体を生成する恐れがあります。また、容器が爆発する恐れもあります。防爆型の電気機器、換気装置、照明機器を使用したり、静電気放電や火花による引火を防止しましょう。燃焼により、大量の黒煙が発生します。

酸化性物質と反応するため、離して保管して下さい。容器は直射日光や火気を避けるよう注意して下さい。皮膚や眼に対して刺激があるため、保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用して下さい。そして、屋外または換気の良い区域でのみ使用しましょう。ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないよう注意して下さい。取り扱い後はよく手を洗いましょう。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0868.html

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