濁度計

濁度計とは

濁度計とは、液体試料の濁り具合を評価する計測器です。

環境モニタリングや、工業製品の製造プロセス管理に用いられます。濁度計で採用されている測定方法は、複数存在します。散乱光法、透過光法、散乱光・透過光法、積分球法、表面散乱光法、微粒子カウント法が主流です。

また、濁度計にはセンサーと指示器が一体となったポータブル式と、配管据え置き型のインライン式があります。

濁度計の使用用途

濁度計は浄水場での原水、ろ過水、排水の管理、環境モニタリング、下水処理場や、工業製品の製造プロセス管理の現場において使われています。環境モニタリングへの活用の例として、公共用水域での水質監視や、工場・事業所からの排水の維持管理に使われています。

この用途における濁度計の規格は、日本工業規格 (JISK0801) において定められています。プロセス管理における濁度計の用途としては、製品の品質を保持するためのモニタリングや、生産に用いる純水の品質管理などです。

濁度計の原理

濁度計には多くの測定方法があり、それぞれの原理が存在します。しかし、いずれの測定においても、光の散乱と透過を利用している点は同じです。

綺麗な水ほど多くの光を透過し、濁った水ほど光を散乱させて透過させない性質を利用して水の濁度を評価します。

また、濁度の標準は濁度標準液によって決められています。濁度を正しく評価のためには、測定法ごとに定められた標準液による校正が重要です。

濁度計の種類

濁度計に用いられている各種方法と原理は以下の通りです。

1. 表面散乱光法

表面散乱光法は測定する液面に光を当て、照射光の散乱の度合いから、試料に含まれる懸濁物質の濃度を求めます。表面散乱光法は液面の表面を観察するので、測定液に接する窓が不要です。

窓の汚れが評価結果に影響することがありません。また、表面散乱光法では試料を分取して測定する方法と試料に直接センサーを入れて測定する方法があります。

2. 透過光法

透過光法は試料に片側から光を照射し、透過した光の減衰から濁度を求めます。濁度によって光が遮られるという、基本的な原理を利用した方法です。

透過光法はシンプルな測定法ですが、着色液の影響や窓のよごれの影響を受けやすいため、上水用としては多く用いられるものの、環境測定用にはあまり利用されていません。

3. 散乱光・透過光法

試料に光を当て、その散乱光と透過光を測定し、比をとります。散乱光と透過光との関係は、試料中に含まれる懸濁物質の多さに比例することから濁度が求まります。

また、散乱光と透過光の比によって濁度を計算するため、電源の変動やランプの劣化による影響を受けないという長所があります。また、対応できる濁度のレンジも広いです。

4. 積分球法

積分球法は光源から照射された光をセルに入れ、全入射光 (通過した光) を積分球に取り込みます。全入射光と散乱光との比から、濁度を算出します。試料そのものの影響を受けにくい利点がある一方、メンテナンス等の面からフィールド用としては使用しにくいため、試験室内で使用することが多いです。

5. 表面散乱光法

表面散乱光法は試料の液面に光を当て、散乱光の強さから濁度を求めます。散乱光を測定するので、試料の色に影響を受けにくいですが、比較的濁度が高い試料に用います。

6. 微粒子カウント法

微粒子カウント法は半導体レーザーによって、微粒子の数を測定する方法です。比較的微粒子が少ない試料 (=濁度が低い試料) に使われます。微粒子カウント法はゼロ点校正が不要であること、濁度以外に微粒子個数濃度の測定が可能である点が長所です。

濁度計のその他情報

1. 濁度標準液と濁度単位

濁度の測定は、それぞれ濁度標準液と濁度単位が決められています。例えば、JIS K0101 工業用水試験法において定められているのは、視覚法、透過光法、散乱光法、積分球法について、カリオン標準液とカリオン度、ホルマジン標準液とホルマジン度です。濁度標準液には他に、混和ポリスチレン標準液があります。

2. 測定方法の違いによる注意点

測定方式が違う濁度計では、例え同じ濁度標準液で校正しても、同じ濁度が計測されるとは限りません。濁度標準液によって濁質の粒度分布、光学特性といった性状は異なるため、測定方式によって検出感度が違うからです。

継続した管理には、同じ測定方式と同じ種類の濁度標準液を使った評価をすることが大切です。

参考文献
http://www.kikakurui.com/k0/K0101-2017-01.html
http://www.jeta.or.jp/jeta127/pdf/kangikyou/dakudokei_201307.pdf
https://www.jemima.or.jp/tech/5-02-03.html
http://www.dentan.co.jp/technology/index.html

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