超硬リーマ

超硬リーマとは

超硬リーマとは、リーマ加工という高い精度が求められる穴加工をする際に使用する工具のことです。

通常のリーマ加工では、あらかじめドリルによって開けておいた下穴に対してリーマで仕上げ加工を行い、必要となる寸法精度や加工面の面粗度を得ます。リーマ加工した穴には、高い内径寸法が確保されたリーマボルトを用いて、締結する部品同士の位置合わせなどに使用します。また、超硬リーマは高い加工精度だけでなく、加工の速さが速いことも特徴です。

超硬リーマの使用用途

超硬リーマは、高い精度が求められる加工で使われます。具体的には、穴の内径寸法、加工した穴の面粗度、真円度です。穴内径の加工精度はH7~H9の等級、加工面の面粗さは3.2S~12.5S程度が一般的です。

これらの精度は、バニシングシーマよりも高い精度の穴を仕上げることができます。高い内径精度や粗さが小さい面粗度が求められる加工穴には、機械の本体となるケーシング部品同士の位置合わせや回転軸を支持する穴などが挙げられます。これらの穴を加工する際に必要になるのが、超硬リーマです。

超硬リーマの原理

超硬リーマは高い精度が求められる穴加工を仕上げるための工具として、高い硬度の材料が用いられています。加工工具には硬さとじん性と呼ばれる「ねばり強さ」が求められますが、両者は相反する特性です。硬度が高ければ摩耗に強く、切れ味もよくなりますが、ねばりが弱いために、ピッチングと呼ばれる工具の欠けが発生しやすくなってしまいます。

超硬リーマでは、硬い材料が使われています。具体的には、PVDコーティング、コバルトハイス、サーメット、ダイヤモンド、ハイス、粉末ハイスなどです。硬さが高い反面じん性は低いので、扱いには注意が必要です。また、超硬リーマは高い加工精度を得るために、外周溝を浅くして、高いウェブ厚を確保しています。ウェブ厚とは、工具中心から溝の底までの外径であり、工具の剛性を確保する上で必要です。

下穴を開けるドリルでは、一度に多くの材料を削るために比較的大きな外周溝が設けられます。しかし、大きな外径溝はウェブ厚を低くし、工具の剛性も下がってしまいます。超硬リーマでは、高いウェブ厚によって工具剛性を高め、良好な加工精度を得ることが可能です。

超硬リーマの種類

超硬リーマには大きく6種類の工具があります。それぞれ目的にによって使い分けられます。

1. ストレートリーマ

加工現場の中で最も使われているリーマ加工の工具です。

2. スパイラルリーマ

スパイラルリーマは、刃の部分がネジ先端のようにねじれているリーマです。刃がねじれていることによって、切削抵抗の低減と、切りくずが穴から排出しやすくなります。

3. 不等分割リーマ

不等分割リーマは、刃の間隔が等分割にされていないリーマです。刃が等分割されていないことにより、加工の際に起きてしまうびびりと呼ばれる振動の発生が抑制されるので、より精度の高い加工が行えます。特に高い真円度を得るのに適した工具です。

4. 段付リーマ

段付きリーマは、工程削減として用いられるリーマです。リーマ加工は複数の工程で行われることが一般的ですが、段付きリーマなら、複数の工程を一つの工具によって一工程として行えます。工具費の低減だけでなく、段取り時間や切削加工時間を短くすることも可能です。

5. 3枚刃リーマ

3枚刃リーマは、3枚の刃が螺旋状に連なっているリーマです。偶数刃の工具よりも、精度の良い穴あけ加工が可能です。株式会社ソリッドツールの3枚刃リーマは、下穴加工が適切に管理されれば、2μmの真円度をもつ仕上げが可能とされています。

6. ロウ付けリーマ

加工の径が大きくなると、すべてを超硬リーマで加工しようとすると加工費が多額になってしまいます。そこで加工費を抑えたいときに使われるのがロウ付けリーマです。ロウ付けリーマの母材はSCM440などですが、加工が必要な部位のみに超硬材料がロー付されています。超硬材料を減らすことによって、工具の価格を低減させることが可能です。ろう付けリーマは具体的には、φ20以上の加工穴に対して使われます。

参考文献
http://www.fptools.com/reamer.html
https://www.monotaro.com/s/c-69707/
https://www.sandvik.coromant.com/ja-jp/knowledge/reaming/pages/how-to-ream-a-hole.aspx
https://solidtool.co.jp/carbide-tool/reamer/
https://kakou-consul.com/faq/pilot-hole-processing/

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