モノエタノールアミン

モノエタノールアミンとは

モノエタノールアミンとは、アミノ基 (-NH2) とヒドロキシ基 (-OH) を分子内に1個持つ有機化合物です。

コーラミン、エチロールアミン、2-アミノエタノール、2-ヒドロキシエチルアミン、β-アミノエチルアルコール、β-オキシエチルアミンなど、様々な別名があります。

モノエタノールアミンは消防法で第4類引火性液体、第三石油類水溶性液体に指定されている他、労働安全衛生法で名称等を通知すべき有害物質に、PRTR法で第一種指定化学物質に、毒物及び劇物取締法で劇物に指定されています。

モノエタノールアミンの使用用途

モノエタノールアミンは、水・油によく溶けるため、乳化剤として広く利用されています。また、合成洗剤や金属腐食防止剤、化粧品、医薬品、農薬などにも使用可能です。さらに、モノエタノールアミンは混合ガスから、酸性ガスを吸収し、ガス洗浄する用途でも利用されています。

1. 界面活性剤

モノエタノールアミンはその構造上、親水性と親油性の両方を持つため、水と有機溶媒を均一に混合させるために乳化剤や界面活性剤として用いられます。界面活性剤の原料となっている他、石けんなどの化粧品へ乳化剤として用いられています。

2. 吸収剤

モノエタノールアミンは混合気体の中から酸性の気体を除去するのに用いられることが多いです。例えば、金属を加熱する時に発生するガスから二酸化炭素を除去する場合にモノエタノールアミン水溶液が用いられます。

モノエタノールアミンの性質

モノエタノールアミンの構造式は、HO-(CH2)2-NH2で表されます。常温常圧ではわずかにアンモニア臭を持つ無色の液体です。

アルコールとアミンの両方の性質を持っています。分子量は61.08、モノエタノールアミンの密度は1.012g/cm3、融点 は10.3°C、沸点は170°C、引火点は85℃です。20℃での粘度は24.14mPa・s、酸と反応してエステル、アミド、塩を生成します。

モノエタノールアミンのその他情報

1. 他のエタノールアミン

モノエタノールアミンは、エタノールアミンと呼ばれるエチレンオキシドアンモニアの反応生成物の1種で、他にジエタノールアミン、トリエタノールアミンがあります。これら3種類のエタノールアミンは、原料のエチレンオキシド (ethylene oxide) とアンモニアの比率の調整により、ある程度作り分けることが可能です。それぞれの特徴は以下の通りです。

ジエタノールアミン
分子内に二級アミン (-NH-) と2つのヒドロキシ基を持っています。構造式は (HO-CH2CH2)2NH、分子量は105.14です。洗剤・化粧品・ワックスなどの乳化剤や、紡績時の湿潤剤などに用いることができます。

トリエタノールアミン
分子内に三級アミン (-N=) と3つのヒドロキシ基を持っています。構造式は (HO-CH2CH2)3N、分子量は149.19です。

乳化剤や可塑剤、防錆添加剤、保湿剤などとして使用されています。縮合反応での塩基触媒として、有機合成反応に使用される他、大気中の二酸化窒素の捕集剤、分析にも利用されています。

2. モノエタノールアミンの製造方法

モノエタノールアミンは、エチレンオキシドとアンモニアの反応によって得られます。ただし、反応条件によっては、ジエタノールアミンとトリエタノールアミンも生じます。原料中のアンモニアの比率を高めることでジエタノールアミン、トリエタノールアミンの生成を抑え、モノエタノールアミンの生成率を上げることが可能です。

反応生成物を蒸留し、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンから分離して、モノエタノールアミンが得られます。

  • モノエタノールアミンの生成
    CH2CH2O + NH3 → HO-CH2CH2-NH2
  • ジエタノールアミンの生成
    2CH2CH2O + NH3 → (HO-CH2CH2)2NH
  • トリエタノールアミンの生成
    3CH2CH2O + NH3 → (HO-CH2CH2)3N

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0008.html

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