監修:フルサト工業株式会社
ターンバックルブレースとは
ターンバックルブレース (英: Turnbuckle Brace) とは、建築構造物の主要構造部に使用する筋かい材です。
地震や風などの外力に対して建物や構造物の耐力や耐久性を向上させるために使用されます。一般的に鋼材でできた長い棒状の構成であり、建物の構造体に取り付けられることが多いです。ブレースの長さを微調整できるため、建物の設計において柔軟性を持たせることが可能です。建物の振動特性や耐震性を適切に調整できるため様々な建築構造に適用することができます。また、既製の部品として販売されていることが多いです。建設現場での組み立てや取り付けが比較的迅速に行えるため、施工効率を向上させることが可能です。
ただし、正確な設計と施工が重要な部品でもあります。ブレースの長さや取り付け角度などが適切でない場合、耐震性の向上効果が期待通りに得られない可能性があります。
ターンバックルブレースの使用用途
ターンバックルブレースは、様々な建築構造物の主要構造部に使用されます。主な使用用途は下記の通りです。
1. 中小規模の鉄骨建築物
近年の地震被害を踏まえ、鉄骨造建築物において建築物全体のねばり強さを確保することが、従来にもまして重要な意味を持つことになりました。特にJIS規格の建築用ターンバックルブレースを設けた鉄骨造建築物については、建築物全体のねばり強さを確保する上で重要な要素となり、従来から中小鉄骨造建築物の耐震性の向上のため、多く使用されています。
2. 公共施設
古い学校建物などの耐震性を向上させるために、ターンバックルブレースなどで補強することがあります。これにより、歴史的価値を保ちながらも安全性を確保することが可能です。
また、病院において、機器の正常な運転や手術には振動の影響を無視できません。ターンバックルブレースは病院の建物内での振動を制御し、設備の適切な機能性を確保します。高い通信塔などでも、振動を制御しつつ倒壊や破損を防ぐために使用されます。
3. 架橋
高架橋は風の影響を受けやすい構造です。風による振動を制御し、安定性を保つために、ターンバックルブレースが使用されます。また、歩道橋や高速道路橋は風による影響を受けやすいため、ターンバックルブレースを風力補強として使用されることも多いです。
4. 歴史的建造物
歴史的建造物の一部は現代の耐震基準を満たさないことがあります。これらの建物を保護するために、ターンバックルブレースが補強手法として選ばれることも多いです。
ターンバックルブレースの原理
ターンバックルブレースは基本的には調整可能な長さを持つ鋼材で構成される補強要素です。一般的には鋼鉄で製作されることが多いです。丸鋼ボルトやターンバックル胴、留め具などで構成されます。
1. 丸鋼ボルト
丸鋼ボルトはターンバックルブレースの主要な部分で、先端に雄ねじが切ってあり、斜めに配置される棒状鋼です。建物の耐力を向上させるために、地震や風の外力に対抗する役割を果たします。
2. ターンバックル胴
ターンバックル胴はターンバックルブレースの長さを微調整するための部品です。通常は両端に雌ねじが切ってあり、丸鋼ボルトと組み合わせて使います。ターンバックル胴を締めることでターンバックルブレース全体の長さを短くし、緩めることで長くすることが可能です。
ターンバックルブレースと建物の構造体を接続するために、ボルトなどの留め具が使用されます。これらはターンバックルブレース全体の安定性を確保し、外力に対する耐久性を向上させるために重要です。
ターンバックルブレースの選び方
ターンバックルブレースを選ぶ際には、主に下記のような要因を考慮する必要があります。
1. 短期許容耐力
ターンバックルブレースは、地震や風のような短期間の外力に耐える必要があります。設計の際にはブレースバーの短期許容耐力を確認し、選定することが重要です。これにより、一時的な外力に対する安全性を確保できます。
2. 長期許容耐力
長期にわたって建物にかかる負荷や変形に耐える能力も考慮する必要があります。ブレースバーの長期許容耐力は、建物の使用寿命や安全性に影響を与える重要な要素です。
3. 引張耐力
ターンバックルブレースは主に引張応力に耐えるための設計が行われます。ブレースバーの引張耐力は外力に対抗するために必要な強度を示す要素です。選定する材料やブレースバーの断面積を決定する際に重要となります。
4. 端部形状
端部取付具の形状は、ブレースバーの取り付けと連結の安定性に影響を与えます。正確な設計と適切な留め具の使用によって、ブレースバーと構造体をしっかりと結びつけることが重要です。一般的には羽子板形状や、フック形状などが使用されます。
本記事はターンバックルブレースを製造・販売するフルサト工業株式会社様に監修を頂きました。
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