アンチモン

アンチモンとは

アンチモン (英: Antimony) とは、レアメタルの1種であり銀白色の光沢ある金属です。

アンチモンの元素記号はSbで、原子番号は51、CAS登録番号は7440-36-0です。天然に存在する鉱石から得ることができ、世界の中で中国が主な産出国となっています。

アンチモンの性質

1. 物理的特性

アンチモンの融点は630℃、沸点は1,635℃、相対密度は6.7です。一般的な金属と同じく、水や有機溶媒にはほとんど溶けませんが、王水には溶かすことができます。

2. その他の特徴

アンチモンは、下記の特徴を備えます。

  • もろいため叩いて粉末にすることができる。
  • 凝固する際に体積が増加する。
  • ・錫・鉛等と合金にすると硬さが増す。
  • 毒性があり、殺菌力がある。

これらの特徴を活用し、様々な分野で使用されています。

アンチモンの使用用途

アンチモンは、主に工業製品において半導体や電極、合金の材料、自動車やOA機器、家電製品など、様々な製品で使用されます。

1. 難燃剤

アンチモンは、主に難燃性化合物の三酸化アンチモン (SbO3) が難燃剤として使用され、ハロゲン含有ポリマー以外はハロゲン系の難燃剤と組み合わせて使用されます。三酸化アンチモンの難燃効果は、水素や酸素原子やOHラジカルと反応して、火災を抑制するハロゲン化アンチモン化合物の形成によるとされています。アンチモンの化合物は、子供服、おもちゃ、航空機、自動車のシートカバーや、軽飛行機のエンジンカバーなどのグラスファイバー複合材料のポリエステル樹脂にも添加されるなど、防燃材料をつくる用途に活用されています。

2. 合金材料

アンチモンは鉛と非常に有用な合金を形成し、その硬度と機械的強度を高めることができるので、鉛を含むほとんどの用途では、さまざまな量のアンチモンが合金金属として使用されます。例えば、鉛蓄電池の電極へ添加することでプレート強度および帯電特性を向上させる効果が得られ、電池の性能を向上させるためバッテリーにも使用されます。アンチモンは、減摩合金 (バビットメタルなど)、弾丸、電気ケーブルの被覆、活字合金、はんだ、ピューター、および低硬度の硬化合金に使用されています。

3. その他

自動車製品での使用用途を例として挙げると、エンジンブロック鋳造時の添加剤、ブレーキの減摩材、配線コードやゴム部品などにアンチモンが使用されています。その他、ポリマー製造時の安定剤や触媒、半導体材料、催吐薬などの用途もあります。

アンチモンのその他情報

1. アンチモンの製法

鉱石からのアンチモンの抽出は、鉱石の品質と組成によって異なりますが、ほとんどのアンチモンは硫化物 (スティブナイト) として採掘されます。アンチモンは、鉄で還元することにより、粗硫化アンチモンから単離することができます(Sb2S3+3Fe→2Sb+3Fe)。炭素熱還元法によって酸化物から単離することもできます (2Sb2O3+3C→4Sb+3CO2)。

2. 法規情報

アンチモンは、毒物及び劇物取締法には指定がありませんが粉末のものは消防法において「危険物第二類 金属粉」に該当します。化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) では「第1種指定化学物質 (法第2条第2項)」に、労働安全衛生法では、「名称等を表示・通知すべき危険物及び有害物」に指定されています。

3. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 容器を密栓し、乾燥した冷暗所に保管する。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 発火の恐れがあるため、高温の表面、火花、裸火との接触は避ける。
  • 火災や爆発の危険があるため、ハロゲン、過マンガン酸アルカリなどの酸化剤や金属粉末との混合は避ける。
  • 有毒ガス発生のおそれがあるため、酸との接触は避ける。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡を着用する。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。
  • 皮膚に付着した場合は、速やかに水で洗い流す。
  • 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0087.html

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