スピードレンチとは
一般的なレンチは、対象物を確実にフィットしないと滑ってしまうため、初動に時間がかかります。スピードレンチは、爪の引っ掛かりができれば、回し始めることができるため、スピードレンチと呼ばれています。
また、レンチの中でも掴む対象となる形状や大きさに幅広く対応できるレンチです。例えば四角や六角など角が付いた形状は勿論のこと、パイプの様な円筒形状、さらには一部が欠けたボルトも掴むことができます。ウォーターポンププライヤやパイプレンチに似ていますが、両者に比べてな対象物との接触面が平であり、傷をつけにくいという利点があります。
スピードレンチの使用用途
対象物を限定しない形状で、かつ初動までの時間が短いという利点があります。そのため、配管・電材関連のボルト、ナット、パイプの「脱着」によく用いられています。
ボルト数が多い場合であったり、狭くてレンチが動かせにくい場合に、迅速にフィットし動作できるため、幅広い現場で使用されています。
さらに、建設現場などで錆びて形状が歪んだボルトの取り外し、接面が欠けて本来の形状でなくなっている物を緩めることにも適用できます。
お客さん待ちのようなスピード感が求められる工場機械設備の点検・補修にも使えます。
スピードレンチの選び方
スピードレンチは、シンプルに対象物を固定できるか?を要としています。また、使用場所によって形状も選択する必要があります。
- 口開き寸法
市販のスピードレンチは、最小径7mmから40mm強までの幅のラインナップが数種類あります。規定のボルト・ナットから、太径のパイプまで対象物の太さに合わせて選択します。 - ヘッド形状
ヘッドは、爪と爪を開くための凸部分で構成されています。狭い場所での作業では、凸部分が他の装置と干渉し、レンチが回せない場合があります。メーカーによって凸部分が改善されているものもあります。また、回した反動でナチュラルに次の動作に導くタイプもあります。長時間の作業、作業頻度が高い場合は、身体負荷低減のために、活用してください。 - トルク
口開き寸法に比例して、強度が増します。口開き寸法が10mm未満だと100トルク(N・m)程度、40mmを超えると、500トルク程の強さになります。対象の寸法に合わせて選択しつつ、材質の強度によってトルクを選ぶ必要があります。