ビタミンD3

ビタミンD3とは

ビタミンD3とは、別名カルシフェロール (Calciferol) ともいい、脂溶性ビタミンの1種です。

ビタミンDにはD2~D7までありますが、生理学的にはd2 (エルゴカルシフェロール) とD3が重要とされており、この2つは同等の作用があると考えられています。どちらもカルシウムとリンの代謝に関与し、骨の健康維持に重要な働きを果たします。

キノコ等の植物性の食品に含まれているのがビタミンD2であるのに対し、脂肪の多い魚等に含まれているのがビタミンD3です。ビタミンD3は、人間の皮膚でも作ることができます。表皮に多く存在するビタミンD3の前駆体である7-デヒドロコレステロールから、紫外線 (UVB) と体温の働きによりビタミンD3が合成されます。

ビタミンD3の使用用途

ビタミンD3は、主に骨の健康維持やカルシウムの恒常性を維持するために使用されます。ビタミンD3が欠乏すると、骨軟化症 (大人ではオステオマラシア、子供ではくる病) を引き起こす可能性があることが知られています。また、ビタミンD3は、免疫機能の向上や抗酸化作用、抗がん作用など健康効果が多いです。

外国ではビタミンD欠乏症に対処するため、栄養強化の目的で食品にも使用可能です。サプリメントとして使われることもあり、くる病や骨軟化症、骨粗鬆症等を予防することが知られています。

天然型のビタミンD3はそのままの構造では体内で働けず、肝臓や腎臓によって活性型ビタミンDに代謝される必要があります。人間の体内で働くためには、ビタミンD3の血中濃度よりも代謝が重要であるり、過剰摂取の危険性は少ないです。

ビタミンD含量の高い食品には、魚や乳製品、シイタケなどのキノコ類があります。十分量のビタミンDを食物から摂ることは困難であるため、日光浴による生合成が最も効果的といわれています。日本では、夏場で30分間程度、冬場で1時間程度の日照で十分な効果が得られます。

ビタミンD3の性質

ビタミンD3は、生体活動に必須の脂溶性ビタミンであり、光合成作用により生体内で生成される栄養素です。脂溶性物質であるビタミンD3は、水には溶けにくいですが、脂肪や有機溶媒には容易に溶解します。この性質のため、体内では脂肪組織に蓄積され、長期間保管されます。

ビタミンD3は、生体内で活性体であるカルシトリオール (1,25-ジヒドロキシビタミンD3) に変換され、カルシウムとリンの代謝を調節するのが役割です。特に、腸管でのカルシウム吸収を促進し、骨の形成・維持に寄与しています。欠乏すると、カルシウム吸収が低下し、骨の脱灰を引き起こします。

一般的なビタミンD欠乏症には、くる病や骨軟化症が挙げられ、骨粗しょう症のリスクも高めることが知られています。

ビタミンD3の構造

ビタミンD3 (カルシフェロール) は、分子式C27H44Oからなる脂溶性ビタミンです。その構造は、A環、B環、C環の3つの環構造と、長い炭化水素鎖を持っているのが特徴です。

7-デヒドロコレステロールから合成され、生体内でさらに活性化されて、カルシウム代謝に関与するホルモン、カルシトリオールに変換されます。カルシフェロールからカルシトリオールへの代謝はビタミンDの活性化において重要なプロセスで、CYP2R1、CYP27B1という酵素が主に関与しています。

ビタミンD3のその他情報

ビタミンD3 の製造方法

ビタミンD3は、自然界や生体内で生成される一方で、工業的な製造法も確立されています。一般的な合成方法は以下のとおりです。

アルデヒドとヨードメチレン化合物を用いてビタミンD3の前駆体 (プレビタミンD3) を合成し、続いて熱異性化させてビタミンD3に変換します。この方法では、高純度のビタミンD3を得られます。

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