医療機器モーターとは
医療機器モーターとは、医療分野で使用される機器や装置に組み込まれるモーターのことです。
様々な医療用途に使用され、治療やモニタリングなどの目的で活用されています。非常に正確な制御が求められることが多いです。手術や診断などのプロセスで微細な動作を実現するために、高い位置決め精度と速度制御が必要です。さらに、安全規制に準拠し、誤動作や過度な負荷への対処機能を持つ必要があります。
また、医療機器はできるだけコンパクトで軽量であることが望まれます。医療機器モーターも小型で軽量な設計が求められ、装置の可搬性や操作性を向上させることが可能です。ただし、 医療機器モーターの電磁放射や電磁感受性は、他の医療機器や電子機器との干渉を最小限に抑える必要があります。EMCの基準に適合する設計とテストを行うことが重要です。
医療機器モーターの使用用途
医療機器モーターは様々な医療用途に使用されています。これらのモーターは幅広い医療プロセスで重要な役割を果たしています。以下は医療機器モーターの使用用途一例です。
1. 画像診断
MRI (磁気共鳴画像診断装置) は磁場とラジオ波を使用して内部組織の詳細な画像を生成する診断装置です。患者がテーブルに横たわり、モーターがテーブルを制御して正確な位置に移動させ、異なる角度や断面の画像を取得します。
また、CT (コンピュータ断層撮影) はX線とコンピュータ処理を使用して断層画像を生成する装置です。モーターは患者の体を正確な位置に移動させ、複数の断面画像を取得する際に使用されます。
2. 手術支援
ロボティック手術は外科医が手術器具をコントロールする際に使用されます。モーターがロボットアームや手術器具の動きを制御し、外科医の指示に応じて精密な操作が可能です。
3. ポンプ
心臓補助装置や人工心臓はモーターが血液を輸送し、心臓の機能を一時的に補完して患者の生命維持に貢献します。また、手術中や処置中に、血液や体液を効率的に吸引するためのポンプモーターが使用されます。清潔な環境を保ちつつ手術を行うために重要です。
医療機器モーターの原理
医療機器モーターは一般的に電動モーターの原理を基に動作します。電動モーターは電力を機械的な回転運動に変換する装置です。動作電源の違いから、ACモーターとDCモーターに分類できます。
DCモーターは直流電源を使用して電流の方向を変えることで回転運動を発生させるモーターです。簡単な制御が可能で、位置制御に適しています。また、直流電源で動作するため、バッテリーや電池などを使用して直接動作させることもできます。
ACモーターは交流電源を使用して電流の向きを定期的に変えることで回転運動を生み出すモーターです。分解能の高い回転運動が可能です。回転速度や位置制御を実現するためには、インバータなどの制御機器が必要となります。
精密な動作が必要な場合は、ステッピングモーターやサーボモーターがが使用されます。ステッピングモーターは正確な位置制御ができるモーターで、特定の角度ずつ (ステップ) 回転します。サーボモーターは自身の回転角をフィードバックする制御装置が組み込まれたモーターです。
医療機器モーターの選び方
医療機器モーターを選ぶ際には、使用用途や性能要件に合わせて慎重に選択することが重要です。以下は医療機器モーターの選定要素一例です。
1. 使用用途
使用用途に応じて、必要な制御精度や動作速度が異なります。例えば、手術支援や画像診断装置などの高精度な用途では位置制御が重要です。ステッピングモーターなどの位置制御が得意なモーター技術を選択します。
2. 定格出力と定格トルク
医療機器の動作に必要な出力やトルクは、モーターの選択に大きな影響を与えます。動作する部品の重量や負荷を考慮し、十分な出力とトルクを持つモーターを選ぶことが重要です。また、過大なトルクを発生させると人体を傷つける危険性があるため、注意が必要です。
3. 使用電圧
医療機器は通常特定の電源電圧範囲で動作する必要があります。使用する電源の電圧範囲に合ったモーターを選ぶことが重要です。また、バッテリー駆動の場合は省電力モーターを検討します。
4. 環境制約
医療環境は清潔で静かであることが求められることが多いです。モーターの騒音レベルや振動を最小限に抑えるため、静音性に優れたモータータイプを選択する必要があります。