コンクリートバイブレーター

コンクリートバイブレーターとは

コンクリートバイブレーターとは、まだ固まっていないコンクリート (レディーミクストコンクリート、生コン) を締め固める建設機械です。

コンクリートは、型枠に流し込んだ後に振動を加えることで、コンクリートの流動性がよくなり、密度が高くなります。この作用により打設時に混入した空気を除去し、かつ骨材を均等に分布させることができます。

昔はコンクリートバイブレーターのような機械がなかったため、型枠を木槌などで叩いたり、竹の棒でコンクリートを何度も突き刺していました。そのため、生コンを打込むことを「打設」と呼ぶようになったと言われています。

コンクリートバイブレーターは年々進化しており、電源ケーブルを引回さずに作業ができるコードレスタイプや、電源のON/OFFを自動で行うシステムを搭載したタイプなど、軽量で便利な製品も開発されています。

コンクリートバイブレーターの使用用途

コンクリートバイブレーターは、主に建設現場やコンクリート製品の製造過程で使用されます。

具体的な使用例は下記のとおりです。

  • ビルや橋梁など、コンクリート構造物の打設
  • 住宅の基礎や擁壁などのコンクリート打設
  • 側溝や擁壁などのコンクリート二次製品の製造
  • コンクリート舗装の締固め
  • テストピースの製造

コンクリートの強度や品質の向上を目的に、多くの場所で使用されています。

コンクリートバイブレーターの原理

一般的なコンクリートバイブレーターは、モーターが内臓された本体と先端にある振動部、フレキシブルシャフトや電棒などで構成されています。様々な形や大きさの振動部により、打設されたコンクリートに振動を伝えることで、コンクリートの材料を均一化し密度を確保します。

振動の仕組みは大きく分けて2種類あり、コンクリート内部へ直接差し込み振動を伝える「内部振動方式」と外側から間接的に振動を伝える「型枠振動方式」です。コンクリートバイブレーターは「内部振動方式」に該当し、多くの現場で使用されています。

コンクリートの締固めは、適切に行うことで良質なコンクリートに仕上がります。振動を与えすぎると材料と水分が分離してしまう「ブリーディング」をおこし、締固めが不十分だと表面が凸凹になる「ジャンカ」の原因になります。これらは、見栄えが悪くなるだけでなく、コンクリートの強度不足の問題が生じるため、施工する際は注意が必要です。

コンクリートバイブレーターの選び方

コンクリートバイブレーターは製品により、電源方式や振動部の形状、振動部直径などが異なるため、それぞれの特徴を把握し、使用目的に合ったものを購入することが大事です。

1. 電源方式

AC電源方式と充電方式があります。電源が確保可能で、かつケーブルの取り回しに支障がない施工現場ではAC電源方式を使用します。電源の確保が困難な施工現場では充電式を用いると良いです。

なお、充電式は14.4V、18V、36Vがあり、電圧が高いほど強い振動が得られますが、重量が重くなる傾向があります。

2. 振動部の形状

コンクリートバイブレーターは、下記の4つのタイプに分類されます。それぞれ振動部の形状が異なるため、用途に応じ適切なタイプを選ぶことが大切です。

フレキシブル型
ホース部分が自在に曲がることから、電棒型が使用できない場所でも使用できます。過密配筋現場や壁・梁などの狭い隙間などの締固めで使用されます。

電棒型
振動部が棒の形をしたバイブレーターで、軟性はありませんが振動が少ないのが特徴です。鉄筋の多い立ち上がり部分や工場におけるコンクリート加工などで使用されます。

ヘラ型
振動部の形状がヘラの形になっているタイプです。U字溝や集水桝などの薄物コンクリート製品の製造で使用されます。

パンチ型
気泡が抜けにくい傾斜面の気泡抜きや、狭い型枠のコンクリート製品などの表面仕上げで使用されるバイブレーターです。また、護岸ブロックや根固めブロックなど、大型の製品の製造にも使用されます。

3. 振動部の直径

コンクリートバイブレータの振動部直径は、作業効率に関わる大きな要素です。振動が有効とされる範囲は振動部直径の10倍程度と考えられており、直径が大きいほど有効範囲が広くなり、締固めの回数が少なくなります。作業目的にあった大きさの製品を使用することで、作業効率が向上し作業時間短縮につながります。

コンクリートバイブレーターのその他情報

使用上の注意点

コンクリートバイブレーターを、使用する時は以下の点に注意します。

  • 等間隔に垂直に差し込みます。
  • 振動をかける時間は15〜20秒程度とします。それ以上かけると材料分離を引き起こす可能性があります。
  • 鉄筋コンクリート造の場合は、バイブレーターを内部の鉄筋に接触させないように作業します。
  • コンクリートバイブレーターを差し込んだままの状態で、電源を切らないようにします。
  • 振動工具であることから、適度に休憩を挟む、もしくは防振手袋を使用します。

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