トグルクランプとは
トグルクランプとは、作業台などに設置し、小さな力をてこの原理とトグル機構のメカニズムを使って増幅し、大きな力で材料を固定できるクランプです。
クランプは、締め具などとも呼ばれる、材料を作業台などに固定する工具を指します。トグルクランプは材料を固定するという機能はシンプルですが、種類が豊富にあります。
使い方を工夫すれば、様々な加工作業において使用することが可能です。また、作業効率アップや安全面でも重要な役割があります。
トグルクランプの使用用途
トグルクランプは、一般のDIYから専門的な現場まで幅広く使用されます。特に木工制作等の現場で、加工作業を安全かつ正確に行うための重要な工具です。
トグルクランプは、治具の一部として使用される場合がほとんどで、加工する材料を固定するために使用されます。クランプは通常、単体で使用することができますが、トグルクランプは必ず本体を作業台や治具等にビスで固定して使用します。
例えば、木材などの切断や切削加工をする際、治具にトグルクランプを設置し、加工する材料を固定します。治具を使用することによって、テーブルカッターやルーターテーブルの刃と手の距離を十分に保てるようになるため、手持ちで作業するよりも安全で精度の高い加工が可能です。
トグルクランプの原理
トグルクランプは、ハンドルとヘッドがあり、ハンドルを操作すると、ヘッドが動き、加工する材料を押さえ、固定する仕組みになっています。トグルクランプは、トグル機構という倍力構造を利用して材料を固定します。倍力機構とは、てこや滑車のように、モーメント (力 x 距離) がつりあうことを応用し、小さな力で大きな力の作用を得られる機構のことです。
トグルクランプの種類
1. 下方押え型トグルクランプ
ヘッド部分を下方へ押し付けることによって、加工する材料を固定します。固定する時にハンドルを下へ倒すタイプ、上に立てるタイプとあります。作業するときのスペースや手の置き場所を考慮して選択します。
2. 横押し型トグルクランプ
ヘッド部分を前方へ押し出して、加工する材料を固定します。材料を挟んでクランプと反対側に固定されたストッパーに押し付けて固定します。ハンドルを立てて固定するタイプ、倒して固定するタイプがあります。
3. 引張り型トグルクランプ
フック型とも呼ばれる引張り型タイプは、ヘッド部分が鍵状になっており、U型のフックに引っかけて固定します。ヘッド部分がU型になっているものもあります。
4. 空圧クランプ (エアークランプ)
トグル機構に空圧シリンダを組み合わせたクランプです。締圧力が高いので、船や自動車などの大きなものを加工するとき使われます。
トグルクランプの選び方
トグルクランプは、組立治具、加工治具に材料を固定する作業、特に同様の材料に対して同じ作業を繰り返す場合に適したクランプです。種類や形状、締圧力などを確認して作業にあったものを選ぶことが重要です。
1. 種類
トグルクランプには、上から材料を押さえて固定する下方押え型、シャフトの出し入れで材料を横から押さえる横押し型、材料をクランプ側に引っ張ることで固定する引張り型など、さまざまな種類があります。作業状況に適したタイプを選択します。
2. 形状
ハンドルの位置についても、ロック時にハンドルが立っているハンドル立型、ロック時に横になっているハンドル横型があります。配置するスペースや手の置き場所などを考慮します。また、大きな形状のものは大きな加圧力がかかります。
3. 締圧力
トグルクランプは、締圧力(クランプ力)が20Nの小さいものから5,000N程度のものまであります。重荷重タイプになると、空圧式で10,000Nを超えるものもあります。締圧力の大きい方が材料を押さえる力が高くなりますが、一般的な木工では20〜100N程度の締圧力のものがよく使われます。
トグルクランプを選ぶときは、カタログに記載されている締圧力の値を確認することが重要です。
4. アーム・ストローク
下方押さえ型の場合は、ヘッドがついたアームの長さ、横押し型の場合はストロークの長さが作業に適したものを選びます。
5. 材質
スチールやステンレス、アルミなどの材質があります。固定する材料の大きさや重さに適した強度の材質を選びます。