トルクスドライバーとは
トルクスドライバー (英: Torx Screwdriver) とは、トルクスネジ対応の専用ドライバーです。
トルクスとは、ねじ頭に六角星型の溝が加工されたねじで、1967年にアメリカのテキストロン・カムカー社が開発したねじの規格です。現在はアメリカの登録商標となっています。
トルクスという名称は一般には使用できないことから、国際規格のISO10664においてはヘクサロビュラ・インターナル (英: hexalobular internal) と規定されています。一般的な名称としてはヘックスローブやヘクスローブと呼ばれることもあります。
トルクスドライバーの一般名称は、スタードライバーやスタースクリュードライバー (英: Star Screwdriver) と呼ばれています。
トルクスドライバーの原理
トルクスドライバーの原理としては、トルクの伝達効率が良いトルクスの形状にあります。
一般的な十字や六角溝の場合は溝の形状が直線的になっており、工具でトルクをかける際は溝と工具の間にガタがあるため、点接触でトルクをかけます。トルクスの場合は、溝の形状が曲線で構成されているため面接触となりトルクの伝達がしやすいです。
トルクの伝達効率以外にもトルクスのメリットは以下のようなものがあります。
- 締め付け時に工具が溝から抜けにくい
- 面接触なため摩耗や割れ/欠けに強く耐久性がある
- 六角星型によるデザイン性がある
トルクスドライバーの使用用途
トルクスねじは、ねじ頭の溝が六角星型をしているため、トルクスドライバーとねじとの噛み合いが強く、力を効率よく伝達できます。ヨーロッパではプラスネジよりトルクスねじが主流になりつつあり、ヨーロッパ製の自動車やバイクなどに数多く採用されています。
数年前まではトルクスねじは日本において普及していなかったため、トルクスドライバーの使用者も少なく分解防止などの用途で使用されていました。しかし近年では、トルクスドライバーの販売数も増えて一般に普及しており、その効果はほとんどなくなっています。
また、「いじり止めトルクスドライバー」のように、トルクス溝の中央に突起を設けてあり、専用工具以外では分解できないようになっているものもあります。
トルクスドライバーの選び方
トルクスドライバーは、ねじサイズやねじ形状、グリップ形状および軸材質などを、使用目的などに応じて選定します。
1. ねじサイズ
トルクスドライバー先端六角星型溝のサイズは、一般的にT4からT40まであり、Tの後の数字が大きいほど大きいねじ頭用となります。
トルクスドライバーは、トルクスねじと同じサイズのものを使用する必要があり、サイズ違いのトルクスドライバーを使用するとトルクスねじが損傷してしまうため注意が必要です。
2. ねじ形状
トルクスねじ形状には複数あり、専用のトルクスドライバーを使用します。
- セキュリティートルクス (英: Torx TR)
いたずら防止 (英: Tamper-Resistant) のための溝の中心に突起が付いています。 - トルクスプラス (英: Torx Plus)
普通のトルクスに対して溝角部が丸い形状になっていて、より強いトルク・耐消耗性を備えています。 - トルクスTS (英: Torx TS)
上記のトルクスプラスにいたずら防止機能を追加したものです。
3. グリップ形状
一般的なドライバーと同じで、太さ・長さや、くぼみ付き、T型グリップなど様々な形状のものがあります。用途に応じて力の加えやすさや作業性などで選定します。
4. 軸材質
トルクスドライバーの軸材質は、鉄・ステンレス鋼・クロムバナジウム鋼などが使用されています。一般のドライバーと同じ基準で、トルクスねじ材質やねじサイズに合った選定が必要です。