シート成形とは
シート成形とは、プラスチックや金属などのシート状の素材を、加熱・加圧して特定の形状に成形する製造技術です。
工業製品や日用品、包装材料などの製造に広く利用され、比較的低コストで製品を大量生産できます。シート状の素材を使用することで、素材のコストを削減できる上に高度な自動化も可能です。
また、複雑な形状やデザインの製品を容易に製造することも可能です。型を変更するだけで異なる形状の製品を作ることができます。プラスチックシートを使用した成形では軽量でありながら十分な強度を持つ製品を作ることが可能で、輸送コスト削減やエネルギー効率向上を実現します。
ただし、シート成形に使用される素材は限られており、選択した素材によっては製品の性能や耐久性に影響を与えることがあります。また、素材の厚みも均一でなければなりません。均一でない場合は成形された製品の品質が低下する原因となるため注意が必要です。
シート成形の使用用途
シート成形はさまざまな産業製品を製造するために使用される技術です。
1. 食品業界
食品に使用されるトレイは肉や野菜などの包装に利用されます。衝撃を吸収する特性があり、輸送中に製品を保護する役割を果たします。また、飲料やスープなどの容器として使用されるカップは、一回性の使い捨て品から再利用可能な製品まで、さまざまな用途に有利です。
ペットボトルの製造などにもシート成形が使用される場合があります。飲料や洗剤などの容器として使用されるボトルは形状の自由度が高く、商品のブランドイメージを反映させることが可能です。
2. 自動車
シート成形は自動車の内装部品の製造に広く使用されます。ドアパネルやシートカバー、中央コンソールなどが含まれます。内装部品には外観の美しさだけでなく、耐久性や耐摩耗性、耐候性が求められることが多いです。
3. 化粧品
化粧品などの容器は、シート成形で製造されることがあります。軽量で割れにくい素材が好まれる傾向です。また、化粧品の場合はブランドのイメージを反映させるデザイン性と機能性が求められます。シート成形は複雑な形状のパッケージを作製する際に有用です。
シート成形の原理
シート成形の原理は、加熱されたシート状の素材を特定の形状に成形することです。一般的にはプラスチックや金属のシートが使用されますが、他の素材も使用することがあります。
まず、成形する素材を選択し、必要なサイズにカットします。シートは事前に加熱し、柔軟性を持たせることが重要です。その後、成形したい製品の形状に合った型を準備し、製品の形状を決定します。
加熱されて柔軟性が増したシートは、型の上に配置させます。プラスチックの場合は加熱によりシートを融解させる場合も多いです。加熱されたシートはプレス機や真空成形機を使用して型に適切に押し付けます。
成形されたシートは型の形状を保持しながら冷却されます。冷却によってプラスチックは再び硬化し、金属は元の硬さを取り戻す仕組みです。成形が完了したら製品を型から取り出し、必要に応じて余分な部分が切り取ります。
シート成形の種類
シート成形にはいくつかの種類が存在します。
1. 熱成形
シート状のプラスチックを加熱し、柔軟な状態にした後に型に押し付けて所望の形状に成形する方法です。冷却して硬化させると目的の製品が得られます。カップ、トレイ、容器などの製造に使用されます。
2. 圧力成形
熱成形と同様にシート状のプラスチックを使用しますが、加圧してプラスチックを型に押し付ける方法です。これにより、複雑な形状やより深い凹みを持つ製品を作製することが可能です。 複雑な形状の外装部品など、より高度な成形が必要な製品の製造に使用されます。
3. ブロー成形
熱融解したプラスチックを空気圧で膨張させて型に押し付けることで成形する方法です。一般的に中空の形状を持つ製品を作製するために使用されます。ペットボトルなどがブロー成形で作られています。
4. 深絞り成形
金属シートを使用して、深い凹みを持つ形状を作り出すシート成形の手法です。主に金属製の部品や容器を製造するために用いられます。自動車の車体部品やキッチン用品 (鍋やフライパンなど) を製造する際に使用されます。