渦巻ばね

渦巻ばねとは

渦巻きばね

渦巻ばね (英:spiral spring) とは、帯状の素材を渦巻状に巻いてその復元力を利用するばねです。

渦巻ばねには弾性の高い素材を使用することが多く、端を引っ張ることで元に戻ろうとする力が働きます。これが動力源です。渦巻ばねの形が山菜の新芽に似ていることから、ぜんまいばねとも呼ばれます。

渦巻ばねの帯の太さが細いほどばねの力は柔らかくなり、太くなればなるほどばねの力は強くなります。しかしその一方で引張るときの抵抗も増えるので、使用する際はバランスが重要です。

渦巻ばねの使用用途

渦巻ばねは、鋼帯を渦巻状に巻いたばねです。このようなばねは、普段の生活ではあまり目にすることがないように感じますが、アイロンや掃除機などのコード巻取り機能などに使用されます。コードを引張ると自動的に器具の中にコードが収納される部分に渦巻ばねが使用されます。

渦巻ばねは総じて、その他のばねより省スペースで使用でき、大きな力を蓄えることができるので、大規模な装置の場合や、ばね部を目立たせたくないときに多く選定されます。

この他具体的な用途は、時計のぜんまい、オルゴール、自動車のシートベルト、自動車の窓のバランサ、チェーンソーなどのエンジンスタートロープの巻取り、メジャーの巻取り、おもちゃの動力源などです。また、メトロノーム、イヤホンコードの巻取り、スライド式のドア、自動車のシートリクライニング、各種メーター、エンジンの可変バルブタイミング機構などにも使用されます。

渦巻ばねの原理

1. 接触型渦巻ばね

渦巻ばねの種類の1つは、接触型渦巻ばねと呼ばれ、渦巻状に巻かれた帯状の板がこすれあうような構造が特徴です。巻き数が多いため、回転数の多い用途に使用されます。別名ぜんまいばねとも呼ばれ、「S字型ぜんまい」、「定トルクぜんまい」、「定荷重ぜんまい」などに分類されます。

接触型は、帯状の板同士が接触することで摩擦が起こり、同時にエネルギーも失われまが、トルクは安定しています。使用する材料は、焼入れ鋼帯、平硬鋼線、ステンレス鋼帯などです。一般の巻取りに多く使用されるタイプです。

2. 非接触型渦巻ばね

もう1つは、非接触型渦巻ばねと呼ばれ、帯状の板同士が擦れない構造です。非接触になるように帯状の素材を巻き付ける必要があるため、接触型渦巻ばねに比べて作成するのが難しくコストも高くなります。引張った後に元に戻ろうとする力が均一になりやすいメリットがあります。

非接触型は、エネルギーの摩擦損失が無いのが長所です。トルクは直線状に変化しますが、巻き数が少ないため、回転数の少ない用途用です。ばねの材料は、ステンレス鋼帯が多く使われます。リクライニングシートやモーター用ブラシスプリングなどの用途です。

渦巻ばねの種類

接触型渦巻ばねは、15世紀のヨーロッパでぜんまい式時計に使われ始めたのが最初です。S字型ぜんまい、定トルクぜんまい、定荷重ぜんまいなどに分けられます。

1. S字型ぜんまい

S字型ぜんまいは、1次巻き工程の後、2次巻き工程で逆方向に巻いて製造します。ケースに納めた状態で使用しますが、ケースから出して自由にするとS字状になるため、S字ぜんまいと呼ばれます。

隣接コイルは互いに接触し、エネルギーの摩擦損失が発生しますが、逆に巻いてあるので張力がばね全体に均一に作用し、滑らかに巻き戻ります。摩擦損失の減少によりトルクが強くなります。摩擦損失が大きくなりがちな薄くて長いぜんまい用です。

ぜんまいに使用する材料は、テンレス鋼帯が主です。腕時計、引戸用ドアクローザー、落下防止用バランサー、シートベルトなどに使用されます。

2. 定トルクぜんまい

定トルクぜんまいは、全長を一定の曲率で密着して巻かれたばねです。定トルクばね、定出力ばね、定張力ばねとも呼ばれます。貯蔵軸に巻き付けられたばねの先端をS字状に出力軸の方へ巻き付けるとトルクが発生します。出力トルクは回転数に関係なくほぼ一定です。自動車のカップホルダーの開閉機構やダッシュボードの開閉機構などに使用されます。

3. 定荷重ぜんまい

定荷重ぜんまいは、一定の曲率で密着して巻かれたばねを引き出すときの戻す荷重を利用するばねです。荷重は引き出した長さに関係なくほぼ一定です。エアツールの吊り上げ用バランサーや機材昇降用バランサーなどの用途があります。

参考文献
https://www.nhkspg.co.jp/spgisland/01sm/uzumaki.html

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