酸素発生装置

酸素発生装置とは

酸素発生装置のイメージ

図1. 酸素発生装置のイメージ

酸素発生装置とは、空気を原料とし、窒素ガスなどの混合物を取り除く方法で高純度の酸素ガスを取り出す装置です。

空気中の混合物を取り除く方法では、吸着剤を利用するなどの方法が用いられています。液体酸素と比べて安価で多量の酸素が供給可能で、工業利用も広く進んでいます。

また、高圧ボンベを使用しないため、小型の酸素発生装置であれば特に場所の制限はありません。 

酸素発生装置の使用用途

酸素発生装置は、高純度で多量の酸素ガスを使用したい場合に用いられます。各種工業や産業で幅広く使用されている他、在宅酸素療法などの医療用でも用いられます。

1. 工業用

酸素発生装置は、各種工業において酸素を必要とする現場でで幅広く使用されている装置です。具体的な用途例は、以下の通りです。

  • 各種炉の酸素吹込用 (製鋼用電気炉、銅・亜鉛・アルミなどの非鉄金属溶解や、ガラス製造など)
  • 酸素漂白、酸素原料オゾン漂白などの製紙工業
  • 酸素ばっ気、酸素原料オゾン発生などの排水処理設備、酸素活性汚泥法排水処理や水処理プラント
  • 化学工業における各種酸化反応用途
  • 魚介類養殖用途

この他、発酵工業などでも用いられています。また、小型の酸素発生装置も製造されており、酸素ガスを必要とする燃焼装置、金属加工、バイオ関連、空調機器などに使用されています。

2. 医療・健康

酸素発生装置は、医療用途では主に呼吸器疾患や循環器疾患などの患者が自宅や外出先で酸素を吸入する目的で用いられています (在宅酸素療法) 。近年増えている酸素発生装置の利用目的の1つは、健康増進用途です。

このような健康増進目的の製品は、家庭用健康機器として販売されている他、スポーツジムや公共施設をはじめ接骨院・整骨院へ設置されています。

酸素発生装置の原理

1. PSA方式

PSA方式の模式図

図1. PSA方式の模式図

PSA (Pressure Swing Adsorption) 方式とは、圧力スイング吸着式もしくは吸着式とも呼ばれる方法です。加圧、減圧を繰り返しながら吸着剤を用いて空気中の窒素を吸着して酸素を濃縮します。酸素97%程度まで濃縮が可能です。

吸着剤としては、モレキュラシーブ (合成ゼオライト) のような多孔質物質が用いられます。モレキュラシーブはアルミノケイ酸塩の結晶性材料で、結晶中に細孔を持ち、透過分子に応じて吸着特性が変化する物質です。

合成ゼオライトはある一定量の窒素を吸着すると、窒素を吸着出来なくなるため、PSA方式では大気圧への減圧で吸着した窒素を脱着し、再び窒素を吸着出来るように再生します。具体的には、吸着塔 (吸着槽) を2塔 (2槽) で構成し、1塔で吸着が行われている間に他方を減圧下におくことでゼオライトの再生を行う仕組みです。

また、一定時間が経過すると塔が切り換わるようになっています。原料の空気は空気圧縮機やブロワーを用いて、吸着槽へと輸送されます。

2. その他

PSA方式の他にも、ゼオライトの再生の際に真空ポンプを使用して吸着塔内を大気圧よりもさらに減圧するPVSA方式や、酸素富化膜式などがあります。酸素富化膜とは、空気を通すと窒素より酸素が多く透過する特徴を持ち、酸素と窒素を分離する膜です。

酸素発生装置の種類

医療用酸素発生装置のイメージ

図3. 医療用酸素発生装置のイメージ

工業用では非常に大きな吸着塔を備えた超大型のものから、卓上型のものまで非常に多くの種類があります。卓上型は主に研究室や小規模生産ラインのガス供給用に使用されている製品です。

医療用の製品は、在宅酸素療法の目的で用いられることが多いため、家庭で使用することを想定した小型の製品が主流です。居室への設置を想定した据え置き型の他、外出時にも使用可能なポータブル型の製品もあります。

流量設定や酸素濃度などは製品によって異なる場合があるため、使用者に合わせて選択することが必要です。

参考文献
https://www.sdk-kk.co.jp/prd/gas/O2.html
https://www.veolia.jp/sites/g/files/dvc2651/files/document/2016/03/467813PSA.pdf
https://shinko-airtech.com/equip_o2.html#composition

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