レーザービームプリンターとは
レーザービームプリンターとは、印刷工程のうち「露光」と呼ばれる工程にレーザービームを用いたプリンターです。
プリンターの印刷方式には大きく分けて上記のレーザービームを利用するタイプとインクをノズルで吹き付けて印刷を行うタイプの2種類があります。レーザービーム方式を採用した製品は後者の製品と比べて購入時のコストが高い反面、印刷スピードが速く大量印刷が可能です。
家庭用プリンターではレーザービームプリンターではなくインクを用いる方式の製品が主流です。
レーザービームプリンターの使用用途
レーザービームプリンターは印刷スピードが速いです。そのため企業のオフィスなど、大量に印刷物を用意する場所で使われています。テキストや図表を鮮明に印刷でき印字が劣化しにくいため、配布用のプレゼン資料など、読みにくいと問題になる場合に適しています。
レーザービームプリンターの原理
レーザービームプリンターでの印刷は、帯電、露光、現像、転写、定着の5つの工程で構成されます。静電気とレーザービームを利用し、ドラムを経由して印刷用紙の任意の位置にトナーを移動させます。
1. 帯電
レーザービームプリンターによる印刷ではトナーと呼ばれる粉がインクの役割を果たします。ドラムに静電気を付与してトナーをドラムに移すために準備をします。
2. 露光
静電気を帯びているドラムにレーザービームを当てます。テキストや図表を形成するトナーを移したい部分だけにレーザービームが当てられます。
3. 現像
ドラムのうち露光工程でレーザービームを当てた部分は電圧が低下します。現像工程で帯電状態のトナーを露光後のドラムに接触させると電圧が低い部分だけにトナーを移動可能です。
4. 転写
転写用のローラーを印刷用紙の裏側に当てます。ローラーを用いて印刷用紙にドラムと逆の電荷を付与するとトナーを印刷用紙に引き寄せます。
5. 定着
転写工程ではトナーを移すだけで、まだ印刷用紙上には固定されていません。最後の仕上げとして圧力や熱による処理を施して印刷用紙からトナーが離れないように定着させます。
レーザービームプリンターの構造
レーザービームプリンターは作像部と用紙搬送部に分けられます。各部の構成は下記の通りです。
- 作像部
現像剤、トナー、キャリア、感光体 - 用紙搬送部
給紙部、レジスト部、転写部、分離部、搬送部、定着部、排紙部
1. 作像部
- 現像剤: 感光体上の潜像を可視化する材料です。一般的にはトナーやキャリアで構成されています。
- トナー: プラスチック粒子に色粒子を付着させた電気性質を有する微粒子です。
- キャリア: エポキシ樹脂で磁性体をコーティングした微粒子です。
- 感光体: 明るい場所では導体、暗い場所では絶縁体の性質を持ちます。
2. 用紙搬送部
- 給紙部: 転写紙を一枚ずつ内部に用紙トレイから送ります。
- レジスト部: 画像と用紙の先端を合わせるため、転写紙を一度停止してタイミングを合わせます。
- 転写部: 感光体上の鏡像を転写紙に移します。
- 分離部: 吸着した転写紙を引きはがします。
- 搬送部: 転写後の用紙を定着部に運びます。
- 定着部: 熱や圧力でトナーの樹脂成分を溶着させて定着させます。
- 排紙部: 分離爪によって定着後の用紙が定着ローラーに巻き付くのを防ぎ、排紙トレイに導きます。
レーザービームプリンターの種類
レーザービームプリンターはモノクロ機とカラー機に分類可能です。
1. モノクロ機
黒トナーだけで印刷するプリンターです。
2. カラー機
一般的に色料の三原色と黒の4色のトナーを使用し、フルカラー印刷が可能です。ロータリー現像方式とタンデム現像方式があります。
ロータリー現像方式は利用するトナー色の数だけ現像部を用いて一つの感光体で済ませる方法で、少量印刷向けです。タンデム現像方式はモノクロ機の作像部全体を色数分持ち、トナーの数だけ感光体を使うため、大量印刷向けです。
参考文献
https://www.brother.co.jp/product/printer/home/magazine/kiji231/index.aspx
https://support.brother.co.jp/j/s/support/html/hl5340d_50dn_jp/ug/html/ug/11-02.html
https://annex.jsap.or.jp/photonics/kogaku/public/38-02-kougakukoubou.pdf