報知器とは
報知器とは、人に代わって常時周囲の状況を監視するためのセンサーと、感知した危険を周囲に知らせるための伝達手段を持った機器です。
火災報知器は一般的によく知られていますが、他にも煙感知器、熱感知器、ガス漏れ感知器、水漏れ感知器、地震感知器などが報知器として知られています。これらの報知器は、異常を感知したら速やかにそれを周囲の人達に知らせ、人や財産に被害が及ぶのを未然に防いだり、最小限に抑えることに役立っています。
また、電源の異常を監視する報知器は、停電や瞬停と言われる瞬間的な停電、それに電圧降下などの、電力供給の異常が発生した際にそれを感知してアラームを鳴らしたり、発光したりして周囲に知らせます。
電源の異常を監視する報知器は、工場や倉庫などで監視対象の機械・設備が使用するコンセントと同じコンセントを使用します。コンセントに供給されている電源に異常が発生するとそれを察知して、内蔵バッテリーから供給される電気を使用して異常が発生したことを周囲にいる人達や設備管理担当者に知らせます。機器によっては、登録先のアドレス宛にメールを発信したり、登録された番号の電話を鳴らす機能を持っているものもあります。
ここでは、電源の異常を監視する報知器について説明します。
報知器の使用用途
電源の異常を監視する報知器の使用用途としてまず挙げられるのが、産業用機器や医療機器などの保護です。産業用機器や医療機器などの重要な機器は、電源が安定していることが必要です。報知器を使用することで、停電や電源の異常が発生した場合にすぐに対処することができます。これにより、機器の故障やデータの損失を防ぐことができます。
次にサーバルームやデータセンターなどの情報通信機器の保護が挙げられます。サーバルームやデータセンターは、重要なデータを保管するために必要な場所であり、停電や電源の異常が発生すると大きな被害になることがあります。
現在ではUPSのような補助電源を完備している施設が多いですが、報知器を使用することで、電源の異常を素早く知り、次の対処が可能になります。
防災対策にも電源の異常を監視する報知器を使用することができます。地震や自然災害が発生した場合に、停電や電源の異常が発生することがあります。報知器を使用することで、異常を早期に検知し、避難するための時間を確保することができます。
報知器の原理
報知器は監視する対象の違いによって検出原理が異なります。ここでは電源の異常を監視する報知器について説明します。
報知器は、電源が安定していないときに警告を発する装置であり、主に電圧の異常を検知するために使用されます。以下は、一般的な報知器の原理についての説明です。
報知器は一般的にはAC電源を直流に変換し、その後直流電圧を分圧して、検出回路に供給します。検出回路には、比較回路があり、基準となる電圧を設定することができます。基準電圧を超える電圧が検出されると、比較回路はトリガーされ、出力が切り替わります。この出力信号をアラーム回路に送り、アラーム音を発生させることができます。
また、一部の報知器には、AC電源の周波数を測定する機能があります。周波数が基準値から外れた場合にも、アラームを発生させることができます。
検出感度は基準電圧や基準周波数の設定によって調整することができます。検出感度を高く設定すれば、より小さな電圧の変化や周波数の変化も検出することができますが、誤検知が発生しやすくなります。逆に、検出感度を低く設定すれば、誤検知は減りますが、異常の検知に時間がかかる可能性があります。
報知器の選び方
電源の異常を監視する報知器を選択する際には、電源の種類、監視対象とする異常事態、警報の伝え方、報知器の設置条件などを考慮して選びます。
監視する電源の種類によってAC電源用、DC電源用、バッテリー電源用などと異なります。国内の家庭用電源でも100Vや200Vの電圧があり、周波数も場所によって50Hzと60Hzに分かれています。海外ではさらに異なる仕様で電気が供給されています。使用する場所の電源の種類に応じて、適切な報知器を選ぶ必要があります。
報知器は、停電や瞬停、電圧の低下など、監視する異常状態によって異なります。使用する機器がどのような異常状態を検知する必要があるかに応じて、適切な異常状態を監視する報知器を選ぶ必要があります。
警報を伝える方法にも様々な方式があります。ブザーやアラームを鳴らす方式が一般的ですが、騒音の大きな場所での使用であれば、フラッシュライトの点滅など光で知らせる方法が適しています。離れた場所にいる管理者に異常を伝えるためには、電話を鳴らす、電子メールやSMSで伝える等の方法があります。
報知器は長期間安定して稼働していることが非常に重要です。設置する場所が野外であったり、振動や粉塵に晒される場所ならば、耐環境性能も重要です。