プリプレス

プリプレスとは

プリプレスとは、印刷やDTP (英: Desktop Publishing) に用いる刷版の作成までの一連の工程のことです。

具体的には、原稿の企画から、文字の入力や誌面のレイアウトだけでなく、印刷機にかける原稿フィルムの出力までの、工程の総称を指します。DTPの技術が進んだ現在では、プリプレス作業をすべてPC上で実現可能です。DTPソフトを用いて、画像の取り込みや処理のほか、ページレイアウトの微調整など、高度なプリプレス作業が可能です。

DTPとイメージセッタ (英: image setter) の普及によって、ダイレクト製版も広まっています。すなわち、プリプレスでの版組みのデータをフィルムに出力せずに、直接原稿を刷版として使用可能です。

プリプレスの使用用途

プリプレス工程では、オペレーターの知識や経験が必要となり、印刷や製本の質を左右するため重要です。色を統一したカラーマネジメントで標準化して厳密に再現し、品質を安定させます。

印刷がデジタル化する以前は、タイプや写植機と呼ばれる専用の機械に文字を打って、写真をスキャンしてフィルムを作成し、PS版 (英: Pre-Sensitized Plate) と呼ばれるアルミの原版を印刷機にセットしていました。最近ではデジタル化が進み、文字入力から刷版まで、多くの作業がPCで進められています。これはデジタルプリプレスとも呼ばれ、現在の出版印刷や商業印刷では主流です。デジタルプリプレスのメリットは、文字の修正やカラー画像の調整などが比較的容易なことです。デジタルプリプレスによって、納期の大幅な短縮やローコスト化が進みます。

プリプレスの原理

プリプレス工程では、まず原稿に基づいて、デザインとレイアウトを作成します。校正データの修正や色調の見本をチェックしつつ、印刷できる状態を目指して進めます。作りこむ作業が必要な場合には最低日数が必要ですが、データがすでに完成に近い状態であれば必要な日数は短いです。

以前は、直接原稿の修正を指示していました。最近では在宅勤務が増えており、やりとりがペーパーレスになっています。例えば、PDFやパワーポイントの機能を使用し、校正データを貼り付けて、修正の指示を記入可能です。校了後は金属プレートを作成して下版します。金属プレート版を作るとやり直しができないため、複数の作業者で校了原稿と印刷用のデータに間違いがないことを、念入りに確認します。

プリプレスの構造

印刷物の制作工程は、大きく3つの工程で構成されています。プリプレス工程、プレス工程、ポストプレス工程です。プリプレス工程とは、印刷機 (Press) にかける前段階 (Pre-) を意味し、一般的に印刷前工程とも呼ばれます。プリプレス工程では作成された原稿に従って、印刷データを作るために、デザイン、文字、写真などのサイズや色を調整可能です。

プリプレス工程では、まず広告や出版物の内容や体裁を企画し、具体的なイメージや設計図を作成して具現化します。つまり、原稿の指定や指定書全体の作成など、必要な原稿を用意して、後工程のための具体的な指示をする工程です。次に前工程から入稿した原稿を、指定書に基づき文字を清書する組版作業を行い、印刷に適したイラストや画像に加工します。レイアウトの指定通りに配置して、組み立てながら一つにまとめ上げて、最終的に刷版を完成させます。そして校正は、制作、製版、刷版と流れる工程を繰り返す作業です。文字、色、レイアウトなどを、工程の内容に合わせて校正します。

プレス工程とは、実際に印刷する作業全般のことです。多種多様な印刷方式があるため、それぞれ違う印刷方式で作成されます。印刷以降の加工、製本、梱包、セット作業、配送、発送などの完成品を納品する最終工程のことを、ポストプレス工程と呼びます。印刷工程と比較してさまざまな機械が登場し、完成品の仕様によっては多数の作業者が関わる場合が多い工程です。

プリプレスの種類

プリプレスではフォトレタッチと呼ばれる画像処理技術が重要です。フォトレタッチでは切り抜き、消去・移植、色変換、カラー復元、合成処理などの作業があります。切り抜きは一般的なレタッチ作業で、商品写真などを見せたい部分だけ残し、背景などを消す作業のことです。不要な部分を消去・移植します。新製品が完成していない場合には、現行商品を新色へ差し替え可能です。モノクロで撮影した写真や変色した古いカラー写真でも、カラーを復元できます。合成処理によって、撮影では実現できないビジュアルを作り出せます。

正しい色の基準のための色校正では、まず直接製版データによりカラープルーフを出力します。本紙校正では、色校正専用機を使用して、本紙とインキで本番に近い刷り上がりを再現可能です。本番の用紙の仕様に加えて、実際に印刷する本機を用いてカラープルーフします。ヒューマンエラーをなくすために、デジタル検版システムを使用して、検版の精度の向上や安定化を実現可能です。

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