型枠

型枠とは

型枠とは、建築工事や土木工事の現場において、構造物の鉄筋コンクリートの基礎や柱、床などを作る際に使用する枠のことです。

鉄筋の周りに枠を作り、そこにコンクリートを流し込んで、所定の形を作る為にコンクリートが十分に固まるまで形状を保持するに使用します。型枠はコンクリートを設計図の形通りに固定化させるせき板と、せき板を固定するための支柱やセパレータを始めとした金具類からできています。せき板はべニア板の合板のものが多く使われています。

ビルや住宅、橋や道路など、建築物や構造物のほとんどすべてのところでコンクリートが使われています。これらの構造物は全て設計図を基に構築されます。型枠の寸法が間違っていたり、コンクリートが健全に固まる前に変形や破損が生じると、構造物が設計図通りに作られず、大きな問題になります。従って、型枠には精度と強度が要求されます。

型枠の使用用途

日本は頻繁に地震が発生するので、建物や橋、道路、トンネルなどの構造物は、想定される地震に耐えられる強度が要求されます。そのため、多くの場合、基礎や柱、壁、床などを鉄筋コンクリートで作ります。鉄筋コンクリートは、殆どの場合コンクリートに補強されたコンクリート (英: Reinforced Concrete,RC) を使用し鉄筋と一緒に固めて作ります。

コンクリートは圧縮強度が大きく引っ張り強度は小さく、鉄筋は引っ張り強度は大きく圧縮強度は小さい部材です。この2つを一緒にすることで圧縮にも引張にも強い構造ができ、地震に耐えられるようになります。

型枠は建設現場・工事現場で、先に組み上げられてある鉄筋を囲む形で組み立てます。型枠が出来上がれば、型枠の中にコンクリートを流し込みます。コンクリートの流し込みが終わったら、コンクリートが完全に固まるまで、養生期間を設けます。コンクリートが完全に固まったら型枠を取り外してその部分の作業は終了となります。

型枠の組み立てと解体には、熟練した技術が必要です。ビルの建設現場などでは、型枠専門の職人である型枠工や型枠大工が型枠の組み立てと解体にあたっています。型枠の組み立てと解体のことを型枠工事と言います。

型枠の原理

1. 構成部材

型枠の構成部材には、コンクリートを流し込むせき板の他に、セパレーター、フォームタイ、Pコーン、スペーサーなどの金具類があります。さらに型枠の固定用に、鉄パイプと連結金具が含まれます。

  • セパレータ―
    セパレータ―は型枠内のコンクリートの厚さを所定の厚さに保つために使用する金属の棒で、鉄筋と同じように型枠の内側でコンクリートの中に埋められます。Pコーンとフォームタイと共に両側のせき板を結び、コンクリートが流し込まれても、せき板が外側に膨らむのを防ぎます。
  • フォームタイ
    フォームタイは型枠を絞める際に使用する金具で、せき板の外側から、Pコーンを介してセパレータとつなぎます。
  • Pコーン
    Pコーンはセパレータ―とフォームタイを連結して固定する金具です。せき板の内側に取り付けて、コンクリートの中に埋もれてしまいますが、コンクリートが固まって、型枠を解体する際に取り除きます。Pコーンを取り除いた後は、モルタルなどで埋めます。コンクリートの打ちっぱなしの柱に等間隔に小さな穴があるのは、Pコーンを取り除いた跡です。
  • スペーサー
    スペーサーは、柱などのコンクリートのかぶり厚を確保するための金具です。中の鉄筋に装着して、鉄筋とせき板までの厚さ、即ちコンクリートの厚みを確保します。

2. 構築

型枠の構築にあたっては、型枠で作る柱や壁などの設計図を基にせき板の製造と、必要な部材を用意します。せき板は、小規模な型枠工事や、部分的な型枠工事の場合、現場で合板を切断して製作する場合もあります。しかし、多くの場合、設計図を基に工場で製作してから現場に運び込みます。

型枠に建築物・構造物などの設計図とのずれがあったり、コンクリートが固まるまでに変形を起こしてしまうと、その建築物や構造物の強度や機能の面で著しい悪影響が生じます。従って、型枠の設計、準備、施工には十分な精密さと正確さが要求されます。

さらに、円形や曲線のある構造物を作る場合には、3次元的な型枠を必要とします。また、トンネルの内壁や道路や鉄道の高架橋を作る際には、十分な強度を持った型枠支持材を使用します。

型枠の選び方

型枠はビルや住宅、橋や道路など、建築物や構造物の基礎を作る上で重要な資材です。型枠が複雑な形状であったり、大規模なものになるほど型枠の設計、せき板の製造を含めて必要な部材の調達など、事前の準備が重要になります。その一方で、建築現場や土木工事現場は場所によって地盤や地形が異なり、作業環境も異なります。

型枠の供給元を選定する際には設計図に基づいた仕様の確認と共に早い段階から工事現場の概況を知らせ、必要に応じて現場確認を行い、予想される難しさの指摘や提案を貰うなど、良好なコミニュケーションを保つことが重要です。

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