コンジットとは
コンジットとは、電線を収めるために使用する電設資材のことです。
ケーブル工事で外装を保護する際に保護管として使用され、電線管、コルゲートチューブ、フレキシブルチューブとも呼ばれます。通常、合成樹脂製や金属製のパイプ状です。
金属製のコンジットは電磁遮蔽効果を持つため、環境の磁界強度を減らせます。屋内や屋外に関係なく、鋼製のコンジットは幅広く用いられており、金属管とも呼ばれています。金属管は容易に管を曲げられないため、パイプベンダーを使用して配管の曲げを作ります。あらかじめ曲がっている附属品のノーマルベンドも利用可能です。
合成樹脂製の可とう管は、PF管 (英: Plastic Flexible conduit) とCD管 (英: Combined Duct) に分類されます。PF管は自己消火性のある合成樹脂管で、CD管は耐燃性がない合成樹脂管のことです。PF管には、単層のPFSと複層のPFDがあります。
コンジットの使用用途
コンジットは機械内部、制御盤、制御キャビネットで、物理的な電線類の保護に用いられます。機械の損傷や特定の気象状況から、ケーブルを保護するために使用可能です。電線類の絶縁性能が悪い場合でも、外部に漏電する影響を低減でき、火災時に電線類を保護し、電線による火災の拡大を防止します。電線類を隠して、美観性を保てるほか、隠蔽配線の電線類の入れ替えなどのメンテナンスが容易になります。
電気設備の技術基準では、低圧の屋内配線、屋側配線、屋外配線の方法に定められた合成樹脂管工事、金属管工事、金属可とう電線管工事の際に、屋外用ビニル絶縁電線以外の絶縁電線が必要です。サドルのような配管支持材を使用して露出配管を構造物に固定でき、配管支持用の形鋼によって自由度が高い配管工事を実施できます。ただし、電線の通線、曲げ、ねじ切り、接続などは、電気工事士が行う必要があります。
コンジットの原理
コンジット管はコンジットパイプやコンジットチューブとも呼ばれます。コンジットを壁に埋め込み、内部に電線を通します。鞘管を断熱材外部に装備した地中埋設配管の一形式であり、配管の外面腐食や断熱材の吸湿を抑制可能です。
コンジットはフレキシブルで、取り付けやメンテナンスが簡単なものも多いです。合成樹脂製や金属製が代表的ですが、硬質ポリ塩化ビニル、鋼製、ステンレス製、波付硬質合成樹脂製など、多種多様なタイプがあります。
コンジットの附属品として、同じ種類のコンジットを接続するための継手であるカップリングや異なる種類のコンジットを接続する継手のコンビネーションカップリングが挙げられます。コネクタはプルボックスや分電盤の接続に用いられ、エンドはコンクリートの打ち込み配管で型枠に伏せて使用可能です。
コンジットの種類
鋼製のコンジットは、厚鋼電線管、薄鋼電線管、ねじなし電線管、ライニング鋼管などに分類されます。
1. 厚鋼電線管
管の肉厚が厚いため、機械的強度に優れています。主に屋外や工場での金属管工事に使用可能です。
2. 薄鋼電線管
管の肉厚が薄く、屋内の金属管工事で利用される場合が多いです。
3. ねじなし電線管
厚鋼電線管や薄鋼電線管とは違い、ねじの切られていないコンジットのことを指します。ねじ山の厚みはなく、管の肉厚は薄鋼電線管よりも薄いため、管を通す電線の数を増やせます。
4. ライニング鋼管
PLP管とも呼ばれ、合成樹脂で鋼製電線管を被覆したコンジットです。水道管、ガス導管、ケーブル保護管などの地中への埋設に使われます。ケーブルを収容する埋設用のコンジットは、電纜管とも呼ばれます。
コンジットの選び方
可とう管は可撓性があります。振動する電動機へ接続でき、エキスパンションジョイントの付近などの、コンジットが緊結できない箇所で利用されます。金属管と併用する場合も多く、分電盤や機器の付近を金属管で配管して、可とう管で接続して使用可能です。
ポリ塩化ビニル製のコンジットは腐食に強く、直線で伸ばす場所によく使われます。ただし、バーナーやノーマルベンドによって、曲がったコンジットを使用可能です。家屋の隠蔽配管や屋外での露出配管に利用されているPF管は、元々難燃性のポリ塩化ビニル製でした。
ポリエチレン樹脂に臭素系難燃剤を添加して、難燃性を付加したPF管もあります。ただし、屋外では耐候性がなく、取り扱いには注意が必要です。ポリエチレンの芯とポリ塩化ビニルの外装からなる複層のPFDは、屋外耐候性が良好です。しかし芯と外装がポリエチレンのPFDは、耐候性が大幅に劣っています。
CD管はPF管よりも安く、代用品として利用可能です。主にコンクリート埋設用に用いられ、区別するため着色されています。食品工場や医薬品工場を代表とする衛生規定の厳しい施設のほか、沿岸部のような腐食の進みやすい環境では、ステンレス製のコンジットを使用可能です。