ブレーキライニングとは
ブレーキライニングとは、ブレーキ装置の部品である摩擦材です。ブレーキは運動エネルギーを摩擦によって熱エネルギーへ変換して制動します。ブレーキライニングは、その摩擦を得るための摩擦材を指します。
ただし、物理的接触が無い回生ブレーキではブレーキライニングは使用しません。一般的に、ディスクブレーキに取り付けられたものをパッドと言い、ドラムブレーキに取り付けられたものをシューと言います。
ブレーキライニングの使用用途
ブレーキライニングは、ブレーキ装置が組み込まれた機器に使用されます。産業用から民生品まで幅広く用いられており、主な使用例は以下の通りです。
- 自動車の前輪に使用されるディスクブレーキ内部
- 大型車に使用されるドラムブレーキ内部
- 自転車や洗濯機に使用されるバンドブレーキ内部
- エレベーター巻上機に使用されるディスクブレーキ内部
ブレーキライニングの原理
ブレーキライニングを使用するブレーキ装置としては、ディスクブレーキ・ドラムブレーキ・バンドブレーキなどがあります。それぞれの原理は以下の通りです。
- ディスクブレーキ
ディスクブレーキでは、シャフトと一緒に回転するローターをブレーキライニングで挟み込み摩擦を発生させます。 - ドラムブレーキ</br /> ドラムブレーキでは、シャフトと一緒に回転するドラムにブレーキライニングを押しつけて摩擦を発生させます。
- バンドブレーキ
バンドブレーキはシャフトと一緒に回転するドラムをブレーキライニング付きバンドで締め付けて摩擦を発生させます。
どのブレーキも運動エネルギーを熱エネルギーに変換させます。ブレーキライニングを選定する際は、使用温度や摩擦係数などの条件があります。さらに、ブレーキ時の不快音や振動の発生具合などの要素も存在するため、摩擦材の材料の種類や配合は多岐に亘り、10種類以上の原材料を配合して作られています。
ブレーキライニングのその他情報
1. ブレーキライニングとパッド
ブレーキライニングとブレーキパッドは、どちらもブレーキに使用される摩耗部分です。ドラムブレーキの場合は「ブレーキライニング」、ディスクブレーキの場合は「ブレーキパッド」と呼称します。
どちらも摩耗材として、ブレーキ時に摩耗して対象物を減速させます。自動車の場合は、雪や泥の影響を受けても確実に機能する材質が使用されます。
レーシングカーのように高速運転と急停止を繰り返す車両の場合、ブレーキライニングの発熱量が多く、真っ赤に変色します。この状況でもブレーキ能力を損なわない材質が使用されます。車両にあったブレーキライニング使用するために、交換時はメーカー純正が望ましいです。
2. ブレーキライニングの交換
ブレーキライニングは使用とともに摩耗するため、定期交換部品に指定されています。交換時期は走行距離確認や摩耗量測定によって決定します。走行距離が長いとブレーキの回数も増加するため、ブレーキライニングの摩耗が進行しやすいです。
走行距離が短い場合も、急ブレーキの多用や過荷重によって早期摩耗が発生する場合があります。定期点検時に摩耗量を測定し、交換基準値に近い場合にはブレーキライニングの交換が推奨されます。ブレーキライニングの摩耗は、ブレーキ音の変化で分かるケースも多いです。
ブレーキライニングが摩耗してくると、ブレーキをしたとき「キーッ」という甲高い音が鳴ります。ブレーキライニングの摩耗によって金属部分同士が接触し始めるためです。ブレーキ時に不快音が聞こえた場合には、早急にブレーキライニングを交換する必要があります。この状況で走行を続けると、制動力の低下により重大事故が発生する恐れがあります。
参考文献
https://www.akebono-brake.com/product_technology/special/
https://www.kobetoyopet.com/service/expendables/brake/
https://www.akebono-brake.com/product_technology/product/automotive/friction_material/