イソペンタン

イソペンタンとは

イソペンタン (英: Isopentane) とは、ペンタンの構造異性体です。

化学式はC5H12で2-メチルブタン (2-methylbutane) とも呼ばれます。常温常圧では無色の液体で揮発性があります。労働安全衛生法では、「名称等を表示すべきし危険物及び有害物」「 名称等を通知すべき危険物及び有害物」に該当します。

労働基準法、化学物質管理促進法 (PRTR法) 、毒物及び劇物取締法には非該当です。消防法では、「危険物第四類特殊引火物 危険等級I」に該当します。

イソペンタンの使用用途

イソペンタンは、沸点が常温から体温のあたりであることから、遅効性の発泡剤として使用されています。具体例として、シェービングフォームや発泡式冷却スプレーなどが挙げられます。

噴霧時間が長くなると、引火事故が起こる可能性があるため利用する際は注意が必要です。また、寒冷地用ガソリンに添加し、ガソリンエンジンの始動を容易にするのに使用されます。実験室において、イソペンタンは、液体窒素やプロパンと混ぜて寒剤に使われています。

イソペンタンの性質

イソペンタンは、分子量72.15g/mol、CAS番号78-78-4で表わされる無色でわずかに芳香がある無色液体です。pHは中性、融点−159.9°C、引火点<−51℃、沸点27.9℃、自然発火温度420℃の引火性液体です。

蒸気圧は917hPa (25℃) 、密度は0.617〜0.622g/cm³ (20℃) 、動粘性率は0.345mm²/s (20℃) 、水への溶解度 48mg/L (25℃) 、有機溶媒はジエチルエーテルに溶解します。

通常の状態において安定ですが、日光、熱を避ける必要がります。また、酸化剤と接触すると反応し、危険有害な分解生成物として一酸化炭素を発生させる可能性があるため注意が必要です。

イソペンタンのその他情報

1. 安全性

GHSにおいて、物理的危険性で引火性液体 (区分1) 、環境有害性で水生環境有害性・短期・急性 (区分2) に分類されます。また、健康有害性で眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 (区分2A) 、特定標的臓器毒性・単回ばく露 (区分3・麻酔作用) 、特定標的臓器毒性・単回ばく露 (区分3・気道刺激性) 、誤えん有害性 (区分1) に分類されます。

極めて引火性の高い液体および蒸気を発生させ、気道に侵入すると生命に危険のおそれがあるため、使用時は人体に曝露しないよう注意が必要です。

2. 応急処置

皮膚に付着した場合は、直ちに汚染された衣類を全て脱ぎ、皮膚を大量の水で洗います。吸入した場合は、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させます。

眼に入った場合は、水で15分以上注意深く洗い、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外し、洗浄を続けます。いずれも症状が続く場合は、医師の診断、手当が必要です。

飲み込んだ場合は、吐き出させるとかえって肺の吸引などの危険性が増す為、無理に吐かせず、直ちに医師に連絡します。診断時はSDS等を提出し、情報提供を行います。

3. 火災時の措置

イソペンタンによる火災時は、水による消火活動をしてはいけません。粉末・二酸化炭素、乾燥砂、泡を使用して消火を行います。

消火作業は、風上から行い、消火活動を行う人は必ず呼吸保護具を着用します。初期の火災時は、粉末・二酸化炭素、乾燥砂などを用い、大規模火災の際には、泡消火器などを用いて空気を遮断することが有効です。

4. 取扱方法

作業場所は、密閉された装置、機械、または局所排気装置を使用し、取扱いは換気のよい場所で行います。また、静電気対策のために、装置、機器等の接地を確実に行います。

作業者は、防毒マスク (有機ガス用) または送気マスクの着用および、耐溶剤手袋、耐溶剤手袋、保護衣 (長袖作業衣) 、保護長靴、保護服等の着用が必要です。イソペンタンと酸化剤が接触しないよう注意し、使用しない場合は、ガラス、ふっ素樹脂、ステンレス製の容器で密栓して冷暗所に保管します。

参考文献
https://cica-web.kanto.co.jp/CicaWeb/msds/J_25211.pdf

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